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「……え?」


 ティナが静止する。

 ヒューが自分の誕生月を覚えていた、という事実にきゅんと狭くなる胸を叱るように思考を急かす。


 ――チュチュちゃんは休暇を楽しんでほしいという想いで、五月生まれのわたしにこれを買ってくれた?


 知らず投げかけていた問いかけの視線に、チュチュはこくりと頷いた。


「そうなの。おねえちゃんの誕生日にって思って。おこづかい溜めてて」


 だがその顔は決して晴れやかではない。


「でも、こんな音になっちゃって。それに……レインのダンスの才能まで吸い込まれちゃった」


 今にも泣き出しそうに歪めた顔をそれでもチュチュは決然と上げる。


「あたしのせいなの。だから取り戻さなきゃ……!」


 震えるチュチュの背に、ティナはそっと手を添える。

 愛しさを絞り出すように、ただ彼女を見ていた。

 もう、急かすでも、無理に落ち着かせるでもなく。


 気付けばヒューも同種の視線を、チュチュに向けている。

 優しい沈黙は、少女に語りを促す――。

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