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「そうかい? 鍵のない楽器ケースを開けてあげていたし。親切だったと思うけれどな」


 それがよ、とティナはスコッチエッグを持っていないほうの手で指先を立て、ヒューに近づける。


「ジャスパーって名前、キャスとメッセージアプリでおしゃべりしてるとき、どこかで出て来たなって思って、メッセージをさかのぼってみたの。――そしたらドンピシャだわ!」





 さぁ、ここからがクライマックスの証拠提示。


 探偵になってつもりでティナは高らかに声を張る。


「ジャスパーは半年前、キャスに告白して、恋人がすでにいるからという理由でふられた過去がある!」





 だがヒューの反応はいまいちだった。


 もぐもぐと口を動かし、ごっくんとエッグを飲み込むと、


「……うん、それで?」


「それでって、決まってるじゃない! キャスに対する意地悪な態度。きっとジャスパーはふられた腹いせに、呪いのミュージカリー・カップを彼女に送りつけたのよ!」





 どうだっというように、ティナは胸を張る。


 右手ではとうに忘れ去られたスコッチエッグのぬくもりがすっかり弱まっている。


「やれやれ」


 あたたかいうちに間食しおえたヒューはその残骸である包みを丁寧に折りたたんだ。


「友人が大事なのはわかるが、印象だけで決めつけるのはどうかと思うね」


 ティナは不満げに眉をつり上げる。





「わたしの推理が間違ってるっていうの?」


「さてどうだろう」


 ヒューは立ち上がり、数メートル先にある雄々しいライオン像をねめつける。


「一つ、確かめてみるとしようか」

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