道
一歩進む
また一歩進む
目の前は霞んでいて
手を伸ばせる範囲しか見えない
突如開けたり
真っ暗になったり
時に壁が進路をふさぐ
よじ登ったり
迂回したり
飛び越えたりもして
先へと進む
進んでいくと何かを拾う
何かは様々だ
きらきらと綺麗なものだったり
めらめらと燃えるものだったり
ふわっと柔らかいものだったり
きりっと格好いいものだったり
ぽかぽかと温かいものだったり
ほわほわと優しいものだったり
りんと張りつめるものだったり
しんと冴えわたるものだったり
右手で拾って持つ
左手で拾って持つ
片手で持ちきれなくなって
両手で抱える
手だけでは足りなくなって
腕も使って抱え込む
両腕からもあふれて
こぼれ落ちる
こぼれ落ちたものを拾おうとして
また別の何かが腕から落ちる
ぽろぽろと
ぼろぼろと
落ちては拾って
また落ちて
新しく見つけて拾い
抱えきれなくなっていく
そのうちに拾うのを諦めたり
落ちたものを拾わなくなった
後ろには落としたものが
てんてんと続いている
今抱えているものより
もっと素敵で大切だった気がして
泣きそうになる
けれど進む
ただ進む
ある時かばんを拾った
これでもっと拾えると喜んだ
両手に抱えていたものを
ありったけつめこみ
背負ってまた進む
肩ひもが食い込み
背中はずっしりと重い
一歩進む
また一歩進む
空いた両手で
また拾い
腕いっぱいに抱えて
また拾う
あふれて
またこぼす
先は見えず
こぼしたものは数えきれない
行きつく先はどこだろう
背中とこの腕には何が残るだろう
一歩進む
また一歩進む
後ろには
落としたものが
てんてんと
道を作っている