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かしかり  作者: 湯城木肌
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少女-3.クラス会

 

 帰りたいなぁ。


 正直なところ、今のわたしの心境はそんなところだった。

 新しいクラスの親睦を深めるという名目だったはずだったけれど、来ている人数はクラスの半分程しかいない。

 こんなに集まりが悪いならわたしも来なくて良かったんじゃないかな、って考える。でも、同じ管弦楽部の友達が参加すると答えたから、部活があると嘘をついて断ることが出来なかった。

 特に用事がなくても断れる勇気をください、サンタさん。まだ七ヶ月先だけれど。


 午後一時過ぎに親友の掛け声で乾杯して、それから三十分程経っている。バイキング形式の九十分コースだから、あとこの空間に一時間いなきゃならないんだ。

 長机二つがあったので男女別で割り振られていた。わたしの向かいは親友、右は管弦楽部の友達、左は壁、後ろも壁。こんな席じゃなかったら、ちょっと耐えられない。親友がわたしを引っ張ってこの席に座らせてくれ本当に助かった。


 こんなんだから、人見知りが直らないんだろうな。

 人見知りが治って仲良い人ばかりになっても、大人数で騒ぐのは苦手だから、今と同じように隅に座るのは変わらないかもしれないけど。少人数でワイワイしていたい。

 もしかしたら、人見知りと大人数で騒ぐのが苦手というのは同じ脳の部分が原因なのかもしれない。全く無知な脳の神秘について妄想を膨らませてみる。


「おーい。そろそろ現実に戻ってこーい」

「へやっ」親友の言葉に我に返る。どのくらい妄想してたんだろう。

「またボケーっとしてたよ」管弦楽部の友達は携帯電話をいじって、その画面をわたしに見せてきた。「ほら、証拠写真」

「わわ、ちょっと消してー」

「えー、どうしよっかなー」

 そんなくだらないやりとりを続けて、残りの時間を耐えきった。

 よく頑張った、わたし。


 食事前に皆から集めていたお金で幹事が会計を済ませている間にわたし達は店の外に出る。

「お腹一杯食べたー?」

「うん」

 二、三日ちょっとご飯の量を減らそう、と心の中で堅く決意する。

 幹事が店内から出てきて、少ないけど集まってくれてありがとう、といった内容を話す。


「で、これからみんな時間ある? カラオケ行きたい人いない?」

 幹事の言葉にクラスは盛り上がる。

「お、二次会か」

「行く行く」

「やっぱり飯だけじゃ物足りないよな」

 これは、クラス全員行く流れだ。途中で抜ける人はいなさそうだ。

「カラオケかあ」

 無理矢理歌わされる流れになりませんように、と強く願った。


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