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 瞬間、クラレンスの表情が歪んだ。


 間合いをつめると、ティナに向けて拳を振り上げる。


 ティナがスーツケースを抱きかかえ、ぎゅっと瞳を閉じたとき――振り上げたその腕が捩じ上げられた。


「やれやれ、きみという人は」


 間に入ったヒューはクラレンスと互角にやりあった。


 平生の口調を吐きながら。


「誰かのためとなるととたん冷静さを欠いて困るね」


 しばらくはらはらと、二人の乱闘と騒ぎだした人々を見つめていたティナは、




「こっちだ!」




 聞き覚えのある声にふいに我に返り、周囲を見渡した。




 五十メートルほど先で、チャコールグレイの髪が見える。


 ここまでの移動の最中、ヒューが連絡したジャスパーだ。




 頷き、ティナは渾身の力を込めて、手元のスーツケースを滑らせた。




 チョコレート屋、トイズショップ、紅茶屋。様々な支店の前を通過し、スーツケースは力強くジャスパーに抱き留められる。


 彼は胸元から針金を取り出し、スーツケースの鍵穴を操作した。




 数分後、開放的な音がして――そこから、ローシェンナの美しい長髪とともに、ぐったりした女性が倒れ込む。

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