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 あれからすぐに警察にクラレンスの身柄は引き渡した。




 キャスはアポロニアコンクール出場を控え、滞在先のホテルでクラレンスと紅茶を飲みながら会話をしていたら急激に眠くなったのだという。




 薬を盛られたのだ。




 ヒューによれば、クラレンスは強引にキャスを話題作りのための結婚会見に出席させるつもりだったのだろうと言う。




 数時間に渡る事情聴取のあと、夜の帳が降りる頃になってようやくティナはキャスが運ばれた病院にいきつくことができた。




 睡眠薬と数刻とはいえカートに身柄を拘束されたことで衰弱しているがキャスは数週間休めば命に別状はないと言う。




 意識が戻り、ベッドにいるキャスの傍らには、ティナとヒュー、そしてジャスパーがいる。




「ティナ、ヒューさん。ほんとうに……ありがとう」




 そしてどこかおどけた、それでいて泣きそうな顔で言う。




「ティナを捨てるなんてどれだけいい男なのかと思っていたけど。違いないみたいね」


 そのコメントには苦笑で応えたティナは、ヒューに追及の眼差しを向ける。


「どうしてわかったの? クラレンスがこんなことたくらんでるなんて」


 ヒューは黙って、キャスの前に六色のブローチをかざした。




「!」


「これは……!」


「なんてこった」




 その場にいた誰もが感嘆を禁じ得なかった。


 ブローチから現れ出た虹色の光が彼女の指先へ吸い込まれていく。




 指先を何度か折り曲げ、キャスは信じられない、と呟く。




「指が元通りに動く。これで、フルートも楽に弾ける……!」




 一同の眼差しに答え、ヒューが口を開いた。




「結論から言おう。この光彩ブローチは、ほんもののミュージカリー・カップだ」

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