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新たな刺客

「――はい、俺も修羅も無事ですよ。今は商店街の路地裏にいます。ええ、『熊』が出たっていう場所です。早く技官を寄越してください」


 龍二は手短に告げると、焦りまくし立てる通話相手の声を無視して通話を切る。

 横の修羅が怪訝そうに眉をしかめた。


「誰だ?」


「塾の山田講師だ。俺たちが奴と戦っている間、塾が襲撃を受けたらしい」


「なに!? 般若か?」


「詳しくは分からん。けど、それで技官の到着が遅れているらしい」


 龍二はため息を吐く。

 山田の話では、もう事態は収束したということなので、じきに技官もここへ到着するだろう。

 ようやく肩の力が抜ける。

 もう戦うこともないだろうと思い、龍二は黒災牙を背の鞘へ納めようとした。


「――式術開放『陰雷(いんらい)』」


「「っ!?」」


 突如、仄暗い路地裏に薄紫の雷光が迸る。

 遥か遠くで雷鳴が轟きそれが耳に届いたときには、龍二と修羅の間に割って入るように、謎の男が立っていた。

 胸元に白銀の細鎖のアクセサリーを着けた、膝より下までを隠す漆黒のロングコートを着て、腰のベルトには刀を帯刀している。

 顔には真っ赤な鬼の仮面を着けて素顔を隠し、隙間からのぞく肌はほとんど白い包帯が巻かれて隠れており、左手には黒い手袋、唯一肌を晒している右手は、まぎれもない人のもの。

 突然現れた不気味な男に、二人は反応が遅れる。


「強烈な妖力を感じて来てみたが、これはどういうことだ?」


 誰に問うでもなく呟き、首なしの死骸へ目を向ける。


「なんだこの(てい)たらくは? 幹部上席が聞いて呆れるな」


 同時に、目の前の男から微かな妖気を感じた。

 その瞬間、龍二の背筋に冷たいものが這い上がる。

 目の前の男は危険。

 本能がそう告げていた。

 

「修羅! 逃げろ!」


 叫ぶと同時に、体は勝手に動いていた。

 背に納めようとしていた黒災牙を目の前へ振り下ろす。

 

 ――キィィィンッ!


 しかし男は顔を向けることなく、刀を逆手に抜いて受け止めていた。

 両手で柄を握り力を込めるが、ビクともしない。

 

「なんて力だ……」


 龍二は直感する。

 目の前の男は桁が違うのだと。

 まだ戦意も見せていないというのに、そこにいるだけで息が詰まりそうなほどの覇気を内包していた。

 しかしどういうことか。

 妖気を感じるのに、先ほどの術は間違いなく式神の術。

 時雨の話では、妖力と呪力は互いに打ち消し合うため、同時に扱うことはできない。

 修羅が大太刀を振るっている中、陰陽術を使わなかったのはそれが理由だ。

 もちろん、それは龍二にも当てはまり、龍血鬼の力を解放している間は使えない。


「なんなんだよっ、コイツは!?」


 遅れて修羅が大太刀を振り上げる。

 しかしそれを振り下ろす直前、彼の目の前には形代を握った右手が突き出されていた。

 それはジリジリと薄紫の稲妻を帯電している。


「――式術開放『紫電(しでん)』」


 ――ズバァァァァァンッ!


「ぐわあぁぁぁぁぁっ!」


 形代が突如、紫の雷光を盛大に放ち弾けた。

 直撃した修羅は弾き飛ばされ、勢い良く壁に激突。

 コンクリートを砕いて体をめり込ませると、ガクリと首を垂らし気絶した。

 その胸元には黒い焦げ跡が広範囲に広がっている。


「修羅っ!」


 龍二は叫ぶが、気をとられた一瞬の隙に、敵は刃を受け流し右の拳を突き出してくる。

 慌てず黒災牙の刃を返して防御しようとする。これが見た目通り人の手なら、刃で裂けるはず。それを起点に反撃するつもりだった。

 だが敵は、まるで手品のように右手を捻って掌を突き出すと、袖の内側から呪符を出した。


「界」


 黒災牙の刀身に触れる直前で障壁が生じ、動きが止まる。


「っ!?」


 龍二は目を見開いて固まり、その隙に刀の切っ先が龍二の左脇腹を貫いていた。


「かはっ!」


「……つまらんな」


「くっそぉぉぉっ!」


 龍二は口の端から血を垂らしながらも、黒災牙の刀身へ黒炎を集め、障壁ごと薙ぎ払う。

 鬼面の男は即座に刀を引き抜き、軽々と跳び退いた。

 初めから予想していたかのような軽やかな動き。

 元より力押しするつもりはなかったようだ。

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読者様の本作への印象を知りたいので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


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