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幽霊になった少年は「死」を望む  作者: よくさく木葉
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プロローグ 考える少年

プロローグ的なやつ

尚「プロローグ」の意味はよくわかっていない模様

 俺は幽霊を信じない。

 既に一生を終えた生命が、死してなお生者と交わろうとするだなんて、そんなことがあっていいはずがない。この世の全てのものには等しく生と死が与えられ、俺たちはただそれを全うするだけ。生まれてから死ぬまでを必死で生き抜いて、死んだあとは……まあ無になるとかあの世に逝くだとか転生するだとかいろいろあるけど、とりあえず生きていた頃の「個」とは別の存在にならなければならない。と、俺はそう思っている。

 幽霊なんて存在してはいけないのだ。もしも存在したいのなら、こことは別の、あの世みたいなところに閉じこもって、せめて生者と交わろうとするのだけはやめてくれ。ここに囚われずに、新しい世界の住人になってくれ。

「――で、あるからして、この式にこれを代入することで――」

「ねーねー、あの雲わたあめみたいじゃない?」

「…………」

 窓から吹き込む風が暖かくて気持ちの良さそうな4月の終わりくらいのこと。

 数学の授業中。俺は自分の席に座り、先生の話を聞き流しながらそんなことを考えていた。

「――ここでこれをこうすることで、ここがこうなり――」

「あ、あっちのは豆腐だね!」

「…………」

 俺がこの大加(おおか)高校に入学してからもうすぐ一ヶ月、“こうなって”からは一週間くらいが経とうとしていた。

 当たり前なのだが、初めての経験に最初の時こそドキドキしていたが、もうこれだけ経つと慣れつつある。慣れというのは恐ろしいものだ。

 ……まあ、慣れないとやっていけないくらい、どうしようもなかっただけなんですけどね。

「――ここは中学の時も習ったと思うが、これを使うことで――」

「向こうの方にある、あれ! あれは何の形かな?」

「…………」

 なんとなく、辺りを見渡してみる。

 一般的な広さの教室に、生徒用の席が1列6席で6列並んでいる。そのうち35席は埋まっている状態だ。そして、その席についている35人は皆ノートをとっている。誰ひとり私語をすることもなく、とても真面目に。

 窓から外を見てみる。4階ということもあって、なかなかにいい景色だ。視線を下の方に落とせば、どうやらグラウンドで体育の授業をしている。

 この学校は4階建て。1階は玄関や職員室や事務室なんかがあり、2階は3年生、3階は2年生、そしてここ、最上階の4階には1年生の教室がある。ちなみに教室があるこの建物が教室棟とか呼ばれていて、特別教室はまた別の建物にあるらしい。

「――これを応用することで、こんな式も簡単に解ける。それじゃあ、実際にやってみようか」

「わたし的にはあれは猫かなぁー。それで、あっちが犬!」

「…………」

 視線を前に戻すと、先生が手にプリントの束を持っていた。どうやらこれからあれを配るらしい。

 あまり話を聞いていなかったけど、多分今習ったことをおさらいするとか応用するとかそんな感じか。そういえば、俺数学得意だったな……。

 右の列、廊下側の席からプリントが配られていく。俺は末津(まつづ)で「ま」なので、このクラスだと一番左側の列の前から2番目の席――が本来の位置なのだが、今は訳あって一番後ろの席になっている。

「それで……あれはなんだろ? ねぇ、なんだと思う?」

「…………」

 プリントは人数分あったようで、特に問題なく35名全員に行き渡る。

 前に座っていた若葉(わかば)さんという女子はプリントを受け取って内容を確認すると、「ムズっ」と小声で呟きながらもすぐに取り掛かっていた。そんなに難しいのか。

「猫にも見えるような……いや、でもさっき猫は使っちゃったからなぁ。ねぇねぇ、何に見える?」

「…………」

 まあ若葉さんってなんか勉強できなさそうだし、そのせいで難しいと感じるのかもな。完全に見た目で判断してるから事実は知らんが。

「ねぇ、聞いてる? ねえってば!」

「…………」

 しかし、本当にみんな真面目にやってるよな……。大体こういうのって何人かは居眠りとか本読んでたりとかしそうなものなのに。まだ高校生活が始まったばかりだからか? それともこのクラスだからか?

 もし高校生活が始まったばかりで真面目にやってるだけなら、そのうち誰かがボロ出して、そこから一気に不真面目なクラスになりそうだなー。でも、もしこのクラスだからなら……

「ちょっと何無視してるのよ! 返事しなさいってば! ねえ!」

「…………」

 ちょっと悪い事してしまったかな。といっても、俺がやりたくてやったわけじゃないんだけど。

「返事しろって言ってるでしょナオキ!」

「あいてっ」

 ペちんと頭を叩かれる。握りこぶしで殴られたのに「ごちん」ではなく「ぺちん」というところがなんともコイツの非力さを表してる。

「いきなり何すんだよ」

「何すんだよじゃないわよ! ナオキが無視するのが悪いんでしょ!」

「だからって叩くことはないだろ」

「先輩を無視したんだから当然でしょ!」

 顔を真っ赤にして怒る。……実際には肌は透き通るような白のままなんだけど、色が変わるとしたら真っ赤になっていただろうな。

「別にユマを無視したわけじゃない。今は授業中だから静かにしていただけだ」

「無視とどこが違うのよ」

「全然違う。無視ってのは自分の意志でするもんだ。それに対して静かにするというのは、なんというか……そう、ルールだ。授業中は私語を慎むというルールに従って、しょうがなくそうしているだけなんだ」

「まあ確かに、ルールなら仕方ないわね」

「そう、仕方ないだろ?」

 ユマにそう言い聞かせる。ユマは見た目こそ幼く見えるが、これでも俺と同じ年齢……いや、俺よりも上なんだ。話せばきちんと理解してくれる。

「それはそうとナオキ」

「なんだ?」

「なんでわたしを無視したのよ」

「だから言っただろう。ルールに従って――」

 そこまで言ったところで、ユマはセリフを遮るように机を思い切り叩く。――ような動作をする。

「ルールを守るのは確かに大切よ」

「そうだな」

「でもナオキには関係ないでしょ?」

「…………」

「だってナオキは、わたしは――」

 窓から吹き込む風が暖かくて気持ちの良さそうな4月の終わりくらいのこと。自分では気持ちが良さそうと想像しかできなくなってしまった、4月の終わりくらいのこと。

 今は数学の授業中。生徒35名教師1名が真面目に授業に参加している1年B組の、教室の窓側の後ろの方。俺は自分の席だった場所に座り、ユマはそんな俺の目の前に漂い、ここにイる。

 どんなに騒ごうが、誰もこちらを見ない、誰も気にしない、誰も気づかない。

 当たり前だ。だって、俺たちは――

「――もう死んでるんだから。死者にルールなんて関係ないでしょ?」

「……そう、だったな」

 大加高校に通う1年B組の出席番号32番、末津直樹(なおき)。ルールを守らなくてはいけない彼はもういない。ここにいるのは、そんな彼から生まれた残留体。

 すなわち、この世界に存在してはいけない、幽霊なのだ。

チッス木葉っす!

こう、頭の中にいきなり思い浮かんだ設定をどうにか形にしたくて、イマイチしきれなかったお話っす

まともに話の展開も考えてないし、既にこの次の第1話を書いた時点でネタ切れ感がぱないっす

でもせっかく書いたのにこのまま消しちゃうのももったいない気がしたので、とりあえず投稿してみやした


最後までかけたら奇跡だな程度のいい加減な考えで書いているので、読むときもそんな感じで頼みます

あ、でもだからといってては抜いてませんよ! 1話1話常に俺の全力で書いてるっす!

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