第6話 任務開始(1)
任務開始(1)
「で、この3人はどこにいるのだ?」
ルシファルは3人の顔写真を隣にいるメイドに見せた。
「知りません。」
メイドことキリコは不機嫌そうにルシファルの視線を逸らし、適当そうに返事する。
しまったな。キリコにそういう事はタブーだった・・・。
ルシファルは今朝、キリコに自分の夢を素直に言ってしまった事をいまさらながら後悔している。
「と、とにかくだな。まずはこの3人を探さなくては。」
「そんなのは1人で探せばよろしいのでは?なぜ私があなたと一緒に探すんですか?」
「そ、それはお前は僕のメイドだろう。メイドは主に従うものじゃなかったのか?」
キリコの不機嫌はまだ直っていないようである。たかが夢でこんなになるのがルシファルには不思議でしょうがなかった。
ルシファルは3人の写真を見やる。グランとコテツとネオが映っていた。
きゅるるる〜
キリコの腹の虫が鳴った。
「ぷっ、あははははは」
キリコは頬を赤らませた。耳までも赤い。
「よし、昼御飯にしようか。誰かさんが腹が減っているようだからな。」
「え、あ、す、すいません・・・ううう」
隣から見て顔が紅潮しているキリコはとても可愛い。抱きしめたくなる衝動を抑えて、食堂へと向かっていった。
そしてキリコとルシファルは同じテーブルについた。
キリコはてんぷらうどんを注文し、ルシファルはカレーとラーメンのセットを注文した。
そして各自、目の前にあるものを食べ始めた。
「んでよぉ、その校長の息子ってやつはどうやって探すんだぁ?」
口調が荒く、声の大きいグランはそう言った。
「ふむ、校門に行ったらどうだ?」
冷静な声でコテツが返事を返事で返した。
「じゃあ、行ってみるか。待ってるかもしれないしな。」
とネオがまとめた。
「けどよぉ、校長の息子ってのが何となく気にいらねぇな。
親のスネかじってるやつはロクデナシって相場が決まってんだよ」
「それはありえるな。」
グランとコテツは校長の息子とやらにいい印象は持ってないようだった。
隣のテーブルにルシファルが居るとも知らないで・・・。
ピクっ ピクピクっ
「わ、私はルシファル様の部屋に戻って掃除してますね・・・。」
そう言ってキリコはそそくさと食堂を後にした。
(こ、こいつら・・・。校門に行ったら殺してやる・・・。この愚図どもが・・・。)
ルシファルはこめかみをピクピクさせながら食堂を出て校門へと向かった。