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「帰ったらみっちり復習ですじゃ!」「ええ~~~!ぴえん通り越してぱおんなんだけど~~!」

キスをしてしばらく経ち、大臣達と王子はだめだったかと、思った瞬間だった。


「んあ…?」


白雪姫が目を覚ました。

単に、薬が切れただけである。


「姫さまが目を覚ました~!」

「伝説の通りだった!」

「伝説は本当だったんだ!」

「やったー!」

「白雪姫は、西の国に嫁ぐぞ!」

「お祝いだー!」

「めでたし、めでたし!」


「え、伝説?あたし?結婚すんの…?」


白雪姫はきょとんとしながら、体を起こす。


「大丈夫かい?」

「伝説…貴方があたしを起こしてくれたの?」

「そう、みたいだね。とりあえず、起きれるかい?」


体を起こした白雪姫に王子が手を差し出す。


「ありがと…え、めっちゃタイプ!しゅきぴ!」


王子の手を借りようと、王子のほうをみた白雪姫は一目惚れした。


「しゅき…?」

「あたし、すきぴと結婚する!」


困惑する王子の手を借り、素早く立ち上がった白雪姫は、西の王子の腰辺りに抱きつく。


「し、白雪姫…?」

「ベティも、西の国も王子なら全然OKでしょ!許してくれるっしょ!」

「…ちょ、ちょっと、まって!」

「ん?どうしたの?すきぴ?」

「なん、でもないよ…」


にこ~と笑う白雪姫に毒気を抜かれた王子はやれやれという表情で白雪姫の好きにさせる。


「ん?あ…?ちょっと、まって!」

「今度はどうしたんだい?」

「すきぴと結婚したら、もしかして、すきぴもお兄さまと同じように鏡になっちゃう!?」


白雪姫は半泣きになりながら王子を見つめる。


「姫さま、大丈夫ですじゃ!」

「魔法の鏡になってしまうのは、我が国の王子だけですじゃ」

「それよりも姫さま」

「歴史と」

「マナーの」

「お勉強が足りないようですね…」

「帰ったらみっちり復習ですじゃ!」

「ええ~~~!ぴえん通り越してぱおんなんだけど~~!」


「ちょ、ちょちょちょ、ちょっとお待ちになって!!!!!」


一連の流れを聞いていたエリザベスは茂みから飛び出す。かろうじて口調は転生前の素が出ていないものの表情は王族としてはいかがなものかと思うくらい間抜けである。


「ベティ?」


驚く白雪姫にエリザベスは駆け寄り、手に持っていた手鏡をずいっと白雪姫の目の前に出す。


「ま、魔法の鏡ってこれのことであってるかしら!?」

「ベティ様、落ち着きなされ」

「とりあえず、魔法の鏡はそれであっておりますじゃ」


周りにいた大臣達がエリザベスをなだめるように話す。その効果もなく、混乱したままのエリザベスが捲し立てるように続ける。


「で、では、こちらが白雪姫のお兄さまってことであっているかしら!?」

「あっておりますじゃ」

「そちらの手鏡は呪いによって魔法の鏡にされてしまった我が国の王太子殿下ですじゃ」

「ベティ様、今更そのようなこと、なぜ聞かれますのじゃ?」


答えを聞いたエリザベスは、脳内に走馬灯のようなものが駆け巡る。玄関ホールで見てタイプだと思った肖像画の王太子。毎日うざったらしく聞いていた「鏡よ鏡よ鏡さん。世界で一番美しいのは誰?」というセリフ。取り乱したときに半べそをかきながら泣きついていた自分の姿。エリザベスは、人工物だとAIスピーカー的ななにかだと思い垂れ流していた恥ずかしい自分を、好みのタイプだなイケメンだなと勝手に思っていた義理の息子に見られていたという羞恥に意識が遠のきそうになる。


次の瞬間、エリザベスの手でひしゃげそうなくらい握られていた手鏡から眩いばかりの光があふれだした。


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