お客様が来た時のこと~女王様と兄~
~女王様の場合~
お客様が訪ねて来たとなるとパトラは大喜びする。
チャイムがなると玄関へと向かいきちんとお出迎えする。「にゃあ」と鳴いて挨拶とともに近寄って、撫でてくれそうと見るやお客様の足に身体を寄せてスリスリし、時にはしっぽまで絡ませて大歓迎してみせるのだ。猫嫌いなお客様ならば猫らしく無理強いはしないでそこで身をひるがえし「別に構わないわよ」とばかりにゆらりとしっぽを揺らしながらクールに去ってゆく。
撫でてくれるお客様がソファーに落ち着いたところで今度はお客様の膝を狙う。「わわわ」と驚くお客様にも遠慮なくなついて頭を擦り付けて「もっと撫でて」とアピールし、膝に座りこんでごろごろ言い始めるのだ。猫に慣れてない人でも思わず頬笑むくらい、人が好きで愛嬌たっぷりな猫なので大抵は「綺麗なかわいい猫だね」とお褒めの言葉を頂戴している。時にはお客様からお菓子をせしめたりするちゃっかりさんだ。
~兄猫の場合~
パトラとは対照的にアレクはお客様が大嫌いである。
チャイムがなると玄関を見て嫌そうな顔をする。お客様が帰るまでは違う部屋にこもって絶対に顔を出さない。お客様が来たのにうっかり気が付かずにいて顔を合わせようものなら、慌てて回れ右&駆け足して逃げ出す。猫のくせに脱兎の如く、という言葉がぴったりの逃げっぷりだ。時には慌てるあまり足を滑らせて転んだりもする。
外ではオスらしく縄張りを守って喧嘩に明け暮れているけれど、家の中では気を張っていたくないらしい。落ち込んでいるとそっと寄り添って慰めてくれたり、いつもパトラにも私たちにも気を使ってくれる、とても優しい猫なのだ。
「内弁慶・外仏ならぬ外弁慶・内仏だね」といつも家族で言って笑いあっている。
ここまで極端なのはこの二匹だけでした。たいていの子は「あれ、お客様なの?いらっしゃい」と挨拶するかしないかでスルーして通り過ぎて行きます。