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天露の神  作者: ライトさん
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閑話「直前」

 お待たせしました、今日は短いです。

昨日分の修正もあったのと、パソコンを騙し騙しと言うことも有りで、やれやれです


いよいよ代えのパソコンが手元に来ます。

なのでその設定等々で数日お休みします。

次再会する時はいよいよ雨乞いの儀本番と言う事で力を入れて書きたいと思います

それと同時に200万字という一つのマイルストーンを越えることになるかと思います


ささやかな物語りではありますが、ここまで続けられたことをとても嬉しく思う物であります。


と言うことで少しお休み致しますが、できるだけ早めに戻って参ります

どうかその時はまた楽しく読んで頂けると嬉しいです

ではでは


 雨子様が神衣を身につけ、神変した瀬織姫様と共に、皆の前に姿を現したのはそれから小一時間ほど経った時だった。


 その雨子様の衣装、一見巫女風衣装なのだが金の光沢の帯が日射しにきらりと光り、眩しいほどの光を放っている。晴天を思わす美しい青の色柄で、身動きする度にふわりと風を含み、棚引く様は丸で重さが無いが如く見えてしまう。


 更にはところどころに白い雲が散りばめられているのだが、雨子様が動くとその雲もまた動いているかの様に見える、何とも信じられないほど美しいものだった。


 一方瀬織姫様の物はと言うと、これも青を基調にしているが、深い紺の色から徐々に薄まり、泡立つ白波と共に白へと転じて行く水を基調とした色柄で、各所に流水紋の様な金の刺繍が施されているのだった。


 お仕舞いの祐二の狩衣は少し深緑がかった灰色で、繻子の様な光沢の有る生地で出来ており、彼が身動きするとしゅっしゅと言う絹なりの音がする。

緊張した面持ちですっくと立っているだけなのだが、傍らに下げた神威の束に軽く手を当てるその様は、どこか達人の気配を彷彿とさせるものなのだった。


 彼らがそうやって姿を現した村長宅の前には、約二十人ほどの村人が待ち構えていた。

そして目にした神二柱と、その守り人に対しておおっと言う歓声を静かに上げている。


 熱中症予防を考えた雨子様より、予め過剰な衣装は禁止の通達が為されており、皆華美にならない範囲で涼しそうな衣服で集っている。


 そんな中、村長だけはただ一人、羽織袴という正装で待ち構えて居て、雨子様に渋い表情をさせる。


「村長、其方我の思いをどのように…」


 雨子様が苦言を呈そうと言葉を放ち始めると、慌てて手を上げ真意を述べようとする村長。


「あいや暫く、暫く。この服装で居りまするのは今だけで御座います。せめても皆様方を我が家よりお送りする時だけの我が儘で御座います。どうかご理解下さいませ」


 そう言って平身低頭する村長の横では、沙喜もまた一緒になって頭を下げている。


「夫唱婦随じゃの。沙喜にまで頼まれれば黙るしか無いでは無いか?しかし必ずその衣服は改めるのじゃぞ?」


 そう言い含める雨子様に、村長夫婦は深く頭を下げるのだった。


 見上げれば青い空、どこまでも晴れ上がっていてこれでもかとばかりに強い日射しが降り注いでいる。そんな太陽を恨めしげに見上げた達彦が、心配そうに問うてくる。


「僕達は良いのですが神様方、そんなに暑そうな衣装を召されていて大丈夫なのですか?」


 達彦のその言葉を聞いた雨子様は、にっこりと笑みを浮かべながら言う。


「達彦よ、その気遣い感謝する。しかし心配するには及ばぬのじゃ。何せ我らのこの衣装は風温ふうおんの調律機能が付いて居る」


 首を傾げながら達彦が問い返す。


「風温の調律?それは一体何なのでしょうか?」


 達彦のその問いに、ちょっと嬉しそうに答える雨子様。


「そうじゃな、有り体に言えばエアコン付きの服かや?」


 それを聞いた達彦、傍らに居る祐二に向かって今一度聞く。


「え?そうなの祐二君?」


 対してうんうんと頷きながら答える祐二。


「はい、実に快適です。いっそ夏はずっとこの服で居たくなるくらい…」


「何それめっちゃ羨ましいんですけど?」


 零す様にそう言う達彦。だがその時点で何かに気がついたのか今一度祐二に問う。


「ねえ、そんなに快適であるにも係わらず、どうして居たいくらい?なの?」


 細かいことに突っ込んでくる達彦に苦笑しながら祐二が言う。


「だって達彦さん、確かに神事ならこの服を着てもまあ良いのだけれども、普段からこれは…ねえ?」


 その返事を聞いてぷっと吹き出してしまう達彦。

人によっては不敬と眉を顰めてしまう人も居るかも知れない。けれども人々のかちこちだった表情の緩んだのを見た雨子様は、それで良いと思うのだった。


 人の為に人に成せぬことをしているとは言え、元々神と人はギブアンドテイクの仲なのだ。人の精無かりせば神もこの世に留まっては居られなかったのだ、そう考えれば人の敬う心を受けることがあればこそ、驕るのは筋違い。雨子様はそう考えているのだった。


 緊張しっぱなしだった人々の顔がそこそこ和らいできたところで、雨子様は全員に声を掛ける。


「ではいよいよこれより山に登り、雨乞いの儀、正確に言うなら雨降の儀なのであるが、を、執り行うこととする。山頂に行ってからはまた注意事項をいくつか申し伝えるが故、聞き逃さぬ様にするのじゃぞ?良いか?」


「「「「はい!」」」」


 多くの人々の同調した返事が返ってくる。そこには彼らの雨への切なる願いが、色濃く表れていると言えるのでは無いだろうか?





いいね大歓迎!


この下にある☆による評価も一杯下さいませ

ブックマークもどうかよろしくお願いします

そしてそれらをきっかけに少しでも多くの方に物語りの存在を知って頂き

楽しんでもらえたらなと思っております


そう願っています^^

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