【タナベ・バトラーズ】ミルナの決意
ミルナは決意した。今日こそ抱いている想いをルジェベリアに伝える、と。これまではチャンスがあっても逃してきたが、もうそんな惜しいことをする気はない。心を決めたミルナは、ルジェベリアの部屋へと向かった。
「ルジェベリア、いる?」
「あぁ。いるぞ」
自室のベッドに腰を下ろしていたルジェベリアは、いつもは一つに結んでいる髪を下ろしている。着用しているのはワイシャツとグレーのズボン。ちなみに、首もとのボタンは外れ気味であり、胸もとはやや開放的になっている。
「今少しいいかな、って……」
「どうした?」
「えっと……その、ちょっと喋りたくって」
「あぁ、そうか。ならここへ座るといい」
ルジェベリアは何も思わず自分の隣に座るよう提案する。
ミルナはそれに従ってルジェベリアの隣に座った。
「どうした? ミルナ。またいつものように寂しくなったのか?」
「そんな感じ」
「ははは! 相変わらずだな!」
何も思っていないルジェベリアは爽やかで軽く笑い声を発する。
直後、ミルナは隣にいるルジェベリアに顔をぐいと近づけた。事情が読み取れずきょとんとするルジェベリア。そんな彼女に何も説明しないまま、ミルナはさらに片腕を掴む。二人の距離が縮む。
「……こういうこと、させてくれる?」
ミルナは生まれて今までで一番勇気を出してルジェベリアに接近。ベッドに押し倒す。
「どうした、そんなに遊びたいのか」
「遊びたいんじゃない……こういうことをしたいの」
緊張しながらも指先を動かし、ルジェベリアが着ているワイシャツのボタンを一つずつ開けていく。
刹那、ルジェベリアは片腕を動かして、ミルナの身体を自分の方へ引き寄せた。
「ははは! そういうことならすりすりしていいぞ!」
「え……」
「すりすりして安心したいのだろう? 好きにするといい。ま、ゴツゴツしていて気持ちよくないだろうがな! しかし、ミルナもまだまだ子どもだな」
ルジェベリアに抱き寄せられるような体勢になり、ミルナは顔を真っ赤に染める。
よりによってそんな時に扉が開いた。
「ちょっと姉さーーっ!?」
ルジェベリアに用があって訪ねてきたアステロイナーは、姉がミルナといちゃついているところを目撃してしまい、「すみませんでしたー」と小さめに言いながら退室していった。
◆
それ以来、ルジェベリアは定期的にミルナと触れ合ってくれるようになった。ミルナの本当の気持ちは伝わっていないようだが、それでも、ルジェベリアと触れ合えることは幸せだった。
一方アステロイナーはというと、姉がミルナとそういう関係であったと誤解してしまっていて。聞くに聞けず、一人悶々としていたのだった。
◆終わり◆




