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『すぐぼろぼろにしてしまうので。補強の意味ですよ』


 あのときは照れ隠しに、そう返した。


 そうしたら聡明な歌姫はまた、返し歌のように返答してきた。


『あなたのピアノ伴奏で歌うわたしたちは、この楽譜ですね』と――。




『いつもあなたの伴奏で歌っていると、そっと背に手を添えられているような心地になります。自由なテンポやリズムにもあっというまに寄り添うようにあわせてくれて、ありがとう。一度、そう言いたかったんです』





「一見近寄りがたい美しい歌姫。だがね、きみのお姉さんはそういうことを、劇団のみんなに何気なく言う女性なんだ」


 黙ったまま、チュチュはゆっくりと、あたたかなヘーゼルナッツミルクティーを喉に流し込む。


 一見ずれているような返答なのに、なぜかまっすぐななにかが心に射しこんでくるのを小さな少女は感じていた。


「――そういう人なんだよ」

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