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 萌黄色に黒の蔦の壁模様。


 中心に楕円形の鏡。


 奥に大ぶりの窓。


 ゆったりとした二つ続きの部屋。


 ホテル『アストレイア』三階のジャクリーンたちの一室は、チュチュたちのそれよりも一段グレードが上の部屋のようだ。




 入ってすぐの空間に、ティナとチュチュ。




 隣の部屋のベッドにエイプリルを横たえたジャクリーンはじっと様子を見守っている。


 感情を抑えた瞳にはわずかに、自責の念が窺がえた。




「なに考えてるの、チュチュちゃん」


 仁王立ちになり、危険なことをしでかした妹を、ティナはぴしゃりと叱りつける。




「エイプリルちゃんは身体が弱いって知っていたのに、夜の湖をボートで連れ出すなんて」




「……ごめんなさい。どうしても、エイプリルに星空の湖を見せてあげたくて」




 心配と恐怖で未だ震えが収まらない唇で、なおも言い募ろうとするティナを制す手があった。


 紺の地味な袖で覆われた腕。




「いいのよ」




 無表情だったジャクリーンは、かすかに笑んだ。






「おそらくチュチュさん。あなたはわかっていらしたのね。――あの子が余命いくばくもないと」



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