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女王様と喧嘩の話~女王様最強説~

珍しく長いです。

 今回のお題は猫の喧嘩。猫の喧嘩には、「ご近所トラブル~兄猫の場合~」で少し書いた縄張争いとオスたちによる恋の為の順位争いの2種類があって、オスたちは喧嘩に明け暮れている事が多い。昭和の「男は一歩外に出ると敵ばかり」を地で行く感じだ。メスや避妊手術を受けさせていれば恋の争いがない分少し喧嘩は少ないけど、「他の猫の縄張に踏み込んで追い出される」的な縄張争いは必ずあるので、怪我をさせたくなければ外には最初から出さない方が良いかもしれない。


 さて、猫の喧嘩は鳴き合いと呼ばれるにらみ合いと唸り合いから始まる。我が家の庭に堂々と居座って席を譲らず、パトラとにらみ合いを始めた大きな茶虎がいるのであてレコ付きの実況をお送りしてみたい。



 ◇



 ――それでは挑戦者をご紹介します。今回兄妹コンビに挑戦してきたのは仮称茶虎、薄茶の虎縞の8㎏以上はありそうな巨大なオスで、最近よく庭に出入りして様子を伺っていた猫です。テリトリーの主が来たら一等席や道を譲るのが一般的なマナーなんですが、それを譲らないという形でとうとうパトラに挑戦状を叩きつけて来ました。


 パトラ(以下、パ):ウウーゥ

(そこをおどき)

 茶虎(以下、茶):ウウ、ゥナーーォ

(ハン、ここが気に入ったんで退く気はないね)


 ――兄アレクが居れば喧嘩を買うのは彼の役目なんですが出てこない所を見ると遠くへ出掛けているものと思われます。妹のパトラは3㎏程度のごく一般的なメス猫らしい体格をしていますから、彼女なら組伏せ易いと踏んで兄の留守を狙ったのかもしれませんね。

 お、不穏な雰囲気が高まって来ました、にらみ合いからいよいよ唸り合いが始まります。



 パ:ウゥ、フゥーーッ

(あら、本当にウチから出て行かない気?)

 茶:ウナーーーァオ

(俺様は強いんだぜー)


 ――挨拶代りの小手調べは互いに一歩も譲りませんね。お互いに耳をひねってピンと立てて毛が逆立ち、相手をにらみ付けて不機嫌に膨らんだ尻尾を横にブン、ブンといきおいよく振っています。動揺して目を反らしたり耳を伏せたりした方が負けなんですが初手は互角だ、本格的に鳴き合い(という名の舌戦)に入ります。


 パ:ウミヤーーオ、ニャァアァァーーッ

(あー面倒くさい男ね、邪魔よ)

 茶:ウウ、ウナーーォ

(なんだと、おまえみたいなちび女なんぞ一捻りできるんだぞ!)

 パ:フウウゥーーーーッ

(う、る、さ、い)

 茶:フシャーーーッ

(なんて女だ!)


 ――段々ヒートアップして来ました、毛を逆立てた背中を高く丸め、詰め寄りながら激しく威嚇しあっている。体格は茶虎の方がかなり大きいのですが、女王パトラはまるで怯まない。いやぁ流石は女王、実に堂々としたものです。挑戦者の茶虎はここまで真っ向から対抗されると思っていなかったのか、少し戸惑っているようにもみえますね。

 実はここに挑戦者の計算違いがあります。みなさんも考えてみてください。普段領域(テリトリー)を守っているのは兄猫アレクですが、彼は言ってみれば将軍なんです。いつも向こう傷が絶えない、という事は良く喧嘩(物理)で勝っているということです。ではちょっと切る程度で大きな怪我をした事のない女王パトラの強さとは?

 さあ、解説の間に鳴き合いが佳境に入って来ました。そろそろ手が出て来るか?


 パ:シャアァァーーーッ!

(いい加減に痛い目を見てもらうわよ)

 茶:ウミャヤーーーォ!

(気の強いメスだな、ほら行くぞ!)


 ――ああっとうとう茶虎の猫パンチ攻撃、パシパシとジャブが繰り出されます。しかし女王はまったく気にしません、まるで蚊でも止まったかのようにそのまま低い姿勢から隙を伺ってにらみつけています。


 パ:フーーーッ!

(ぬるいわね)

 茶:ウウミャアアァァーーー!

(オラオラオラ)

 パ:……フゥッ!

(セイッ)

 茶:フギャァッ!

(イッテェーー!!)


 ――ああ!パトラが挑戦者に飛び掛かったァ!パンチするために前のめりになっていた茶虎は避けられない!おなかにガッシリと組み付かれてしまいました。あ、噛まれた?ついでにガブリと肩の辺りをパトラが噛んだようです。茶虎があわてて振り払う!


 パ:グルグルグル

(さあ、お仕置きの時間よ)

 茶:ミヤァアーーオ!

(やりやがったな!)


 ――2回、3回とお互い飛び掛かっては離れて、バシバシ叩いたり、と攻防が激しくなります。抜けた毛がパッパッと飛び散ります。と、パトラの猛攻に耐えきれず茶虎の腰が引けて目を反らすようになり、……って逃げ出したァ!


 パ:フシャアアァァーーー!

(待ちなさい!)


 ――勝負あり!勝負ありです!女王様の完全勝利です!一目散に逃げて行く茶虎をパトラが猛然と追撃して行きます。あ、お尻を引っ掻いたけど捕らえられない。あっという間に庭から姿を消しましたが、まだフーーーッ、フギャァ!と聞こえて来ますので、領域から徹底的に追い払うつもりなんでしょう。容赦ありません。しばらく…そう30分は追い掛け回すでしょうね。



 さあて皆様、この攻防戦はいかがでしたか?猫の喧嘩をこうして始まりから決着まで見物出来るのは実はあんまり無い事なんですけど、今回は思い切り庭先で起きた事件でしたので実況をお送りしてみました。いやぁ、自分より遥かに大きい茶虎にまったく怯まない女王様がカッコ良かったですね!伊達に女王と呼ばれていませんよ。


 猫の喧嘩ですから正確な統計がある訳ではありませんけど、女王様の場合、大概喧嘩(物理)が始まる前に終わらせてしまうんですよね。つまり、大抵の軽い気持ちで喧嘩を吹っ掛けて来た経験の浅い猫は始めの小手調べで、次の少数には鳴き合い(舌戦)だけで手を出すまでもなく気迫だけで圧勝してしまうんです。美人が怒るとこわいんですよね。9割方はそれでおしまいです。だから怪我が少ない。残り1割の喧嘩に自信のある度胸の良い野心家の猫だけが彼女との真面なお話合い(肉体言語)に挑めます。その野心家たちまで来てやっと勝敗は半々でしょうか?つまり喧嘩全体では95%は女王様の勝ちと言った感じです。

 兄アレクの場合は、オスだから喧嘩自体多いと言うのもありますけど、パトラほど威圧で終了にできないので本格的な取っ組みあいに発展してしまう。だから浅い怪我も深い怪我も多いんです。

 今回の茶虎は大きいだけあって最後の1割に属してたようですけど、ナイトを落とす前に(ポーン)のつもりで女王クイーンに挑んでしまった。とんだ見込み違いというわけです。


 ちなみにこの2、3日後にアレクがちょっと大きめな傷を耳に負って帰って来ました。負けに納得出来なかった茶虎がもう一匹の主であるアレクに挑んできて、無事勝って来たようです。これで茶虎も諦めた事でしょう。やっと静かになりますね。

 え、パトラの怪我はどうだったって?もちろんパンチの引っ掻き傷だけですよ。こんな辺りに格の違いが現れちゃっていますよねぇ。


最初で最後と思われる実況に挑戦してみました。

うざ…拙い部分が多かったのではないでしょうか?お目汚し失礼しました。


鳴き声をどう再現するかが結構楽しかったです。でも全体は…つ、疲れた(笑)



6/30

・傍線が抜けていた所を追加


・訂正

ナイトを落とす前に馬ではなく女王クイーンに挑んでしまった。


ナイトを落とす前に(ポーン)のつもりで女王クイーンに挑んでしまった。


7/3

・誤字修正

いつも向こう傷が耐えない→絶えない

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