嫉妬
池田紀穂、12歳。
フルートの音色に一目惚れし、即吹奏楽部に入部した。
同時に、双子の妹・志穂も紀穂につられて入部し、トランペットに所属した。
昔から、私は志穂に嫉妬していた。
"志穂"って言う名前の方がかわいいし、ふわふわしてて友達も多いし、華やかで、髪も少し巻いているみたいで、私と大違い。
だから私思ったんだ。
中学生になったら志穂に負けないような雰囲気になりたいって。いわゆる「中学生デビュー」。
まぁ、黒ぶちメガネ掛けてポニーテールにしただけだけど。でも、入学式のとき、
「え、うっそ紀穂!?」
「ポニーテールかわいい〜!ぶちメガネ似合ってるし!」
普通に友達が増えた。
「やっほ〜!紀穂、3組なんだ〜」
来た。邪魔な奴が。
「志穂。志穂は1組なんだ〜。」
「うん!そーなんだ〜!また一緒に遊ぼうね〜!」
「志穂。もうすぐ式始まるから戻りな?」
うるさいからさっさと帰って。
「志穂、紀穂、部活は決まったの?」
「私は吹奏楽部かな。」
「えー、なんでなんでー?」
うるっさ。あんたに関係ないでしょ。
「えー、別にー。」
「紀穂、教えてあげなさい?」
ほら出た。お母さんは志穂に甘い。
「えー、その、入学式の時の演奏でさ、フルートの音色かっこいいなって思ったから…」
「へぇー、そうなの〜。紀穂らしいわね。」
なにそれ。私らしいって何なの。
ま、とりあえず気持ち読まれないよーに笑顔でも作っとこ。
「で、志穂はどうするの?」
「んっとねー。なーいしょ!」
なにコイツ。