表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/90

忠臣

 ――ズザァァァァァンッ!


 突如、目の前で右から左へと地面を砕きながら巨大な衝撃波が走った。

 敵は突進を止めて飛び退く。

 強風の吹き荒れた後には、地面が大きく裂け、まるで龍二と敵とを遮る境界のようだ。


「これは……」


 既視感(きしかん)を感じた。

 般若と遭遇したときに自分を救ってくれた謎の攻撃だ。

 だが前回とは違い、今回はその正体を現す。


「――遅れて申し訳ありません、龍二様」


「……え?」


 目の前にあったのは、見覚えのある大きな背中だった。

 紫の竜紋の刺繍がされた灰色の羽織に行灯袴を着た、白銀の髪の男。

 以前、夜に不良たちと遭遇したとき、助けに入ってくれた謎の男だ。

 しかし前は妖気を感じられなかったが、今は強大な妖気を身に纏っていた。


「お下がりください。あやつは私が片付けますので」


 銀髪の男は龍二へ横顔を向け、そう言った。

 龍二にはなにがなんだか分からなかった。

 彼が何者なのか、なぜ自分を助けるのか。


「――陰雷」


 そのとき、龍二の視界から鬼面の男の姿が消えた。

 声を上げようとしたときには既に遅かった。


 ――キィィィィンッ!


 銀髪の男が目にも止まらぬ速さで腰の刀を抜き、瞬時に距離を詰めた敵の刃を受け止めていたのだ。

 だがそれだけでは終わらない。

 互いに刀を引き、無数の剣閃が走る。

 次々と火花が散り、数え切れない激突音が響くが、龍二には目で追えない。

 最後に大きな金属音が響いたかと思うと、鬼面の男が飛び退いて距離をとっていた。


「貴様、何者だ? 俺の邪魔をするつもりか」


 敵が苛立ちを滲ませた声で問う。

 白銀の男は、龍二を一瞥すると名乗った。


「龍の臣・元頭首補佐『鬼鼬(おにいたち)』の『(あらし)()』」


「んなっ……」


 龍二は目を見開く。

 彼が父の百鬼夜行の一員であることは、ある程度想定していた。

 しかし、まさか頭首補佐だったとは想像だにしなかった。

 事実上の百鬼夜行・龍の臣におけるナンバーツー。

 もちろん、その事実に驚いていたのは龍二だけではない。


「バカな……龍の臣の幹部は、頭首がいなくなって去ったんじゃなかったのか……」


「我が忠義、お前ごときの尺度で図るなよ、半妖」


「貴様……」


 挑発するような嵐魔の言葉に、雰囲気を変える鬼面の男。

 懐から形代を取り出し、くしゃりと形が変わるほど握りしめる。


「頭首補佐、鬼鼬……知っているぞ。側にいながら頭首を守れなかった奴が、今さらしゃしゃり出てくるなっ――式術開放『紫電』!」


 怒りの叫びと共に雷鳴が轟き、巨大な薄紫の電撃が迫る。

 嵐魔の横顔はわずかながら、悔しげに歪んでいた。

 それと同時に纏う妖気も鋭いものへと変わり、刀の刀身へと吸い込まれるように風が集まっていく。


断風(たちかぜ)


 刀を両手で握り上段から振り下ろす。

 強大な妖気を風に変えた斬撃は、(くう)を裂き強烈な衝撃波となって地面を砕きながら進む。

 そして紫電と激突し轟音を響かせた。 

 

「ぅっ!」


 強大な力は弾け、電撃と衝撃波が四方八方へ飛散する。

 電撃は地面を砕き、衝撃波は周囲の壁を破壊して砂塵を巻き上げる。

 しかし龍二は、目の前で嵐魔が盾になっていたため無傷だった。

 対する鬼面の男は斬撃の余波を受けたようで、コートはところどころ裂けて鬼の仮面もひび割れ、右手からは血が滴り落ちている。

 嵐魔は刀を横へ払うと厳かに告げた。


「俺は確かに守れなかった。そんな奴が頭首補佐を名乗るなど、許されていいことではないだろう。だが、あのお方に誓ったのだ。もう二度と、主を奪わせはしないと」


 その言葉には、確かな決意と熱い想いが籠っていた。

 疑いようもなく、彼も父に仕えた妖なのだと龍二は確信した。

※↓のご協力お願いしますm(__)m


読者様の本作への印象を知りたいので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


また、私の活動を応援くださる方は、『ブックマーク追加』や『レビュー』も一緒にして頂けると大変助かります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ