表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/138

三日後の夕暮れ時。


 最後の調査と称してヒューがティナと向かったのは、ハイド・パークから徒歩三分ほどの通りにあるパーヴェル音楽学校の学生寮――チュチュのクラスメイト、レインの住まいだった。


 パーヴェル音楽学校の生徒は、その八割が寮住まいだという。


 灰色のレンガ造りの厳かな建物。


 寮長に許可を得てレイン・シングの部屋の扉をノックする。





「はーい。くしゅんっ」


「レインくん、具合はどう?」





 いつもさらさらとなびかせていたダークブラウンの髪を乱し、わかりやすいくしゃみで出迎えてくれた彼に、この質問もないか、とティナは自ら苦笑する。





 妹が普段世話になっているお友達を訪問するのにふさわしく、今日はネイビーに黒いレースの入ったワンピースドレスといういで立ちだ。


 


 見舞い品の入ったバスケットを持つティナを見たレインは恐縮したようにはっと身を竦める。




「チュチュのお姉さん……!」




「見たところ、見事な風邪のようだね」


 隣で苦笑するスーツ姿に仮面の妙な男に、レインは目をすがめた。




「くしゅっ。……あんたは?」




 仮面から右半分だけ覗く口元で、ヒューは微笑む。




「きみの愛を解き明かしに来た、音楽探偵さ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ