表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/90

動き出す者たち

 龍二たちの激闘のすぐ後、嵐堂銀次はいつかの夜のように星を見上げていた。


「やはり、こうなったか」


 銀次は悲しげに視線を落とし、ぽつりと呟いた。

 その背中には悲壮感が漂っている。

 それは、龍二が半妖として力を開放してしまったこと。

 そして、星を読んで見えてしまった絶望の未来。

 

「もう、見て見ぬふりはできないな」


 そう言うと、静かに目を閉じ拳を握る。

 桃華という、たった一人の愛娘(まなむすめ)の未来を守るため、決意を固めるのだった。


 ――――――――――


「――とうとう、お目覚めになられたか」


 とある山脈の狭間にある隠世(かくりよ)

 彼以外なんぴとたりとも侵入を許されない、永遠の闇に包まれた異空間。

 凄まじい突風が吹き荒れる中、動じず堂々とたたずみ、虚無の空を見上げる者がいた。

 白銀の髪は風で暴れ、その隙間から覗く深紅の瞳は妖しく輝く。


「今、御許(おんもと)へ」


 低く淡々とした声で呟くと、腰の刀を抜き目にも止まらぬ速さで抜刀一閃(ばっとういっせん)

 すると、闇の空間が裂け徐々に広がり、蒼黒の夜空の下に広がる山道が現れた。


(あるじ)(さま)の最後の(めい)身命(しんめい)を賭して果たしてみせましょう」


 男は無表情で呟くと、現世へと十数年ぶりに足を踏み入れた。

 主との盟約に従い、目的を果たすため――


 ――――――――――


「封印されていた血が目覚めた」


「ほぅ? それは本当か?」


 そこは、カタギではない者たちの組が構える事務所。

 電気も点けず暗闇の中、会話する二体の妖の姿があった。

 片方は、琥珀色の髪に色白で痩せ細った青年の姿で、上質なグレーのスーツを着崩し、鋭い眼差しを向けている。

 もう片方は、口元まで隠れた黒装束を身に纏った女。肌の露出が少なく謎めいていて、整った鼻筋に切れ長の目は美しく、触れたら切れてしまいそうな鋭利な印象を受ける。


「妖を変異させる希少な血だ。それを求めて争いが起こるだろう」


「なら、誰よりも先に手に入れるだけだ」


「至極その通り」


「……いいのか? それって、あんたの主の――」


「――不要な気遣いだ」


 女がぴしゃりと言い放つと、青年は愉快そうに頬を緩ませた。


般若(はんにゃ)、首なし」


「はっ! こちらに」


 青年の呼びかけに応え、暗闇の中に二つの影が浮かび上がる。

 返事をしたのは、しわがれた老人の声だった。

 

「すぐに越前へ向かえ」


「承知」


 ――――――――――


「――長官、長官っ!!」


「なんや、騒がしい」


 東京にある陰陽庁の高層ビル。

 そこの最上階では、もう夜も遅いというのに、まだ仕事をしている男の姿があった。

 黒い烏帽子(えぼし)をかぶり、白の狩衣(かりぎぬ)を纏った平安貴族のような男。

 あまりにも時代錯誤だが、シャープな輪郭に細い眉と長いまつ毛、そして狐のように細く鋭い眼差しもあってか、違和感がまるでない。

 陰陽庁の長官で、安倍清明(あべのせいめい)土御門(つちみかど)摩荼羅(まだら)といった歴代最強の陰陽師たちに匹敵すると称される、土御門清麿(きよまろ)だ。

 彼の鋭い眼差しに射抜かれ、一瞬たじろいだ女性の天文官だったが、すぐに我を取り戻し机の前まで歩いていくと報告を始めた。


「取り乱してしまい、申し訳ございません。たった今、北の方角から強大な妖気の発露を察知しました」


「ほぅ? して、それはどのような?」


 清麿は興味深そうに目を細める。


「それが、とても恐ろしく禍々しい星なのです。ただただ真っ黒に燃えていて……ですが、すぐにまた消えてしまいました」


「……なるほどねぇ、そうか……まさか僕の代で、とはね」


 清麿は困ったように眉を寄せ呟くと、立ち上がり窓際まで歩いていく。

 

「さて、ご先祖様でも破られた力、僕に御しきれるやろか――」


 ――――――――――

※↓のご協力お願いしますm(__)m


読者様の本作への印象を知りたいので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


また、私の活動を応援くださる方は、『ブックマーク追加』や『レビュー』も一緒にして頂けると大変助かります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ