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天露の神  作者: ライトさん
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思いの行く末は?

立場が曖昧だからこそある特別な時期、その時はただ苦しいばかりに思うこともあるのですが、後から見ればそれすらも輝いている時間。…であるのですよねえ(遠い目)

 学校での生活はすっかり日常を取り戻し、昼休み以降何事も無く時間は過ぎていった。

時折七瀬が僕のことをチラチラと見てくるが、これは前からも時折あったことなので知らん顔をしておいた。

 そんな僕と七瀬のことを見て雨子様が時折ため息をついている。何故だ?


 どう言う場合でもそうだが、何かに夢中になっているとあっと言う間に時間が流れていく。それは学業でも遊びでも同じことだった。

お陰で一日があっと言う間に過ぎ、帰宅の時間になっていた。


 何だかもう当たり前のように揶揄されながら、僕達三人は固まって帰宅し始めた。

僕は良いのだが七瀬は嫌な思いをしていないのだろうか?雨子様は?う~ん、雨子様は多分大丈夫そう?

 もっとも心配していた七瀬も何食わぬ顔をしながら雨子様と会話しているから、大丈夫なのかな?


 ともあれ人の心なんてままならないものの代表格だ。無理に何かの形に当てはめてみようとしても歪になるだけで、下手をすると逆に壊れやすくも成ってしまう。

だから僕はもう少しの間あるがままでいようかな?そんな事を考えて居た。


 と、そんな僕のことを見ている雨子様が眉間に手を当てながら首を振っている。


「雨子様、何かありました?」


「何じゃ祐二、我のことを見て居ったのかや?」


「だって雨子様、僕と七瀬のことを見て何度もため息突いたり、今だって頭を振っているじゃ無いですか?」


「まあ確かにの」


 ふと見ると七瀬は、よその人が散歩させているボーダーコリーに愛想を振りまきにいっていた。

それを良い機会とばかりに雨子様が僕の元に近づいてきてそっと耳元で囁く。


「のう祐二、そなたあゆみのことをどう考えて居るのじゃ?」


「どう?どうって言われてもなあ」


「そなた、あやつに好かれて居ることは知って居るのじゃろ?」


 雨子様からのど直球の質問に僕は頭を掻き掻き返答した。


「まあ色々見てきているから大体のことは見当突いています。でもあいつとは本当に小さい頃からの付き合いだから、仲の良い幼なじみとは思えても、男女の仲として好き合うって言う感覚がまだなんて言うか持てないんですよ」


「むう」


「僕がそんな状態で七瀬と付き合ったとしても、それじゃあ七瀬が気の毒じゃあ無いですか?だから僕は七瀬の気持ちがこれ以上進まないように、あんまりしんどくならないようにこれ位の距離が丁度良いのじゃ無いのかなって思っています」


「何じゃ祐二、意外と良く考えて居るのじゃな?」


「だって雨子様、僕にとって七瀬は大切な人間の一人ですよ?うかつに動いて傷付けたり、仲悪くなったりするの嫌じゃ無いですか?」


「なるほどのう、そなたの言うことも尤も(もっとも)じゃの。じゃからといってこのままあゆみの思いを無視するのも問題大有りなのじゃが、こう言う事柄は我にはもうよう分からんの」


「雨子様にも分からないことが有るんですね」


「戯け(たわけ)、分からない事だらけじゃ。特にこの身は人にあらざるが故、余計にそなた等男女のことはよう分からん」


雨子様のその言葉に僕は力なく笑った。


「だってね雨子様。僕たち自身が良く分かっていないんですから、そりゃあ仕方ないですよ」


「理屈では無いのじゃな?」


「そうですね、一部は理屈でもあるんですが、色々と理屈では割り切れないことだらけって言う感じです」


「成るほどの、生の肉の身を持ち得て居ればこそのことなのじゃろうな?」


「ところで雨子様」


「何じゃ?」


「雨子様もその肉の体を得て暫し経つ訳なんですが、好きな異性でも見つかりましたか?」


「ななな何を言っておるのかえ?」


雨子様はドギマギしながら急に顔を赤くした。


「おお!反応ありですね?それで相手は誰なんですか?」


僕がそう言う聞くと、雨子様にいきなり頭をポカリと叩かれた。


「馬鹿者、知らぬ!」


そう言うと雨子様はその場を駆け去り、七瀬の所に行って一緒に犬をモフり始めた。


「え~~~、別にいきなり叩かなくても良いのに。でも雨子様の思い人って一体誰なんだろう?」


何時までも犬に構っていると飼い主さんに迷惑が掛かるので、適当なところで二人を引き離したが。放って置いたらひたすらなで続けていたことだろう。

既に薄暗くなってきている。僕たちは帰り道を急ぐことにした。


 そうこうする内に七瀬とは道を分かつこととなる。


「またね~」


 大好きな犬を心ゆくまで撫でた後の七瀬は、ご機嫌で家路を辿っていった。

そこから我が家まで数分もかからない。


「ただいまぁ~」


 玄関を開けると直ぐに食べ物の良い匂いがする。途端にお腹の虫がぐるぐると鳴き始める。


「お腹すいたぁ!」


 キッチンからエプロンで手を拭きながら出てきた母さんが、僕をまじまじ見ながら言う。


「お帰りって…、本当にいつまで経ってもこの調子、子供何だか大人なんだか…」


 ふと見ると雨子様が腹を抱えて笑っている。え?今そんなに笑うところ有ったのかな?

僕は不可解に思いながら手を洗いに洗面所に向かった。

ほんとにもう祐二君は聡いんだか鈍いんだか・・・

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― 新着の感想 ―
[良い点] ライトさんの表現がとても好きです。 キャラクターの個性が特徴的でいいですネ
2024/07/07 10:51 退会済み
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