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 こうしてチュチュはバロタン・ボックスを購入することに決めた。

 授業が終わって暇だからと言ってついてきたレインも、太鼓判だった。

「すげー、丁寧な造り。きっと喜んでくれるって!」

「うん!」

 有料の包装紙を断り、節約と丹精を込めるために自分でラッピングを考えることにして、部屋の窓辺に飾ってしばらくにやにやと眺める。


 ――お姉ちゃん、喜んでくれるといいな。

 ――渡すときはどんなシチュエーションを選ぼう? 

 ――やっぱりここは夕飯どきにぱーっと!

 などと空想を楽しむのもつかの間。


 今から三日前のその日、窓辺に置いたバロタン・ボックスがなくなっていた。


 ティナに隠れて小さなアパートを必死に探すが、ない。


 家の周辺まで探し回っても見つからず、途方に暮れていたその日の夕方、それに増して奇妙な出来事がチュチュを襲う。


 アパートに戻って窓辺を見ると、何事もなかったかのように、ミニバラの描かれたバロタン・ボックスが鎮座していたのである。


 ただ、蓋を開けるとそれが奏でる音は以前とは程遠いものだった。

 音割れがひどく、音量も小さい。


 そして、もう一つ奇妙な出来事が起きる。


 その翌日から、レインが音楽学校を休みだしたのだ。

 二週間と少し後に迫ったハイド・パークの仮設劇場を使った学外出張公演で主演が決まっていた彼だったが、最終稽古への出席が危ぶまれるために、今回の主演は代役の生徒が行うことになった。

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