第3話 2人(3)
第3話 2人(3)
嗚呼、これは夢か現実か。
どうせなら現実であってくれ。俺の夢のハーレムがまさにここにある。
美人の女とウハウハ。女はよりどりみどり。あぁ何て幸福。
「起きてください。」
女に揺すられて男はゆっくりと目覚めた。
「むぅ・・・。夢だったか・・・。」
がっくりときたなぁ、久々に。
「どんな夢を見てたんですか?珍しいですね。」
メイド服の女性は15、6くらいの女の子だ。
この思春期まっただにメイド服を着れるということはそれなりに違う環境で育てられたのだろう。
起こされた男はボリボリと頭をかきながら欠伸をする。
「んー、ハーレ・・・」
「寝るのはいけないよ。今日からめでたく生徒になるんだからね。ちゃんとしなさいよ。」
ハーレムと言おうとする前に男が口をはさんだ。
「あ、父上。おはよう。」
父上と呼ばれた男の姿はそこにはない。どこからか声がする。
「おはようって・・・ねぇ。もうそろそろ夜だって言うのに・・・。」
「まぁ、僕の睡眠はいつ如何なるときでも眠れるもんだから硬いこと言わないで欲しいね。」
「とにかくシャンとしてなさいね。仮にも僕の息子なんだから。」
「わかっています。」
さっきまで寝てたソファから離れてメイドのキリコから用意されたスーツを着る。
スーツはもちろん黒に縦に縞々が施されているデザインのものだ。かと言ってビシッと着るのもおっくうだ。
Yシャツの第2ボタンまではずし、ネクタイを少し緩める。
「ところでルシファル様。さきほどの夢が何なのか少々、気になるのですが・・・。」
鏡で服装と髪を確認してキリコの方を振り返って
「ハーレムの夢見たのだ。それはもう極楽だったよ。女の子もよりどりみ・・・。」
全て言う前にキリコは頬を赤らめながらルシファルの顔面に拳が入った。
−あぁ、お決まりのパターンだな−
そう思いながら意識を失った。