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 ロンドン地下鉄で最大の乗換駅――キングスクロス・セントパンクラス駅。


 そこにはパリやブリュッセルに行く国際鉄道のユーロスターも通っている。


 チョコレートブランドと赤を基調としたトイズショップ、紅茶屋など様々なショップが立ち並ぶ、国際線へと続く通りの一角に、ヒューはティナとともにいた。





「ねぇヒュー、どういうこと? キャスに危険が迫っているって。それに――ほんとうにここに、彼がやってくるの?」


「あぁ。――手遅れでなければね」


「説明して。キャスの危機となったら黙ってるわけには――」





 しっと、短く注意し、ヒューがそっと腕の動きで、通路のさきを示す。


「どうやら、その時間はないようだ」


 ティナが目をこらすと、その先には――サングラスをかけ、目立たないようにはしているが圧倒的に華やかな雰囲気を纏った彼――スーツケースを引きずりながらクラレンスが、速足で向かってくるところだった。


「いいかい、焦ったらいけない。僕が彼の背後に回り込んでしとめるから、その隙にきみは……」


 ティナはもはや、ヒューの計画など聞いてはいなかった。


 その姿を見たときにはもう、身体が動いている。


 あまりに自然で、当然のことだった。――親友が危ないのだ!




 クラレンスの脇に帽子ごとタックルして、そのスーツケースを奪う。




「なにをするんだ! 泥棒! 返さないか!」




 声を荒げたクラレンスを、帽子の下からきっと睨み返した。


「きみは――」




 驚きに瞠られた朽葉色の瞳を、渾身の力で見返す。


「どっちが!? 泥棒! わたしの親友をこんな形で奪おうとするなんて、許せない!」

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