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天露の神  作者: ライトさん
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閑話「神々の休日」

 お待たせしました


え?そうなんだ・・・登場するんだ・・・


 さて慰労会も無事終わり…三女神共演のカラオケの後、応援で全ての力を使い果たし、伸びてしまった者達のことはさておき…大量の精を回収してほくほく顔の神様方は、その足で温泉へと向かうのだった。


「しかし何や、めっちゃくちゃ楽しかったやんか?」


 珍しく和香様が顔を上気させながら言う。

その和香様の言葉を汲むように更に小和香様も言葉を続ける。


「本当に楽しゅう御座いました。私、人々からあの様に一度に精を頂いたのは初めての経験で御座います」


 そう言う小和香様も、丸で逆上せたかのように赤い顔をしているのだった。


「しかし信じられんような精の量であったの?勿論宝珠には全く適わぬのではあるが…。今まで我らが得てきたものとは一線を画して居るの」


 とは雨子様。

そんな雨子様の直ぐ後ろから付いて来ている祐二が口を開く。


「でも皆伸びちゃっていましたよ?あの後身体に悪影響が出たりはしないのかな?」


 雨子様が後ろを振り返り、祐二の方を見ながら言う。


「それについては伏していた者達の状態を既に精査して居る。結果問題なしじゃ、少しばてたくらいのものじゃの。それよりもじゃ…」


 そう言うと雨子様は祐二の腕をむんずと掴む。


「其方は何ともなかったのかや?」


 雨子様のその台詞を聞くや否や、和香様と小和香様も揃ってうんうんと頷きながら、心配そうな表情で祐二の方を見る。


 そこで祐二は苦笑しながら雨子様に言う。


「僕が何ともなかったって言うのは、雨子さんが一番良く知っているでしょうに…」


 すると雨子様はほんの少し頬を膨らましながら言うのだった。


「そ、それは当たり前じゃ。皆が伏して居る中、其方一人けろりとした顔で居ったら、何故とも思うし、皆とは異なる何かが其方の身の上に起こっているのでは無いかと、即精査した…即精査したのじゃが何も見つからぬ。じゃから余計に不安に成ったのじゃ」


 雨子様のそんな胸の内を語られた祐二は、暫く何やら考え込む風だった。


「さてなあ、特にこれと言って思い当たる節は無い…無いことは無いか?」


 話している最中に意見を変えてしまう祐二に、呆れた顔をした雨子様が問う。


「それでその無いことは無いというのは何があったというのじゃ?」


 そう言いつつ雨子様がぐいと顔を寄せてくるのに、少し腰が引けそうになるのを堪えた祐二が言う。


「いやぁ。そんなに大したことは何もしていないんだよ?何となく雨子さん達の方から引っ張ってくるような力を感じたから、よいしょって感じで抵抗した、それだけなんだよ?」


「よいしょ?よいしょやて?」


 雨子様の向こうで和香様がそう言うと、その場で笑い転げている。

その和香様を諫めようとしている傍らの小和香様も、何とか笑いを堪えようとはしているものの、決して成功しているとは言い難い状態なのだった。


 肝心の雨子様はと言うと、じっと祐二のことを見つめたっきり、何か言おうとしていたと見えるその唇がぽかんと開きっぱなしになっている。


「はぁ~、何や知らんけど祐二君はほんま笑わせてくれるなあ」


 涙を拭いながらそう言う和香様の後ろで、遅れてきた笑いの波を必死に成って抑えている小和香様が居た。


 漸く我に返ったのか雨子様が話し始める。


「まあ何じゃ、何にしても意志の力が働いたのであろう。どう言えば良いのかの?我ら神はその知力でもって様々な力を操ろうとするのじゃが、祐二、其方はどうもそうでは無く、一種膚感覚のようなもので力をコントロールして居るようなところが有る。恐らく今回のことはその最たるものでは無いかと思うの」


 雨子様のその説明を聞いていた和香様、何とも不思議なものを見るような目つきで祐二のことを眺めている。


「祐二君、何や君の力の使い方言うたら、うちら神と言うよりも、物の怪寄りの使い方やなあ?」


「え?酷い!」


 物の怪と言われた祐二が思わず抗議をする。その祐二の前に身を差し込んだ雨子様もまた抗議の声を上げるのだった。


「祐二のことを物の怪呼ばわりするとは許せぬのじゃ。いくら和香でも言うて良いことと悪いことがあるのじゃ」


 そう言って怒ってみせるのだが、和香様が謝りの言葉を言おうとする前にころりと雰囲気が変わる。


「じゃが…、和香の言うのも頷けるものが有るしの。我は逆にそう言う力の扱い方をする祐二の有り様に期待しても居る」


「それは一体?」


 早速不思議そうに雨子様に問う和香様。

対して雨子様はくふふと笑いながら言うのだった。


「第一に和香、考えても見るが良いのじゃ。此度の試しで何故に人間はあの様に大量の精を発することが出来たのか?」


 すると和香様はぽんと手を打つなり言う。


「成る程ほんまやね。まあもっとも、うちはそのことについて雨子ちゃんから色々聞こうとは思うとったんやけどな」


「うむ、和香ならそう言うであろうな。しかし当面疲れたのじゃ。風呂に入るのじゃ風呂に…」


 そうやっていつもの部屋に向かう三柱の女神の後ろから、祐二が言いにくそうに小さな声で問いかける。


「あのう、所であの会場の皆さん、あのままにして置いて良かったんですか?榊さんまで伸びていたみたいですけど?」


 すると和香様があっけらかんとした口調で言うのだった。


「それやったら心配いらへんで祐二君。第一健康上の問題はあらへんて雨子ちゃんが言うてくれたやろ?それだけちゃうで?あの場にはニーを呼んで皆の面倒見るように頼んで有るねん」


 祐二はニーと聞いて、大型の黒豹の外見を思い出していた。しかし果たして黒豹があの場でどう役に立つのだろう?


「あ、そうか、祐二君は知らへんかってんね?ニーな、ネットに係わることをするだけやったら、あのままでも何の問題も有らへんかってんけど、それ以外に人に係わることも何かとせなあかんかったらしくて、自分で何体か人形作って、使役すること覚えとるんや」


「「はぁ?」」


 それは祐二だけでは無く、雨子様の声も混じってのものだった。


「すると何かの?ニーはその手足として何体ものロボットのような物を持って居ると言うことなのかの?」


 雨子様の問いに、和香様はどう答えるべきなのかと少し悩んでいるようなのだった。


「それがやね、ロボットちゅうのとはちと違うような…」


 そう言うと和香様は小和香様と目を見合わせた。


「どちらかというと、お話の中に出て来るホムンクルスに近い?」


「「はぁ?」」


 またもハモる雨子様と祐二。


「まあ説明するより見た方が早い思うで?」


 そう言うと先に立って、温泉に浸かる際にいつも利用する部屋へと、足早に向かう和香様なのだった。


 そして部屋に辿り着くとそこには、正にザ・メイドと言ったような服を纏った、メイドが畏まって正座して居た。


「「はぁ?」」


 またしてもハモる雨子様と祐二。その様子がおかしいのか、指差しながら笑う和香様。そしてそれを必死になって諫めている小和香様。


「マジでメイドさんが居る…」


 とは祐二。生まれて初めて見るものほんのメイドに、興味津々と言った感じだった。


「いたたたた」


 余りにもしげしげと見る祐二、気が付くと雨子様に尻を抓られて居るのだった。








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そしてそれらをきっかけに少しでも多くの方に物語りの存在を知って頂き

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