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師弟の再会

 ――その女は、寺の外にいた。

 闇のように黒い忍装束を纏い、赤い目を光らせてたたずむ様は妖艶(ようえん)だ。

 龍二たちとよろずの会の戦いに決着がついたと悟った女は、小さく嘆息(たんそく)する。

 それが落胆なのか、安堵なのかは見た目からは分からない。


 彼女は特に反応を示すことなく、移動しようと歩き出した。


「――やはり、お前が絡んでいたのか」


「……なんの用だ」


「冷静沈着だな。まったく、肝の据わった女だよ」


 暗い繁みの中から現れたのは、鬼の仮面をした半妖、悪鬼組・頭首補佐の鬼憑だった。


「お前、よろずの会の頭首にも、うちの頭首様のように龍の血の話をしたな? いったいなにを企んでいる?」


「なんのことか分からないな」


「この期に及んでしらばっくれるなよ。俺は最初からあんたを信用していなかったんだ」


「そうか」


 話にならなかった。

 女は興味ないというように目線をそらすと、町のほうへと歩き出す。

 すると、鬼憑は躊躇なく刀を抜いた。


 ――ヒュンッ!


 しかし彼が仕掛けるより速く、彼女が振り向きざまに鋭い暗器を投擲してきた。

 鬼憑は冷静に飛来する暗器を見据え、刀で弾く。

 弾かれた暗器は、黒い液体となりぴちゃりと地面へ落ちた。

 彼女の能力だ。

 その体に流れる黒き血を、凶器へと変幻自在に変えるというもの。


 女は木の枝に乗り、次々に木々の枝の上を飛び移って逃げて行く。


「逃がすかっ!」


「――待てよ」


「ちぃっ!?」


 突然背後から聞こえた声に、鬼憑は舌打ちし飛び退く。

 女を追うのは諦めるしかない。

 それよりも新たな乱入者と対峙する。


 そこにいたのは、短い金髪に迫力のある強面の顔の男。着ているグレーのスーツはかなりボロボロだ。特に袖がなく腕も酷い火傷を負っている。

 しかしそれでも、体から発される覇気は衰えてなどいない。


「おいお前、妖だな? こんなところでなにをしている? まさか、お前もよろずの会に関係していたのか?」


「……」


「おい、さっさと答えろよ」


「ちっ……まさか、こんなところに天下の神将様がいるとはな」


「あぁ? ……おいおい、ちょっと待てお前。その声はまさかっ……」


「久しぶりだな、雷紋重吾」


「け、剣斗なのか!?」


「その名で呼ぶな! 不愉快だ!」


 鬼憑は突然感情的になる。

 雷紋は神妙な表情になって拳に呪力を込め始めた。

 いつでも攻撃できるように。


「もう一度聞く。よろずの会とお前は関係しているのか?」


「知らん」


 鬼憑はそう吐き捨て、女の逃げた方向へ目を向ける。

 しかし雷紋も逃がすつもりはない。


「てめぇは俺の汚点だ。ここで滅する」


「俺とあんたにはなんの繋がりもない。師弟だった過去もなかった、それでいいだろう」


「いいわけねぇだろうがぁっ! てめぇの犯した罪は一生消えねぇんだ!」


 ――バヒュンッ!


 雷紋の怒りが頂点に達し、駆け出そうとしたところで、彼の背後から風の塊が飛来する。


「なにっ!?」


 雷紋は反射的に横へ跳んで間一髪回避。

 さらに連撃が襲う。


「式術開放『紫電』」


「砕翁拳・烈波」


「えぇいっ、面倒だ!」


 雷紋は形代を放ち、残る呪力を振り絞って応戦。

 風を避け、紫電には天業雷をぶつけ、攻撃が止んだときには鬼憑の姿はなかった。

 背後から襲撃した妖と鬼憑、それぞれの妖気は反対方向へ遠ざかって行く。

 

「くそがっ」


 結局、雷紋はどちらを負うこともなく毒づいた。

 背後の妖の力が分からない以上、消耗した今の状態で無暗に追うのは危険だ。

 それに鬼憑には雷の速度で移動する術がある以上、引き返してきて挟み撃ちにされる可能性が高い。

 鬼憑を追った場合も同じだ。


 雷紋は苛ただしげに眉をしかめると、強く歯噛みし呟くのだった。


「やっぱり、半妖は危険だ」

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読者様の本作への印象を知りたいので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


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