激突する刃
空気が揺れ疾風が吹き荒れる。
首なしは素早く太刀を横へ構え、渾身の一撃を真正面から受け止める。
振り下ろされた巨大な刃はあまりに重く力強い。
踏ん張る首なしの足元がひび割れ、足袋が地面へとめり込んでいく。
彼は力で押し返すのが不可能と判断すると、刀を反らし力を受け流した。
「ちぃっ!」
そのままの勢いで、バランスを崩しながら地面へ足を着く武戎。
その一瞬の硬直を狙って、敵の太刀が振り向きざまに薙ぎ払われた。
「!」
しかし武戎は軽々と大太刀を逆手に持ち替えると防御し、その隙に地を蹴って跳び上がる。
着地した先は横に立つ建物の壁。
そのまま壁を両足で蹴って再び首なしへ肉薄した。
首なしは体を反らして回避。
そのまま反対側の壁へと迫った武戎は、空中で体をひねり、着地する寸前で片足で壁を蹴って高く舞い上がる。
両手で柄をつかみ、上空から一刀両断しようと振り下ろした。
――ズバァァァァァンッ!
首なしはバックステップでかわしていた。
刃の叩きつけられた地面は破片をまき散らして砕け、衝撃波が鋭利な風となって首なしの装束を裂いていく。
しかし首なしはカウンターを狙い、武戎の足元を一閃。
武戎は想像を絶する俊敏さで跳んで回避。空中で大太刀を振り上げる。
首なしは弾いて受け流し、鋭い突きを繰り出した。
「まだまだぁぁぁっ!」
太刀の切っ先は武戎の脇腹に突き刺さったが、彼が強引に体をひねったことで、外側へと肉が裂け血が噴き出す。
だが気にせず刃を振るった。
まさしく肉を斬らせて骨を断つ。
妖の頑丈さと治癒力を最大限に活かした捨て身の戦法だ。
そうでもしなければ、この剣豪には勝てない。
武戎は獣の俊敏さで地を蹴っては跳んでステップを踏み、縦横無尽に跳ね回る。振るわれる斬撃は、まるで職人が包丁を扱うかのように軽々と。
人には到底不可能な動きだ。
「……」
対して首なしは、最小限の動きで流れるような身のこなしに、鋭くしなるような太刀筋を繰り出す。
それこそ、二メートルの刀身などものともしない剣さばきだ。
なにより感情の機微が見えないため、剣の筋がまったく読めない。
さらに一瞬で繰り出される斬撃の一つ一つが鋭利な衝撃波を放ち、周囲の壁を切り刻んでいる。
つまり、この路地裏のどこにいようと、すべてが彼の間合い。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
一瞬のうちに無数の金属音を響かせ斬り合う。
武戎は既に太ももに穴が空き、脇腹や肩を裂かれ、口から血を垂れ流しながら叫んでいる。
首なしの装束もボロボロになっているが、本体へは傷一つつけられていない。
胴体を断つ強烈な一閃が放たれると、武戎は素早く跳んで敵の背後へ宙返り。
首なしは刃を立て、そのまま頭上へ到達した武戎を突き刺す。
「がはっ!」
それはみぞおちのすぐ斜め下を深々と貫いた。
武戎は血を吐き出すが、顔は歓喜に歪んでいた。
宙づりになった状態で、首なしの太刀を掴む。
「……やっと捉えたぞ!」
そして、右の大太刀を振り下ろした。
「!?」
首なしはビクッと肩を震わせると、柄から手を離し、拳を握って横へ引いた。
体の真上まで巨大な刃が迫ったところで、それを横から叩いて弾く。
「なにっ!?」
軌道を逸らされた刃は首なしの足元を叩き割る。
武戎はそのまま最悪の体勢で落下し、空中で腹の刀を引き抜かれると、そのままトドメの一閃。
なんとか大太刀を間に入れて体も反らしたが、バランスを崩して地面を転がる。
「ぐぁっ!」
止まったと同時に、首なしがうつ伏せの武戎の背を踏みつけ、起き上がれない。
既にトドメの一閃はその首へ迫っていた。
「くっそぉぉぉぉぉっ!」
武戎は顔を憎悪に歪める。
この一瞬では、もう回避する余力は残っていない。
だが胸に誓っていた。
たとえ首を落とされようとも、まだ牙がある。
せめて、この憎き妖だけは噛み殺してやろうと。
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