「勘違い」
遅くなりました(^^ゞ
さて、如何にすれば美味しい卵焼きが焼けるのかと、賑々しく話の盛り上がった食事の時間も終わりを迎え、祐二達は部屋に戻ると急ぎ身支度を調えてくるのだった。
さすがに男故、さしてすることもなく、あっと言う間に荷物を片付け終え、自分が一番だろうと余裕の構えで屋外に出る祐二。
だが庭に出るとそこには既に雨子様が居て、龍として召喚されている無尽に、何事か話しかけながら、こりこりと顎の下を掻いて上げているのだった。
その無尽、何とか厳粛な顔をしようとはしているのだが、余り上手く行っていないのだった。
「随分また早いんだね?」
二番手になってしまった祐二、なるべく無尽の方には視線を向けないように言うと、当の雨子様、にんまりと笑いながら言う。
「既に決められた手順を踏むと言うだけなら、早いのが取り柄じゃからの。しかしこれが料理ともなると、なかなかそうはいかんのじゃな…」
「でも卵焼きは本当に良く出来ていたよ?」
改めて祐二がそう褒めると、殊の外嬉しそうに笑みを浮かべる雨子様。
そんな雨子様のことを見ていた祐二、ふとあることに気が付いて声を掛けるのだった。
「ところでなんだけれども、少しだけこっちに来てもらえる?」
そう言って手招きをする祐二に、首を傾げながら雨子様は近寄っていく。すると彼は持っていた鞄の中から、整髪料のスプレーを取り出し、適量を手の平の上に出すのだった。
そしてその手をぽんと雨子様の頭頂部に載せ、くいくいと押しつけてみせる。
「?」
一体何をと不思議そうな顔をしている雨子様。しかし祐二の所作が頭を撫でるのに似ているせいか、まんざらでもない気分なのだった。
だがそう思ったのも束の間、祐二からとんでもない言葉を聞く羽目になるのだった。
「いや、今見たら阿○毛が立って居たから…」
一瞬祐二に何を言われたのか分からず、然もそれが何を意味するのかすら分から無い。
だがそれでも、文中に不穏な言葉が含まれていることだけは、よっく分かるのだった。
「あ?阿○毛?何なのじゃそれは?」
顔を真っ赤にした雨子様が問う。
そのことに気が付いた祐二がはっとしながら、手を揉みしだきながら答えるのだった。
「いやあの、阿○とは言っても雨子さんのことを言っている訳では無くって、頭のところにぴょこんと立つ毛のことを評してそう言うのだけれども…」
そうやってしどろもどろする祐二に、嘗てそのような言葉を受け取ったことが無い雨子様、顔を朱に染めながらずいずいと迫っていくのだった。
「では何だというのじゃ?」
低く何とも迫力のある声でそう言い立てる雨子様に、祐二はすっかりパニックに陥りつつあるのだった。
だが天は彼に味方することになる。
運良く少し遅れてその場にやって来ていた七瀬が、一連のやり取りを耳にしていて、笑いながらも雨子様への説明を買って出てくれたのだった。
「どうどう雨子さん、祐二が言っていたのは別に雨子さんをどうのこうのって言うことでは無いのよ?ひょっこり立って居る髪の毛のことを言っているの!そこに雨子さんは一切関係ないのだからね?」
すると七瀬に続いてやってきていた令子が、僅かに首を傾げながら言うのだった。
「あら、でもそうだとしたら、そのひょっこりと立った髪の毛を見逃していた雨子さんには、問題が有るのじゃ無いかしら?」
その言葉に七瀨は、振り返って令子のことを見つめる。
「まあ、言われて見たらそうかも…」
そんな七瀨と令子のことを交互に見ている雨子様。次第に理解が及んで行くにつれ、先程までの勢いが見る見る内に減じていくのだった。
「あ、あの祐二、そのう、我の早とちり?じゃった、済まぬ」
すっかりと悄気返っている雨子様に、苦笑しながら祐二が言う。
「良いよ、そうやってちゃんと話を聞いてくれているし…」
「むぅ…」
そんなことを言いながらも少し口惜しそうに唇を噛む雨子様。
そんな雨子様のことを少しばかり気の毒に思ったのか、祐二が小さな声でフォローする。
「まあ僕としては、君の髪の毛があのままでも、何とも可愛くって良かったのだけれどもね?」
そう言う祐二に、雨子様は口を尖らせながら同じく小声で返すのだった。
「馬鹿祐二…」
とそこへ折良く?いや折悪しくだろうか?瀬織姫様と手を繋いで庭に現れた笹姫。
二人は揃って顔を赤くすると、小声で何か話し合い、頷き合うなり雨子様達にそっと背中を向けるのだった。
そして無尽もまた視線を逸らし、その尻尾がなんとも忙しそうにくねっているのだった。
どんなに時間を掛け、頭を抱えても、それでも書けない時は書けない
今日はそんな時で有りました とほほほほ
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