鍛錬の成果
「はあぁぁぁっ!」
龍二は急接近してくる首なしを見据え、雷斬を払う。
すると刀身から電撃が放たれ、それは空を裂き敵を襲う。
首なしは急停止し、太刀を振り下ろして叩き斬り電撃を霧散させた。
「まだまだ!」
再び走り出す首なしへ連続して稲妻纏う斬撃を放つ。
日頃の時雨との鍛錬のおかげで、呪力の制御は問題ない。
呪力を刀へ流し、それを脳内イメージによって稲妻へ変換。
雷斬を振るうと同時に剥離させ、放電による斬撃へと移す。
しかし首なしも迫りくる稲妻に慣れたのか、走るスピードを緩めることなく、最小限の動作で避け、弾き、斬り捨てながら瞬く間に龍二へと肉薄。
龍二も呪力の制御を切り替える。
雷斬の刀身に雷を収束し、まるでビームソードのような白光の刃と化す。
「うおぉぉぉぉぉっ!」
「!」
雷斬と太刀の激突は空気を震わせた。
龍二に剣術の心得はない。
だから、がむしゃらに振り回す。
ぶつかり合うたびに迸る稲妻は、首なしの装束を焼くが、太刀をムチのように振るい冷静に受け流していく。
そして隙を見極め、鋭い突きを繰り出してきた。
間一髪で龍二がそれを受け切ると、すぐさま攻守は逆転。
目にも止まらぬ連撃が龍二を襲った。
「くぅっ! このぉっ!」
龍二は雷斬の刀身に収束していた雷を一気に放電。
眩い電撃が周囲を焼くが、首なしは瞬時に飛び退きダメージはない。
彼は再び接近しようと腰を落とすが、龍二は距離を詰めさせまいと形代を放った。
「式術開放『無間乱層』!」
形代が光を発散させる。
それは前方へラッパ状に広がる無数の電撃。
無数の電撃はすべて首なしへと狙いを定め、飛来し乱れ打つ。
首なしも右腕を曲げて深く腰を落とし、抜刀術のような構えをとった。
「っ!?」
視界が歪んだかと見紛うほどの覇気が放たれ、無数の剣閃が煌めく。
首なしが目にも止まらぬ速さで刃を振り、無数の電撃を一つ一つ切り払っているのだ。
龍二の目のには、首なしの目の前で次々と稲妻が弾けていることしか視認できない。
その一瞬の後、すべての攻撃は消滅していた。
首なしのボロボロの装束からは、ところどころ煙が上がり、太刀の刀身からは残留した電気がチリチリと弾けている。
「バカなっ……」
龍二の頬が引きつり、思わず後ずさる。
この術は、これまでの時雨との鍛錬の末、ようやく手得した力だというのに。
心が折れそうだった。
目の前に立つのは侍などではない、正真正銘の悪鬼だ。
だが龍二とて諦めるわけにはいかない。
「式術開放『雷滅砲』!」
巨大な雷の塊はしかし、覇気を纏った斬撃で一刀両断される。
唖然と立ち尽くす龍二の目の前に、首なしは立っていた。
急接近に反応できない龍二へ、無慈悲にも太刀は振り下ろされた。
「――どけ!」
しかし受け止めたのは、武戎だった。
「武戎!?」
「うおぉぉぉっ!」
雄叫びを上げ力の限り大太刀で押し退け、首なしはバックステップで後退する。
見たところ、武戎の体の傷は既に血が止まっていた。
呪力はまるで衰えておらず、呪いで強化された状態を維持している。
「ふんっ、邪魔だ。てめぇは引っ込んでろ!」
武戎は龍二に背を向けたまま吐き捨てると、地を蹴り首なしへ肉薄する。
白刃の煌めきが幾重も宙を這い、重く甲高い金属音が連続して響く。
龍二は雷斬の柄を握りしめた。
武戎はどうあっても首なしを倒すつもりのようだ。
それならばと、刀身に稲妻を帯電する。
既に日も暮れ、真っ暗な路地裏に眩い灯を灯した。
「そこぉっ!」
武戎が押し飛ばされ、二人の距離が離れたところで電撃を放つ。
首なしは素早く反応し、その場で回転してそれを断ち、再び急接近してきた武戎の一撃を弾く。
「武戎!」
「ちっ!」
彼は忌々しげに舌打ちしながらも、首なしの切り払いにあえて押し飛ばされ、宙返りして壁へ両足をつける。
首なしは隙だらけの武戎へ太刀を振り上げ、衝撃波を放とうとするが――
「――無間乱層!」
雷の散弾が首なしを襲う。
また高速の切り払いですべて受け切られるが、その背後に武戎が迫っていた。
龍二は再び刀身に帯電し、駆け出しながら叫ぶ。
「畳みかけるぞ!」
「うらぁぁぁっ!」
巨大な刃が敵の背後から襲うが、既に見切っていたようで首なしは後ろを向いたまま太刀を後頭部へ構えて受け止める。
「まだまだ!」
武戎はそれを起点に二撃目、三撃目と斬りつける。
首なしは素早く体を回転させて受け流していく。
その背後へ龍二の黒災牙が振るわれた。
しかし首なしは、その場で素早く一回転。
円状の衝撃波が二人を襲った。
「ぐっ……」
武戎も龍二も刀で防御し距離を離される。
再び駆け出すと、首なしは太刀を地面に突き刺し、妖気を一気に開放した。
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