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激戦は続く

 冷たい地面に投げ出された龍二は、意識が朦朧とし視界も真っ暗だ。

 だが目は見えずとも、武戎がまだ戦っているのが分かる。

 彼の怒りがひしひしと肌に伝わり、自分のせいでああなっているのだと思うと、なんだか嬉しかった。

 

「っ……く……」


 どうにかして助勢したいが、体が思うように動かない。

 このまま死ぬかと思うと怖かった。心底体が震えた。

 唯一の救いは目の前で仲間を死なせずに済んだことか。

 

(……そういえば、前もこんなことあったっけ?)


 自然と先日の牛鬼との戦いが脳裏に蘇る。

 これが走馬灯かと思うと、いよいよ死が近づいているのだと認識した。


(死にたくない……)


 強く願う。

 記憶を必死に手繰り寄せ、自分が死にかけたとき、なにが起こったのかを思い出す。

 あのときも、牛鬼の爪に大きく背中を裂かれて死にかけた。

 

(……そうか)


 妖の、龍の血の力だ。

 力を解放したとき、確かに傷口は塞がっていた。

 考えてみれば、それは武戎も同じ。

 犬神の力のおかげで致命傷と呼べる傷を負っても、未だに戦い続けている。

 ならば、同じ半妖の龍二に、ここで諦めるという選択肢はありえない。


「ごふっ……まだ、戦える……」


 龍二の震える右手は宙をさまよい、背に帯刀していた黒災牙の柄へ届いた。

 残る力をすべて込め、それを引き抜く。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」


 溢れんばかりのどす黒い妖気と、漆黒の炎が溢れ出した。

 横たわる瀕死の龍二の全身を黒炎が包み、それが一気に弾けたとき、彼の姿はそこになかった。

 

「――闇焔(やみほむら)龍爪(りゅうそう)


 首なしと武戎が太刀を力の限りぶつけ、激しく鍔ぜり合っているところへ、闇の炎を纏った刃が加わる。 

 

「「っ!?」」


「押し切れ!」


 二対一。

 宿怨大太刀と黒災牙で、敵の太刀を押し返す。

 同時に、黒災牙の刀身から黒炎が放たれ、斬撃の波となって太刀もろとも首なしを押し飛ばした。

 必死に踏ん張ろうとする首なしだが、足は地面を擦ってそのまま奥の壁へと押されていく。

 太刀で受けているものの、妖力が強すぎて斬り裂けないのだ。

 そこで腕に力を込めて体を捻り、頭上へと弾き飛ばした。 

 黒炎の斬撃は建物の上階を破壊し、砕けたコンクリートの瓦礫が首なしへと降り注ぐ。


「……」


 しかし首なしは、ゆったりと太刀を引き――

 

 ――ドゴオォォォォォンッ!


 自分へ直撃する軌道の落下物だけを瞬時に細切れにした。

 その周囲に落下した瓦礫で砂塵が巻き上がるが、首なしの全身から荘厳なる覇気が放たれ消し飛ぶ。

 その覇気はビリビリと空気を震わせ、背後に陽炎のようなゆらめく鬼の虚像が一瞬だけ現れた。


「……さすがだな」


 龍二は黒災牙を肩へ担ぎ、余裕の表情で呟いた。

 銀髪は漆黒に染まり、縦長の瞳孔となった深紅の瞳は龍のもの。目元から頬にかけて枝分かれした黒い筋が伸び、黒炎ゆらめく漆黒の羽織を肩にかけている。

 武戎は溢れ出る強大な妖気に後ずさり、驚愕の表情を浮かべた。


「鬼屋敷、なのか……」


「俺は百鬼夜行の主の息子だ。そんな奴が仲間一人救えねぇでどうする」


 龍二は目も向けずに呟くと、こちらへと走り出した首なしを見据え歩き出す。

 唖然とする武戎が困惑の表情で動けないでいると、立ち止まり、背中越しに彼の名を叫んだ。


「修羅っ!」


「っ!」


「畳みかけるぞ!」


 そう言って黒災牙を構えて刃に黒炎を纏い駆け出す。

 武戎――修羅は、久しぶりに名を呼ばれ、懐かしさを感じた。

 彼をその名で呼んだのは、小さい頃拾ってくれた恩人ぐらいだ。

 組の戦いに赴く彼の背中も、今目の前で駆けている龍二の背中のような安心感があった。

 修羅は「ふっ」と頬を緩め、両手で大太刀を握る。


「やってやらぁぁぁっ!」

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