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10年後
最終回です。
強引な終わらせ方ですみません。
「えー! それって素敵〜!」
と、マイが目をキラキラさせる。
「ところで、そのTシャツって……」
と、凛奈が聞くと、池田はクスッと笑った。
「この学校の吹奏楽部のTシャツ。今デザイン考えて貰っているところなの」
「「えぇ〜!?」」
「で、その志穂さんの写真とかないんですか?」
「これよ」
と、池田が差し出したのは、1冊の雑誌だった。
細い指が指す方向には、少し池田と似ている人物がいた。
「えぇー! こ、この人って、有名デザイナーのSHIHOですよね!? 先生の妹!?」
と、加奈子が早口になって聞く。
「えぇ。そうよ」
池田はなんだか嬉しそうだ。
「そうそう、今日ね、私の楽器を持ってきたのよ」
「えぇー! 聴きたい! 聴きたいです!」
「はいはい。ちょっと待ってね。準備するから」
と、楽器を取り出した。
♪───────
どこまでも響き渡るメロディー。
これは、池田の初めてのコンクールの自由曲だった。
演奏が終わった後、拍手が巻き起こった。
そして、池田は可愛らしい笑顔を見せた。
その姿は、10年前の紀穂と変わらなかった。




