「変身!」
仮面ラ○ダーかって?
「それについては申し訳なかったと、何度ももう謝って居るであろうが?」
そう言う雨子様なのだけれども、なかなか和香様の機嫌は直らない。
それを見た雨子様は、その場に居た者達を見回すと、ちょこんと頭を下げて言う。
「さすがに我の立場で、いくら友に対してとは言え、頭を下げまくるところを皆に見られるのは憚る故、ちと中座するの?」
そう言うと雨子様は、少しばかり「え?」という表情をしている和香様の手を掴むと、何処かへと引き連れて行くのだった。
「あの、小和香さん。あれ、良いの?」
心配してそう問いかける節子に、うんうんと頷きながら返答する小和香様。
でもそういう風に言ってくれる節子のことが、嬉しくて仕方が無いという風情なのだった。
「いつものことで御座いますよ?あれであの御二柱、本当に仲が良いので御座います。此処はもう見て見ぬふりで放って置いて上げて下さいませ」
今一度小和香様のことを見、そんなものなのかと納得した節子は、沙喜への説明を再開し始めるのだった。
「それでまあ、雨子様と出会った祐二は、雨子様のお陰でその心の傷を癒やすことが出来たんです。けれどもその時の私はまだ半信半疑で、神様にお願いに行ったという祐二の言葉を聞いても、残念ながらまだ雨子様の存在自体は、信じることは出来ませんでした。勿論出来るだけ直ぐにお礼のお参りには行ったのですけれどもね?」
そうやって苦笑しながら話す節子に、沙喜としては心から同意してしまうのだった。
沙喜が節子と同じ立場であったとしても、目の前に殆ど奇跡のようなことがあったとして、それをそのまま神様の存在に結びつけられるかと言うと、なかなかに難しいからだった。
「それから暫く、順調に回復している祐二の世話に一心になってしまったものだから、私の中からは、すっかり神社のこととか抜け落ちてしまっていました。今思って見たらなんて罰当たりなのでしょうね?」
そう言う節子に、小和香様が思わずうふふと声を漏らして笑ってしまう。
「節子さん、私達はそんなに簡単に罰を当てたり致しませんよ?」
「それはあなた達を見ていれば良く分かるのだけれども、他の神様達も皆そうなのかしら?」
節子のその質問に苦笑する小和香様。
「やっぱり節子さんですね?」
「え?」
「だって本当によく見ておられるのですから」
「え?どうして?」
「だって私が私達と言ったらすぐさま、それ以外の神様達はと聞いてこられるのですもの」
「だって小和香さんや和香様、雨子ちゃんが優しいのは知っているから」
「だからといって即効で、それ以外の神様のことを聞いてこられるものなのでしょうか?」
そう言いながら小和香様は沙喜のことを見るのだが、沙喜は静かに頭を横に振るのだった。
「ほらぁ」
そう言うとくすりと笑う小和香様。
と、そこへ顔を赤くした和香様と、にこにこ顔の雨子様が戻ってきた。
節子が声を落としてそっと小和香様に問う。
「ねえねえ、御二柱の間に何があったのかしらね?」
するとくふふと笑いながら小和香様も言う。
「それは私も知りたいと思っていたところなのですよ?」
更に会話を続けようとする彼女たちだったのだが、和香様からの一言でそれも終わりを告げるのだった。
「あのな君ら、皆聞こえてるんやからな?」
そう言いながら更に顔を赤くする和香様。
その様子を見ていた二人と一柱、可笑しそうに口を押さえる。
「うちらのことはええから、早う沙喜さんに説明して上げて…」
もうこれ以上は勘弁と言った感じで、少し投げやりな感じで主導権を節子に渡す和香様。
「さて、それで次に雨子様と出会ったのは、祐二が高校生になってからのことでした」
「うむ、そうであったの。人間の成長は速いとは知って居るつもりじゃったが、あの幼気だった童の姿が見られなくなって、今更ながら寂しいと思ってしまうの」
ちょっと寂しそうな顔をする雨子様。その気持ちが分からないでも無いので、ついつい頷いてしまう沙喜と節子なのだった。
「そう言えばあの時の雨子ちゃんは、お人形サイズで、とっても可愛らしかったわ。リビングに居た私の所へ、突然とことことやって来て、雨子じゃって自己紹介するんだもの、驚いちゃった!一等最初の頃は自分が可笑しくなったんじゃ無いかって、それこそ何度も頬のお肉抓っちゃったわよ」
そこで和香様から待ったが掛かる。
「なんやて?その話聞いてへんで?雨子ちゃんがお人形サイズやったって?うわぁ~~、見たいぃ~~!」
だがその要求はにべもなく雨子様に断られる。
「何を言っておるのじゃ和香は?あの姿を取るためには一度姿を変化させねばならんのじゃぞ?絶対嫌じゃ!」
「そやなぁ~、そう言われたらそうやなぁ、がっくりや!」
ところがそんな和香様に節子から爆弾発言。
「そう言えばあの時あんまり可愛いからって、人形サイズの雨子ちゃんの姿を携帯で撮ったような気がする…」
「なんやて?」
「なんじゃと?」
「なんですって?」
「見たい!」
その場に居合わせた全員が節子に気色ばむのだった。
どどどっと言う音がしそうな程の勢いで迫ってきた四人に気圧された節子、仕方なしに部屋に戻って荷物から携帯を持ってくることになる。
「えっと、大分昔のだからなあ…。あっ、有ったわ」
四人が雁首そろえて、節子の肩越しに覗き込んでくる。
「確かにめっちゃ可愛いな」
「可愛いです雨子様」
「こ、これは…」
だが一人だけ沈黙を守っている。なので何故と皆で振り返ってみると、そこでは雨子様が顔を手で覆いながらしゃがみ込んでいる。
「どないしたん雨子ちゃん?」
心配した和香様がそう聞くと、指の隙間から絞り出すような声で応えてくる。
「何故かは知らんがその、無性に、無性に恥ずかしいのじゃ。お願いじゃ節子、もう仕舞ってくれぬかや?」
そう言われた節子は直ぐに画像を消すのだが、それを不思議そうに見ている和香様。
「なんでそないに恥ずかしいんやろね?どっちも雨子ちゃんでかわらへんやん?」
「確かにそうなのじゃが、何故かこの身の奥より、恥ずかしいと思う思いが湧いてくるのじゃ…、はぁ~」
「なんやよう分からんなあ…」
そう言って更に不思議がる和香様に雨子様が言う
「なんなら其方も人の身で幼気な子供になってみると良いのじゃ。もしかすると分かるかも知れぬぞ?」
するとぽんと手を打ちながら応える和香様。
「なる!それも一つの手かも知れへんな?いっちょやってみよか?」
そう言うなり皆の前で光り輝き始める和香様。
「うわ!眩しい!」
主に人である二人が悲鳴のような声を上げる一方、神様達はもう既に見え始めているのか、別の声を上げる。
「なんと和香…」
「わ、和香様…」
はてさて和香様、どんな姿を披露したのだろう?
どんな和香様なのでしょうね?w
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