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ろくじゅう。

 





私がヴェルノさんのところへ無事帰ることが出来てから半月後、船は綺麗に直され、今日やっと海へ出ることができるようになったのです。




「海ーっ!!」




久しぶりに出た海はとっても綺麗で広いのです。新品のように新しくなった船の甲板を駆け回っていましたが、ヴェルノさんは船内から出てくると真っ直ぐに私の方へ歩いてきました。


そうして手摺の間から海面を見下ろしていた私にちょっとだけ目をつり上げて抱き上げられます。




「馬鹿、落ちんぞ。」


「ごめんなさいなのです。でも、久しぶりの海は大きいのですよ!」


「海の広さなんか変わらねェだろうが。」




広さを両手いっぱいで表現してみましたが、頬を突付かれて呆れた顔をされてしまいました。


空は晴れ渡り、航海は順調だそうなのです。


いいお天気だからなのでしょうか。船員の方々も甲板や見張り台に上って、特に仕事のない方などはお昼寝をしていたり談笑したりしております。


海賊船なのだということを忘れてしまいそうなくらい今日もヴェルノさんの船は平和なのですよ。


ヴェルノさんの腕の中から海を見るのも久しぶりなのですね。


顔を上げてみれば「なんだ?」と抱え直されます。




「いいえ、なんでもないのです。それよりも、どうしてヴェルノさん達までその‘お城’に向かうのですか?だってカルヴァートも行くのですよね?海軍とは会わない方がいいのではないでしょうか?」




忘れかけていましたが、カルヴァートのことを思い出すと今でもちょっとだけ腹が立つのです。何せヴェルノさんに剣を投げようとしたのですから。あんな卑怯者!


刺々しくなってしまった私の言葉にヴェルノさんは笑います。




「そりゃ、海賊だからな。金目のモンがありゃ一番良い。だがな、今回はアイツと俺の問題でもあるんだよ。」


「問題、ですか…?」


「アイツが必要以上に俺に対抗心燃やしてる理由の一つだな。」


「それは一体なんなのですか?!」




気になります!ヴェルノさんにズズズイーッと近寄ってみましたが、やっぱり笑うだけで答えてはくれませんでした。私を抱えたまま船内に戻ります。


ただ、「アイツと会った時に分かるさ」と言ったヴェルノさんの顔には何かを懐かしむような表情が浮かんでおりました。


それを見ると胸が痛くて、寂しくなって、これはもう触れてはいけない話題なのだと気付きました。


誤魔化すように頭を撫でられます。…仕方ないから私は誤魔化されることにするのですよ。


今はヴェルノさんと、アイヴィーさんと、船の皆さん達と一緒にいられれば良いのです。


ぎゅっと抱き付いた私をどう思ったのかヴェルノさんは喉の奥で笑いながらも抱える腕に力を入れて返事をしてくださいました。




 

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