表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: 遥彼方

一歩進む

また一歩進む


目の前は霞んでいて

手を伸ばせる範囲しか見えない


突如開けたり

真っ暗になったり

時に壁が進路をふさぐ


よじ登ったり

迂回したり

飛び越えたりもして

先へと進む



進んでいくと何かを拾う

何かは様々だ


きらきらと綺麗なものだったり

めらめらと燃えるものだったり


ふわっと柔らかいものだったり

きりっと格好いいものだったり


ぽかぽかと温かいものだったり

ほわほわと優しいものだったり


りんと張りつめるものだったり

しんと冴えわたるものだったり



右手で拾って持つ

左手で拾って持つ


片手で持ちきれなくなって

両手で抱える


手だけでは足りなくなって

腕も使って抱え込む


両腕からもあふれて

こぼれ落ちる


こぼれ落ちたものを拾おうとして

また別の何かが腕から落ちる


ぽろぽろと

ぼろぼろと


落ちては拾って

また落ちて


新しく見つけて拾い

抱えきれなくなっていく



そのうちに拾うのを諦めたり

落ちたものを拾わなくなった


後ろには落としたものが

てんてんと続いている


今抱えているものより

もっと素敵で大切だった気がして

泣きそうになる


けれど進む

ただ進む



ある時かばんを拾った

これでもっと拾えると喜んだ


両手に抱えていたものを

ありったけつめこみ

背負ってまた進む


肩ひもが食い込み

背中はずっしりと重い



一歩進む

また一歩進む


空いた両手で

また拾い

腕いっぱいに抱えて

また拾う

あふれて

またこぼす


先は見えず

こぼしたものは数えきれない


行きつく先はどこだろう

背中とこの腕には何が残るだろう


一歩進む

また一歩進む




後ろには

落としたものが


てんてんと

道を作っている

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] まさに人生、まさに道でした。 思わず自分のあれこれと重ねてしまいました……
[良い点] めっちゃグッと来ました! すごいです! 『進んでいくと何かを拾う』 ここ! これを重荷と考えるか経験と考えるかで人生そのものに差がでそうです! その後も! 捨てると考えるのか置くと考え…
[一言] 私だったら、進みませんね。 拾ったモノは意地でも持っておきます。 (つまりは欲張り) 遥彼方様の詩はどれも心に響くものばかりで、いくらでも読んでいたくなります。
2018/07/17 23:28 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ