神様お願い
本当に一時はどうなることかと思いました。
本当はもっともっと緊迫した危機を書きたい、書くべき、なのですが、筆者の筆力ではなかなか…諸姉諸兄の筆力を羨むばかりです
次に目を覚ました時、確認するとそれは既に火曜日の昼頃になっていた。
思い起こせば確か事態は日曜の夜に起こった訳で、それから丸一日以上眠ってしまった訳だった。
ふと気が付いて傍らを見ると、僕にしがみ付くようにして雨子様が眠っている。
何もこんな狭いベッドで一緒に寝なくともとも思ったが、きっと僕の身を案じてのことなんだろうし、雨子様もまた疲れ果てていたのだろう。
まだ眠っている雨子様を起こさないように気をつけて、そっと身動きをしたつもりなのだったけれども、どうやら目を覚まさせてしまったようだ。
「祐二…?」
とんでもなく疲れ果てて眠りこけていた時にありがちなことなのだが、見ると雨子様の顔に普段なら決してあり得ないような寝起きの後が、これでもかと付いている。
「…」
生き死にを問うようなことが起こった後だというのに、今目の前にあることの滑稽さにどうしようも無く安堵しつつも、笑いのスイッチが入りかけるのを必死に成って押さえた。
「な、何を笑って居るのかや?」
少し雨子様が膨れている。しまった、押さえているつもりだったのに、どうやら結局は笑いを抑え切れていないらしい。
「笑いたくは無いのですが雨子様、顔に色々な形が付いていて大変なことになっていますよ?」
僕がそう言うと雨子様はきょとんとした。そして数瞬後得心がいったのか、更には何かを見つけたのか、悪戯っぽそうな顔をしたかと思うと言葉を返してきた。
「それは祐二も同じことじゃ」
刹那、僕も何のことか分からなかったが直ぐに理解出来た。
結局僕達は顔を見合わせると我慢出来なくなって揃って吹き出してしまった。
その後ひとしきり笑い合った僕達は、まるで憑き物が落ちたかのような顔をしながら互いに見つめ合った。
「無事帰ってこれました」
「そうじゃの、迷惑を掛けてしもうた」
「迷惑だなんて思っていませんから。雨子様が色々僕達のことを思ってしてくれたことだって分かっていますから」
「しかし…」
「しかしじゃないです雨子様。いくら神様だからと言っても雨子様はその名の為に完璧を期しようとし過ぎなんじゃ無いですか?」
何とも恐れ多いことに僕は、雨子様に説教を垂れている…・
「…」
「確かに雨子様達神様は、僕達人間とは比べようも無いほど完璧な存在なのかも知れません。でもいくら雨子様達神様が完璧だったとしても、周りが不十分な有り様のものばかりであったとしたら、どうしようも無い場合もあるのじゃ無いですか?」
「むう」
雨子様のその返事は、未だに確と得心がいっていないことを如実に表しているように思える。そりゃそうだ。こんな年端もいかない青二才の僕なんかから、人類の歴史以上に長い生を経験してきている存在が、一体何を学ぼうと言うんだ?
だが暫くして雨子様から帰ってきた言葉は、僕の考えて居たこととはまるで別のことのようだった。
「すまぬの、色々と考え込んでしもうた」
「一体何を考えられたと言うのです?」
「そうじゃな、きちんと話して置いた方が良いじゃろう。いや、そなたに掛けた迷惑を考えればここはちゃんと話しておくべきじゃろう」
雨子様はそこまで言うと口をつぐんだ。
「じゃがな祐二、その話をする前にまずその…」
「??」
何故か雨子様が顔を赤らめている。不思議に思って尚も問おうとしたらいきなり怒られた。
「ええい、察しの悪い奴じゃ。行くべき所へ行かなくてはならないと言うことなのじゃ。ともあれ話はその後じゃ!」
そう言うと雨子様はバタバタと部屋を飛び出していずこかへ姿を消した。
「あ…」
直ぐに僕にも理解することが出来た。ある意味それは生きていることの証?これ以上の詮索は雨子様の沽券に正しく関わることなので、僕は思考することを完全に辞めた。
そして一からゆっくり数字を数え始める。何故なのか?
そうしないと僕も今の状況に耐えられないからだ。
『雨子様早く、お願い早く、神様お願い…』
誤解の無いように言って置くが、この神様への祈りは決して雨子様に対して願ったものでは無い。あくまで子供の頃からのこう言うピンチの時に自然に出てくる口癖なんだ。
『ああ神様…』
はたして僕の願いは無事届くのか、叶えられるのだろうか?
皆さんは突然お腹が痛くなった時とか、どうされています?




