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どうやら白い結婚ってやつらしい。

結果、王さまは私の部屋に来なかった。翌日も翌々日も一切来なかった。どうやら白い結婚ってやつらしい。これ進●ゼミ、もといラノベで習ったやつ!と、くだらないことを考えつつも、エリザベスは一安心した。一安心だが、不安は募る。シンデレラをはじめとした童話の悪役は、痛い目にあった内容が童話中に書かれて(?ですか?)いるが、白雪姫にはそれがない。ないからこそ怖いのだ。白雪姫の悪役である継母には、子供が読む童話にはとても書けないような末路が待っているのではないか。そう考えると、エリザベスはぞっとした。


そんな思いを抱えつつも、王城にきてから3カ月経った。この3カ月は、教育と称して、教師が代わる代わるやってきて教えを乞うていた。内容は多岐にわたり、この国の歴史、この国の法律、この国のマナー、この国の財務状況、この国の環境、この国の農林水産の状況、この国の防衛に関すること、帝王学を学んだ。

あれ、どこかで聞いたラインナップだな、とエリザベスは思いつつも、この国の貴族として育った素地がないエリザベスは目が回る思いで教育を受けていく。


ついに明日からは、実際に公務に携わっていく。今日は休息日として、休みがもらえた。

エリザベスは朝起きると、前々からしたかったことをしようと鏡に話しかける。


「鏡よ鏡よ鏡さん。童話で白雪姫が森の中で過ごした小屋はどこになるのかしら?」

『西の森です』

「西の国との国境付近にある、あの森ね!リョーシ。リョーシはいるかしら?」

「は、お呼びでしょうか?」


天井より、筋骨隆々の男性が現れる。エリザベス付きの暗部であるリョーシだ。


「西の森に視察に行くわ。馬車を準備してちょうだい」

「承知いたしました」


リョーシがさっといなくなる。


「あ、そうだ。忘れていたわ。鏡さん、世界で一番美しいのは誰?」

『世界で一番美しいのはエリザベスです』

「ありがと。よかったわ」


エリザベスは、毎朝この問いかけを鏡にしていた。フラグ確認のためである。鏡が「世界で一番美しいのは『白雪姫』です」と答えたら、白雪姫の物語が進んでいるということであるからだ。

そうこうしていると侍女が馬車の準備ができたことを知らせに来た。馬車に乗るために玄関ホールへと向かって歩いていく。王城に来てから初めての外出にエリザベスは心が躍る。


玄関ホールへやってくると、王さま、白雪姫、エリザベスの肖像画と並んで、見知らぬ男性の肖像画があった。


「鏡よ鏡よ鏡さん。この男性は誰かしら?」

『この国の王太子です』

「そう、この国の…。こちらの方は、「エリザベス様、馬車はこちらになります」…ええ、わかったわ」


リョーシが玄関ホールへ呼びに来たため、質問の続きを飲み込み馬車へと乗り込む。

馬車に揺られながら王太子の肖像画を思い出す。だいぶタイプの男性だった。王さまも若かったころはあんなだったのかしら?、とぽよんとした豊満なボディをもつ肖像画とは似ても似つかない王さまをエリザベスは思い出した。


暫く揺られると、西の森の前にやってきた。馬車を降り、サクサクと落ち葉を踏みながら散策をする。暫く歩いていると遠くに建物が見えた。


「小屋…?これが例の小人が住んでいる小屋かしら…」


エリザベスは、建物の方に近づいていく。徐々に肉眼で捉える建物は大きくなっていき、小さいながらも立派な屋敷がでてきた。


「全然、小屋じゃなかったわ…」

「おや、貴女様は…!」


エリザベスが屋敷を見上げていると、背丈の小さな初老の男性が声をかけてきた。


「あら?初めまして。私は、エリザベスと言いますの」

「おやおやおやおや、ご丁寧にどうもどうも。まさか、お妃さまが直々にこの森にくるとは…この国の伝説を大切にしてくれておるんじゃな。…いやぁ…噂に違わぬ別嬪さんじゃ!」

「まぁ、おじいさん、お上手ね…!」

「おい!みんな、別嬪さんが来たぞ!」


初老の男性が声をかけると、わらわらと6人の、これまた背丈の小さな初老の男性が集まってきた。


「うわあ!本当に美人さんだねぇ…!」

「綺麗なお妃さまだ!」

「うんうん、健康的な美しさだ!」

「賢そうでもあるぞ!」

「佇まいも雰囲気があるなぁ…!」

「そうだそうだ。心から美しそうだ!」


残りの6人にもべた褒めされる。少し、くすぐったい気持ちになりながらもエリザベスはお礼を言う。

白雪姫が過ごした森に、7人の小さなおじさん。この組み合わせに、エリザベスは閃いた。この人たちが白雪姫の7人の小人なのでは?と。偶然にもこの状況どうしようと悩んでいると、初めに声をかけてくれた初老の男性が、エリザベスに声をかける。


「お妃さま、なにかお困りごとかの?」

「えぇ…少し…」

「国のお困りごとかの?それだったら、儂らを召し抱えてくれ!」

「え…?」


思いがけぬ提案にエリザベスは瞬きを繰り返す。


「儂らは各専門分野を持った学者なのじゃ!儂は、歴史学者じゃ!」

「儂は、法律じゃ!」

「儂は、マナーですじゃ」

「儂は、財務。国の経営も楽しそうじゃ!」

「儂は、農業、林業、および水産業!多岐にわたるじゃろ?」

「儂は、防衛!まだまだ、現役じゃよ」

「儂は、環境じゃ~。美人を悲しませるなど儂らの本望ではないぞ~」


またこれも、どこかで聞いたラインナップである。

エリザベスも少し考えたが、この白雪姫にでてくる小人であろう面々を目の届く範囲に置いておけるのであれば、願ったりかなったりない状況だった。

また、国としても有識者の意見はありがたいはずだ、たぶん。


「では、お願いできますか…?」

「もちろんじゃ!どーんとまかせなさい!」

「明日には王城に上がれるようにしておくぞい!」


思わぬ収穫にほくほくしながら、エリザベスは西の森を後にしたのであった。

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