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 チケットに注いだ視線が少しだけ、険しくなった。




「お姉ちゃんは、『あの人はそういう人』って言うけど。あたしは……なんか違うと思う」




 チケットからかすかに視点を逸らして、見えるのは――素直な小動物がうな垂れる姿。




「ファントムお兄さんは、そんな人に見えない。お金のためだけに、有利な商売するなんて」




「チュチュくん――」




 感動に軽い眩暈を覚え、ヒューが目頭を押さえたとき、




「そんなちゃんとした生活力、あるように思えないもん」




 目頭を押さえたまま、ヒューはずこっと椅子から転げ落ちそうになる。




「それにさ、前は有名なピアニストだったんでしょ? だったらそっちをやったほうがよっぽど、お金も入るじゃない」




 ティーカップを置いたヒューは小さく息をついた。




「小さな音楽探偵さんには敵わないな」




 音もなくソーサーに戻したのに、アンバーの水面が小波をつくる。




「音楽魔法具店の目的が金銭以外にあるとするならば、それは」





 だがそれはすぐに、止水と相成った。





「あるミュージカリー・カップを探していてね。――父が売り払ったものの中でただ一つ、どうしても取り戻したいものがあるんだ」

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