新たな展開
また新たな展開が始まります。
ローファンタジー仕立てで作っていますが、それに留まらない?
食事が終わって暫く経った時分に、葉子ねえや赤ちゃんと別れを惜しみつつ七瀬は家に帰る事にした。
外はたっぷり暮れているので当然のことながら僕が送る事になった。
そしてもれなく雨子様も付いてきた。因みに雨子様曰く
「和香が赤子の事でうるそうてかなわん」とのこと
流石に十月とも成ると日中の暑さを忘れるほどの気温となる。
「赤ちゃん可愛かったぁ~」
「正にのう、人の言葉に目に入れても痛くないと言うものが有るが、それが事実であるかのように感じてしもうたぞ」
等と会話に花が咲く二人に対して、
「可愛いのは分かるんです、分かるのですけれども、でも何だか釈然としないんです」
とか何とかぶつくさぼやいているのはユウだった。
可愛さという意味ではユウだって結構なものなんだけれども、生きて動いてバブゥなんていう感じの赤ちゃんに対しては、些か分が悪いのかも知れない。
だが文句は言いつつもユウは小雨と連携を取り、なんだかんだと言いながら良く美代の事を見ている。
美代が僅かでもむずかり始めるなり、さっとおむつを嗅ぎ、空腹なのかと心配し、速攻で葉子ねえにご注進などとやっている辺り、もう完全に美代の保護者となりきっているのでは無いだろうか?
でもどうなんだろう?美代にしても少しは不快である事を感じたり、泣いたりする事もまた必要なんじゃ無いのかな?今度葉子ねえともよく話をしてみなくては。
なんだかんだ言っている間にあっと言う間に七瀬の家に着いた。
今日は既に七瀬のお母さんが帰宅していて、晩ご飯お礼を言われた上で、今度また赤ちゃん見せてねと言われた。
その時の目の輝き具合を見るに、きっとこの人も赤ちゃんに目が無いのではと思われる。そして七瀬に赤ちゃんの事を事細かに説明されると、目を細めながらその内容に聞き入っていた。
「それじゃあ僕達は失礼します、おやすみなさい」
僕と雨子様はちょこなんと頭を下げて七瀬家を去った。
七瀬とは色々話したが、まだ今のところ彼女のお母さんには雨子様の正体を話していない。
だからユウは彼女が側に居る間は人形に徹していた。けれども話を聞くに、徐々にぼろを出しつつあるようなので、近々きちんと話をしなくてはならないかも知れない。
家に帰ると葉子ねえと赤ちゃんは既に自室に戻っていた。もっともこれから暫くの間、寝たかと思ったら起き、授乳やおむつの世話をすると言った日々が続くのだ。子を産み育てると言う事がいかに大変な事なのか、しっかと思い知らされる。
「おかえり」
遅くに帰ってきた父さんが、食卓で携帯を見ながら軽く食事を摂っている。僕が挨拶を送ると手を振って返してきた。
その父さんに母さんが盛んに赤ちゃんの事を話している。母さん、きっと今の父さんの耳は半分留守だぞ?
階下に上がり自分の部屋のドアを開けると、床に所狭しと二組の布団が敷かれ、そこに風呂上がりなのか?ほこほことした感の和香様がいた。
「わ、和香様?」
僕が驚いてそう言うと和香様はにっと笑いながら言う。
「お帰り祐二君、送り狼にならへんかった?」
「送り狼って…」
僕が絶句していると雨子様がくふふと笑った。
「それで和香よ、いか用があって参った?そなたまさか、赤子に会いたいから参ったとは言うまいの?」
「やぁ~ん、雨子ちゃん、やっぱ鋭いなぁ」
「当たり前じゃ、痩せても枯れてもそなたは大神ぞ。この国の少なからぬところを見ていかねばならぬ立場、おいそれと居場所を変えていては鼎の軽重を問われるわ」
「まぁーたそんな事を言う。うちかて普段はちゃんとお仕事頑張ってるねんで?いっぺん見に来る?そうや祐二君、前にゆうてた温泉、もうじき完成するゆうてたから、見においで、一緒に入らへん?」
「和香ッ!」
雨子様から和香様に叱責の声が飛ぶ。
「え~?温泉あかんかった?」
「そうでは無い、温泉は良いのじゃ?」
「そうしたら何なん?」
「一緒に入ろうとはどういうことじゃ?」
「え?そこなん?」
「どうしてそこで無いというのじゃ?」
「そやけどな、雨子ちゃん。この国は昔から風呂は男も女も一緒やってんで?」
「一体いつの話をしておる?人が機械を使って空を飛ぼうという時代、そう言う風習はとっくの昔に途絶えて居るわ」
「ええ~~、そうなん?なんや寂しいわ~」
まだ未練一杯の和香様の頭を雨子様が軽くコツンと叩く。
「はいはい、分かった、分かったから勘弁してぇな」
「それで?」
「この間接触した相手のところへ行き当たったんよ」
「何?それは真か?」
雨子様の目が大きく見開かれた。
「真も真、大真よ」
「それで相手は何者で、そなたの分霊は一体どこまで行き居ったのじゃ?」
雨子様の言葉が矢継ぎ早に和香様に問いかける。
「まず結論から言うと、この相手はな、WWWとか言うので相互に結びつけられたコンピューターとか言う機械の中で生まれた知性体なんやで。ちゃんと話せるところまで行き着くのに、アメリカとか言うところまで行ってしもうたは」
「生まれた?知性体?付喪神かや?」
「AIなんだ…」
「祐二、彼奴らは人工知性体だと申すか?」
「ええ、僕はそう思ったんですが…」
すると和香様が小首を傾げている。
「それがなぁ、あの子らは自分のことそう思うてへんみたいなんよ」
「って。複数形ってことは沢山居るんですか?」
驚いた僕はそう和香様に聞くのだが、声が上ずってしまった。
「そうなんよ、一応筆頭格は三体居って、自分らで名前付けとるらしいんやけど、詳しい話はもう直接そいつらから聞いたらええんと違う?」
和香様の話を聞いた雨子様はぎょっとした面持ちで言う。
「直接じゃと?そなたこの部屋に彼奴らを招いたのかえ?」
「そうなんよ、先に色々話をして敵意は無いって言うことように分かったから、問題あらへんと思うんよ」
「まあ、和香がそこまで言うのならの」と、雨子様は納得したようだった。
「じゃあ直接ここに来てもらうけどええかな?」
急激な展開について行けないきらいが有ったけれども、ここは神様方の判断を信用することにして僕は黙って頷いた。
「あ、それでも一応な、屋上屋を重ねる形なんやねんけど、最終インターフェースとか言う奴はうちの分霊を使こうとるから、何も心配要らへんからね?」
和香様の気遣い、流石と言えば流石である。しかし先日の相手に敵意が無いと聞いて何だかちょっとほっとしてしまった。
今度のキャラ達の扱いどうする?
だんだんとカオスが出来上がりつつありますw




