第3話
声がした、気がする。
しかし、聞いたことのない声であり、そもそも、声を出せるものはどこにもいない。
体が軽くなり、立ち上がった。
死んだんだな、バートがそう判断した。
『ここは精神的な世界っていえばいいかな?』
空間そのものが声を発してる感じがする。
『ごめんごめん!姿を現したほうがいいよね』
空間がゆがみ、影だとか光が一か所に集まる。
「スラ……イム?」
スライムの形が目の前に現れた。
『やっと繋がったよ。バートと出会ってからずっと待ってたんだよ』
驚きを隠せないバートにスライムはさらに続ける。
『キミが僕を……違うね、僕たち魔物を使う事が出来る能力を有しているんだ』
スライムはプルルンと揺れる。
『でもね、キミにはまだ、その能力を使えるレベルまでには成長していないんだ』
「え、でも、そんな兆候なんてないし」
『それは、強大すぎるんだよね。キミが発現させるには……
もしかすると、キミの子供とか、孫とか、そういうレベルまでいかないと発現しないのかもしれないってレベル』
「じゃあ、俺には無理じゃないか」
『本来ならね……でも、やっと繋がったんだ。
いや、繋げることが出来たんだ!』
「どういう事?」
バートは要領を得ない表情で、スライムを見る。
『とりあえず、そろそろ現実の方がピンチになってきたからね。
こっちの空間が時間が伸びてるとはいえ、限界があるんだよ。
だから、実践で……あのゴブリンを相手にして、練習するよ』