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 ◆


 魔城クリスタニアが崩壊してゆく。

 水晶が魔力を失い濁り、ひび割れ崩れ落ちる。

『ゥオオオノォれぇッ! このワシが、こんなッ! 辺境惑星の……原生人類なぞに……低次元の……魔法などにぃいいッ!』

 絶叫する魔導師、レプティリア・ティアウの肉体がブクブクと沸騰した。そのまま肉が溶け、異形の骨が露出する。流れ出したどす黒い体液がジュウジュウと白い煙をあげる。


「ファリア、アルゴート! 城が崩壊する……飛んで!」

 レントミアがスカイボードで真上を旋回、魔法通信を通じて叫ぶ。


「どうすれば!?」

「ファリアさん、ベルトの腰にあるレバーを下げて!」

「これか!」

 アルゴートの声に従いファリアが魔導強化甲冑を操作、途端に背面の浮遊スラスターが展開、空力魔法が発動する。


蓄魔石(キャパシスタ)の残存魔力が少ないけど、ググレの場所までは滑空できるよ!」

「合流しましょう!」

「あぁ!」

 足場が崩れるのと同時に二人は飛び立った。

『ブッギャァアアア……!』

ドロドロの肉片になった魔導師レプティリア・ティアウの断末魔の悲鳴を、魔城の崩壊が飲み込んだ。色を失って灰となった水晶が、盛大に地面に激突し爆ぜてゆく。


「おぉおお……!」

「やりましたね!」

複合要素検知(マルチチャネル)索敵結界(サーティクル)に反応なし、完全にやっつけたね」

 レントミアがほっとして魔法通信で状況を報告する。

 魔力、熱、次元振動、電波、磁力……様々なエネルギー形態で検知する最上位の索敵結界(サーティクル)からも反応は消えた。

 状況は、上空を警戒する飛行戦艦ホウボウ号カスタム、それに地上の賢者ググレカスにも伝わった。

 完全に異次元の魔導師レプティリア・ティアウとやらは消えたのだ。



 ぷーん、と蚊のような羽虫が飛んでいた。

 さっきまで激しい戦いが行われていた現場から、音速近い速度で。


 ――っぷはぁはああああ!?

 あっ、危なかったぁ……!

 今のは危なかったぞぁおおお……!

 この(ワシ)を……あそこまで追い詰めるとは。この星の連中もなかなかやりおる……。

 じゃぁが……!

 詰めが甘いのじゃ。ヴァカめらが!

 儂が、レプティリア様の本体が、この小さな体であるなぞ、数千年間誰にもきづかれておらぬ。

 魔導師の体は便利じゃった。

 少々醜く、老いさらばえ、生殖機能も失われとったゆえ、良い機会じゃ。

 

 次はあの肉体を頂くとしよう。

 若い、エルフの娘……!

 次元を飛翔する指標となる魔力を宿したあのエルフの脳幹に寄生し、操ってくれようぞ。


 ヒヒヒ……!

 耳から入り脳幹を支配するなど、いつぶりじゃろう。


 ――いたいた……! あれじゃ!


 空を飛ぶ魔法のボードに乗った若いエルフ。

 若草色の髪をなびかせた美しい魔女。

「ファリア、アルゴートこの空域から離れるよ!」 


 ――グヒヒ、いただきィイイ……!

 レプティリア・ティアウは慎重に接近した。


<つづく>

【作者よりのお知らせ】

手違いにより半分の段階で投稿してしまいました。

近々続きを最新話として投稿しますね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔導師レプティリア・ティアウ、危機一髪! 悪辣なひょろ眼鏡とその仲間どもの所為で酷い目に遭ったが、捲土重来ということでしょうか。 [気になる点] 誤字・脱字等の報告 特にありませんでした…
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