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短編とかその他

ミユの秘密

作者: リィズ・ブランディシュカ



「ミユったら、もうっ! 無視しなくたっていいじゃない!」


 夏休みの間に、親友のミユと喧嘩した。


 きっかけは他愛のない事で、ただの勘違いだったんだけど、仲直りする機会がなかなか得られないまま時間がすぎている。


 ミユとは子供の頃からの仲だから、早く元に戻りたい。


 けれど、どうせミユの方もくだらない勘違いが原因だって分かってるんだから、そっちから言い出すべきなのに。


 ミユってば、子供の頃からプライドが高いから。


 メールばっかり書くんじゃなくって、直接口をきけば?


 絶体に私からは口を聞いてあげないんだから!


 はぁ、この休みはミユと色んな所に行こうと思っていたのにな。






 そんな私達の仲が良くない事に気が付いた人がいたみたい。


 たまたま道端で会った、世話焼きな先輩が話しかけてきた。


「ミユの秘密を教えてあげるから、それで仲直りするんだよ」


 そう言ってきた先輩は、「こういう事は人目が気になるから」ってメールでその秘密の詳細を教えてくれた。


 先輩まで?


 言いたい事があるなら、誰かの目なんて気にせず堂々と言えば良いのに。


 ミユの事があったから、私はついそのメールを読むのを後回しにしてしまった。







「ミユが一言ごめんって言ってくれれば。すぐにでもスケジュール帳の予定が埋まるのにな」


 今年の夏は暇になりそうでがっかりだ。


 すると、家に帰ったら母が「病院であの子を見たわよ。心配ね」と何かについて話しかけてきた。


 私はついイライラしていたので、聞き流してしまった。


 その日の夜。


 食卓についていると、地元のニュースがテレビで流れた。


「少女に無視されたと勘違した男が、暴行を働いたようです。怪我をした少女はすぐに病院に搬送されましたが、死亡が確認されました」


 それを聞いた母が「お昼に病院で見たのに」ともらした。


 私は、どうしてミユが口をきけなかったのか分かって愕然とした。


 早く仲直りしていれば、こんな事にはならなかったのに。


 ミユは口をききたくても、きけなかったのだ。



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