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世界は俺の隣を中心に回っていた  作者: 白白明け
黒髪短髪金眼根暗少女
16/24

第十五話

黒い巫女の手を差し伸べてしまった俺。

一体それがどのような結果をもたらすことになるのか、俺はあの時、まだ何も知らなかった。



「兄さんっ!」


俺を呼ぶ弟の声が聞こえる。

声のした方を見れば、弟は気絶し意識を失った黒い巫女を腕に抱えながら涙を流していた。

何で泣いてんだよ。答えは自明。この腹から流れ出す熱い塊。

ああ、本当にらしくないことをしてしまった。そんな思いしか、もう浮かばない。


「愚かなり。貴様のような弱者が我が舞台に上がるなど、自殺願望でもあったのか?」


最後の敵、ギルド『王国』のトップ『王さま』は平坦な声でそう言った。

そう、黒い巫女。彼女こそが『ユメワタリ』の世界を牛耳ろうと暗躍していた『王国』のある最終計画の最後のカギであったのだ。


そしてその彼女に手を伸ばしてしまった俺は弟と弟のギルド『虹色の絆』に助けを求め、共闘しあと一歩のところまで『王国』を追い詰めるも、動き出した最強のプレイヤー『王さま』の手によって致命傷をおってしまう。

ゲームにおいての死亡はただ死に戻りするだけなのだが、『王国』の悪の技術力によりなんやらかんやらなった結果、現実世界での脳死を意味する結果となっていたのだ。


そして俺はそれを知りながら弟と黒い巫女を救う為、葛藤とかなんやらかんやらした末にその身を『王さま』と弟との間になげうち、身を貫かれた。


「にいさぁあああんっ!よくも、許さないぞ・・・王さまぁあああっ!」


「恐怖を憎しみで覆い隠し、なおも我に挑むか。くくく、良いだろう、小僧。貴様に我が嘗て受けた苦しみ、憎悪の全てを教えてやろう。そして知るが良いっ、その程度の憎しみなど、粗末なものでしかないということをっ!」


「憎しみを、苦しみを、振りまいているのはお前だろうっ!何人、何人の人が泣いたと思っているんだっ!どうして、どうしてアンタはっ!」


「黙れっ!変革に犠牲は付き物なのだっ!たとえどれだけの血と涙が流れようと、この世界は変わらねばならないっ!この停滞に淀み、汚泥に満ちた世界を浄化することこそが我が願い。真の意味での夜明けを迎え、明日へと続かせることこそ我が望みっ!」


「アンタの言いたい事も、わかる。けど、それでも俺達は今日を生きているんだよ!変化なんて要らない、ただ平穏な今を生きたい。そういう人達だっている、兄さんはっ、そう願っていたんだ!アンタのやっていることはそういう人達を蔑にした、ただの独りよがりの暴力なんだよ!絶対に、変革なんかじゃない!アンタは、なにもわかっていない!」


「なにも知らぬ小僧が、我が願いを愚弄するかっ!わかっていないのは貴様の方だ。なにも変わらぬ平穏が生きたいだと・・・・それは強き者の理屈だ。今に満足している奴の理屈なのだっ!世界にはいるのだ、我のように、その黒き巫女のように、今日など要らぬと、ただ変化を求めるしかない弱き者達がっ!ならば、声も出せぬ程にか細きその者達の為に、『王さま』たるこの()がっ!世界を変えなきゃならない!」


「なにいってるんだっ・・・彼女は、この子は関係ないだろ。勝手に巻き込んでんじゃない!」


「やはり、か。我と黒き巫女の関係も知らずに手を差し伸べたのだな。愚かなり。貴様といい、力無き者の癖に無謀にも我に挑んだ貴様の兄といい、本当に救いようも無い愚か者だよ」


「っっ!兄さんを、俺を救ってくれた兄さんを馬鹿にするなっ!俺の兄さんは最高の兄さんだっ!俺なんかよりもずっと強い、人だ!」


「く、くく、はははは、貴様が強いと言っているのはそこにボロ雑巾のように転がっている奴のことか?我を笑い死にさせる気か?はははは」


「笑うなよ。笑うなっ!ゆるさない、アンタだけは、絶対に許さないっ!」


突如あふれ出した黒いもやもやが弟の右腕を覆い、なんやらかんやらでパワーアップを果たした弟が押し返し始めるのを見て、俺は息も絶え絶えになりながら


「よせ、弟。憎しみで、『王さま』を倒すな・・そうしてしまえば、お前が第二の『王さま』に・・」


などと、言い。役目は果たしたとばかりに死ぬ。



そんな、夢を見た。



「っ!はぁ、はぁ」


寝苦しく飛び起きた俺は尋常じゃない量の寝汗をかいていた。

なんか、すごく嫌な夢を見た気がする。



∇ ∇ ∇ ∇ ∇ ∇ ∇ ∇ ∇ ∇ ∇



次の日、約束通りに俺とマナの泊まる宿屋に来た彼女をマナに紹介した時の騒動は、それはもう思った通りの騒がしさだった。

もはや怒って帰らなかったことが不思議なくらいに罵倒を浴びせられた彼女。

大丈夫かと聞けば、なれているからと返された。

彼女にとっての嫌な経験が、妙な所で役に立ったものである。


マナの罵倒を聞き流せるタイプの人間は貴重だ。

彼女がその素質を持っている時点でマナと仲良くやるための最低条件を満たしているわけだし、友達にな

ってやってはくれないだろうか。

そうすれば俺以外に話し相手のいないマナにとっても嬉しいことだろうし、何よりあいつが少しでも社交性に目覚めて世間一般でいうところの風紀を知ってくれれば俺が襲われる可能性だって減る。

いいことづくめだ。まあ、そう、上手くいかないということくらい、痛いほどわかってはいるが


「つっ、マナのマキにくっ付いてんじゃねーよっ」


「ごめんなさい。不快なら、あやまるから」


「あんたの存在自体が不快だっつーの。死ねば」


「それはできないの。私も死んだ方が幸せなんじゃないかと思ったことはあるけれど、そんな幸せを神様が許してくれるわけが無かったから」


とりあえずさらっと重い話をするのは止めて欲しい。

見ろよ、罵倒していたマナでさえポカンと口を開けて固まってしまったじゃないか。

そんな、なんなのこの子という視線で俺を見たところで返す言葉は俺にはないぞ、マナ。

彼女の名前すら、俺は知らないんだからな。


・・・・って、それは不味いだろ。一応これからパーティーを組む相手だというのに。

俺は格好から彼女を巫女さんだと思っていたけれど、実は違いましたという落ちもあり得る。

世の中にはバイクのヘルメットを被った格闘家がいるくらいだ、巫女装束を着た戦士とか騎士とかが居てもおかしくない。


「お前って巫女だよな?」


「ええ、」


「プレイヤーカードとか見せてもらってもいいか?」


「かまわない。あの、私の手に触れないように気を付けて」


差し出されたカードを受け取る際、なんだかセクハラ染みていてあんまりやりたくなかったんだがわざと彼女の指に触れておいた。

あっ、という彼女の視線を気にもせずカードを見る。脇からマナも覗きこんできた。



―――フレンドリスト―――


プレイヤーネーム  『ユウヤミ』

レベル       『33』

職業        『巫女』

スキル       『演舞 呪術 清浄 結界 神降ろし 不運 堕落』

セットスキル    『呪術 不運 堕落 清浄 神降ろし 結界』空きスロット0

発動スキル     『呪憑き 清浄 結界』

称号        『忌物の巫』

装備        武器 呪いのお札

頭 幸せ運びのイヤリング

腕 幸せ運びの腕輪

          胴 呪われた白衣

          腰 呪われた緋袴

          足 呪われた草履



レベル33、思っていたよりかなり高いな。

授業が始まってまだ4日目だというのにこの数字は、もしかしたらユウヤミは上級生なのかもしれない。

だが、何故だろう。たとえそうだとしてもこの人を先輩と呼ぶ気にはなれない。

ふむ、誤認逮捕してきた馬鹿騎士はおろか絡んできた不良達ですら先輩と呼ぶことに躊躇を持たなかった礼儀正しい俺だというのに何故なのだろうか。

と、俺はそんなことを考えていたわけだがマナは別の所に眼を付けていた。


「・・・・なにこれ、あんたふざけてんの。なんで呪いの防具三つも付けてるわけ?よくこんなふざけた仕様でマナ達のパーティーに入ろうって思ったじゃん。舐めてんの?」


「舐めてなんていないわ。この装備が私には一番良いの、こうしていれば誰も私に不用意に近づこうとしないもの」


「キモっ、高根の花気取り?近づこうとしないんじゃなくて近づけないレベルじゃん、これ。『不幸』スキルの上位、『不運』スキル持ちなうえ、巫女なのに『堕落』してるとかマジありえないっしょ。しかも『呪憑き』なんていう聞いたことも無いヤバげなスキルまで発動してるし・・・ねえ、マキ。やっぱり、二人だけで狩りに行こうよ」


マナは俺の腕にすり寄って、ユウヤミがどれほど役立たずで有害な存在かを語ってくるわけだが、残念だな。

ただでさえ10年以上ゲームから離れていて疎いというのに耳元でそんな一気に情報を聞かされた所で、俺のゲーム脳は半分も処理できんぞ。

まあ、呪いの防具とか『不運』スキルとか言う程度ならニュアンスで大体は理解できるが、それ以外はさっぱりだ。


「なあ、ユウヤミ。確認なんだが、お前は巫女で回復とか状態異常を治すとかそういうことができるんだよな?」


「ええ、『清浄』には問題はないもの。けど、『結界』と『演舞』を使うならそのつど替えなくてはならないわ。『呪術』は巫女の固定スキルで、『堕落』と『不運』と『神降ろし』は呪いだからこの身から離れることはないの」


呪い、呪いね。どうでもいいけどお前、好きだな、その言葉。

話からすると『清浄』のスキルがあれば回復と状態異常を直すことが出来るだろう。

それで今付けている『結界』って言うスキルはまあニュアンスからして防御系。

そして、『演舞』が攻撃スキルか?いや、踊りを踊って味方を鼓舞して強化するっていう類の能力かもしれない。

などと、歩きながら考えた結果、俺は何の問題も無いんじゃないかっていう結論に至った。


「俺が欲しかったのは回復役の後衛な訳だし、それが出来る上になんだか知らんが『結界』やら『演舞』が出来るっていうなら、上等だろう。お前を誘ってよかったわ」


俺の言葉にユウヤミはなにも言わなかった。

言ってきたのは、腕にまとわりつく奴の方だった。

アイアンアームの鉄が使われていない部分にマナの爪が喰い込んで来る。

普通に痛いぞ。なにすんだこのアマは。


「ねぇ、マキはどうしてそいつに優しくするわけ?」


どうしてって、お前。みりゃわかるだろうが。


「お前にそっくりだからだよ。どうしようもなく、ガキっぽく見える所とか。マナといいユウヤミといい、救えないほどの馬鹿だからな。そういうやつは、嫌いじゃない」


マナだけじゃない、ユウヤミがどうしようもないほど馬鹿だということは話を聞いていてわかった。

なんかもう、この根暗女を可哀相だなどと思って心の中で零した涙を返して欲しい位だ。

金眼が何か言いたそうに睨んで来るが、なんだ、こいつは自分でもわかっているだろうが。

自分で好き好んで呪われた防具を身につけて不幸を背負ってる奴なんて、馬鹿以外の何物でもないだろう。


こいつがどういう経緯をへて、呪われてまで人を遠ざけようと思ったのかは俺には分からない。

辛い目に会ったってことは確実なんだろう。

~~菌の件から、苛められていたということもわかる。


だが、よくよく考えればおかしな話だ。その苛めは小学生特有のノリで行われるもの、今現在まで続いている筈がないのだから。

無論、それ以外の苛めを未だ受けているという可能性はある。

小学生の苛めが苛烈なら、高校生の苛めは陰湿だ。俺の知らいないどこかでいじめを受けている奴が居ても不思議じゃない。

そう、王黒学園以外の場所であったなら、な。


恥も外聞も捨てて行ってしまえば、俺は弟のことを俺以上に信頼している。

いや、弟の異常性をよく知っていると言った方がいいか。

まあ、ともかくだ、だからこそ俺は弟が生徒会としている学校で苛めが起こる筈がないと真顔で言える。

学校で何か事件が有った時に、お偉いさんは我が校では苛めは確認できなかったといいながらも、実際はそんなことがあり得ないこのご時世で、王黒学園に限れば苛めはあり得ないと、そう言える。

弟がそんなことを許す筈がないのだから。

初等部は苛めではなくからかい止まり、妹のいる中等部は言わずもがな、そしてあいつ自身が身を置く高等部ではあり得ない。


ならそう、ユウヤミという女の子が苛められていると聞いて、柄にもなく熱くなっていた所為で忘れていた、彼女を苛めているという存在は何処にいる?

学校外の奴か?こいつが外を出歩くタイプの人間に見えるのか?

家庭内の問題?論外だ、家庭に問題があるならこいつはゲームなんてやってない。そんな金を出してはくれないだろう。

なら一体何処に?学校でもない、社会でもない、家庭でもない、一体何処にこいつを苛める奴らがいる?


簡単だ。此処にいる。このゲーム『ユメワタリ』の世界に、ユウヤミという女の子を苛める奴がいる。

考えれば、本当に簡単なことだった。思えば行動の端々に滲み出ていたことだろう。

ユウヤミは呪いの防具によって出る効果を持ちだして、自分は呪われていると言っていた。

殴るけるは止めて、卵を投げつけろとも言っていた。あの時は動揺で気付かなかったが、これはない。現実の世界で女の子に生卵を投げつけて苛める奴が何処にいる。卵がもったいないだろう。

投げつける方もいやだろうし、投げつけられる方も狂人でもなければ流石に手を広げて受け入れる、なんて真似出来る筈がない。

そして話していてわかったが、こいつは狂人なんかじゃない。


思わず漏れる大仰なため息をいったいだれが止められよう。

騙されていた、というのとは違うか。俺が勝手に思いあがって、空回りしていただけだろう。

ユウヤミはただ何時ものように、昔、苛められていたのを根に持って誰も近づくなと、そう言い続けていただけ、なのだから。


いや、それも違うか。近付くなというのなら、そもそも最初から『ユメワタリ』というゲームをやる必要がない。

現実世界ではまだ怖い、だからゲームの世界でリハビリでもしてみよう、けど、苛められていた自分は他人とどう付き合っていいのかわからない。

そんなこいつは、それはもう周りから浮いていたことだろう。

周りはみんな、ゲームを楽しみたくて、誰かと一緒にやりたくて仕方なかったわけだから、怖いから一人で居ようなんて考えが根にあるユウヤミからは人が離れていった。

そしてこいつは孤独が恐かった、当然だ。一人になるのが嫌でゲームを始めたのだから。

でも、どうやったら友達が出来るかもわからない。自分に分かるのは、どうすれば苛められるかだけ。

そうだ、苛められてさえいれば、周りに人がいてくれる。ゲームの中なら、苛められるのもそんなに辛くはない。

苛められよう。独りは恐いから

そんな淘汰的で堕落的な馬鹿思考に至るこいつの姿がありありと浮かぶ。


そりゃ、弟に出会えないわけだ。不幸な少女(ヒロイン)自身が、救われることなんて、望んでいなかったのだから。


「お前らさ、かまって欲しいなら素直にそう言った方が良いぞ」


マナとユウヤミ、似た物同士だということを否定し合い、口論していた二人から返ってきた言葉は、それはもう息のぴったり合ったものだった。

やっぱりお前ら、仲良くられるよ。

と、そんな言葉を呟く頃、俺達はようやく『未明の渓谷』に辿り着く。


え、もうやることは終わってしまったんじゃないかって?

おいおい、なにを勘違いしているんだよ。まだ始まってすらいないじゃないか。

最初から言っているだろう。

俺の目的はただ、ユウヤミの力を借りてコカトリスを倒すことだけだって。

その過程で今、隣でまだ口論を続けている女の子が勝手に助かってしまったからって、そんなことは知ったことじゃない。そんなものは副産物だ。

あくまでも俺の目的はコカトリスを倒すこと。


けど、まあ、まあまあ、確かに防具を一新してパワーアップを果たし、さらには一番厄介だった石化への対抗策としてユウヤミを手に入れてしまった俺達が、今さらあんなフライドチキンになるしか能がないモンスターに負ける筈も無いわけだし、特に特別な描写も必要無くテンプレ通りに勝つ筈なわけだからな、本題と副題が逆転して見えてしまうのも仕方がないことではある。


というか俺もてっきりそうなると思っていた。

実は此処だけの話、主人公気質は少々あれど主人公補正を持たない俺がどうやって不幸な少女(ヒロイン)を救おうかと一晩中頭をこねくり回して、それらしいセリフなんかも考えていた。

弟と違い俺は女の子を一人救うのにもその場の感情だけで動くわけにはいかない、感情のままに心に響くセリフを言うとか、普通に無理だ。

だから、一生懸命色々と考えていたりしたんだが、無駄になってしまった。

それはもう、もったいない気がしてならない。

・・・・マナとユウヤミが口論を続けている今なら、誰も聞いていないし、言っておいたり、しちゃおうかな。

頑張って考えたんだしさ、うん、そうしよう。


「不出来な奴が不幸でなきゃいけないなんていう決まりは、何処にもないだろ。お前は、幸せになってもいいんだよ」


それはさて、本当にユウヤミ一人に向けた言葉だったのか。流石にそれを語る必要は、もうないだろう。

必要も無い不幸話を、一体誰が聞きたいというのだ



ともあれ、これにて物語はいったんの幕引き。

世界の中心の隣に立つ俺の、自作自演のヒロインとヒロインだった女の子、そんな中途半端な彼女達との物語はまだまだ続いて行くんだろうけど、それこそ語る価値はない。

まあ、それでも見たいというのなら、

諸君がちょっと隣を見てみれば俺達の姿はそこにある。

何処にでもあるような平平凡凡な日常、やまなし、たになし、落ちるだけ。

そんなどうでもいい、その辺のファーストフード店で、ポテト片手に暇つぶしに語られるような話でしかない。


そんなありきたりなモノよりも、どうか俺の自慢の弟の物語を見て欲しい。

きっと妹や幼馴染、可笑しな生徒会長やその妹、先輩も後輩も巻き込んで伏線を張りまくっていたラスボスに挑む絢爛豪華な大立ち回りがみられることだろう。


俺もまたそんなそれが楽しみでならない、弟のから武勇伝を聞く夜は、さていつになることやら。

まあ、気長に待つとしよう。幸い、退屈だけはしないで済みそうだ。

ゲームの世界、この『ユメワタリ』の世界には暇つぶしなんて幾らでも転がっているのだから。


では、一同諸君。弟の武勇伝を俺の口から語るその日まで、もうしばらく前座で余興な俺の物語を、聞き流していてくれ。


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