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天露の神  作者: ライトさん
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閑話「指切り再び」

 またもやお待たせしております。


さてさて、実はもう少しで書く事になる、雨子様の雨乞いの儀

この部分を書きたくて書き始めているこの閑話。

あと少しです、お付き合い下さいませ


 朝目を覚ますと、誰かが頭を撫でているのを感じた祐二は、未だ半分ぼうっとしながらゆっくりと目を開いた。


「おはようじゃの」


 そう言いながらにっこりと笑みを浮かべる雨子様。祐二の頭を撫でていたのは、当然その雨子様なのだった。


「何でまた頭を?」


 祐二がそう聞くと、雨子様は笑いながら言う。


「くふふ、なんとは無しじゃ。嫌であったかの?」


「そんな訳無いじゃ無い…」


「それにの、其方、目を覚まして居る時には、斯様に素直に撫でさせてはくれぬでは無いか?」


「そんなにいつも撫でたいの?」


「そういつもでは無いが、時折とても撫でたくなる時はあるの」


「分かったよ、ならこれからそんな時は要相談で…」


 そう言うと雨子様は、物凄く嬉しそうに微笑むのだった。


「ところで昨夜女将から、朝食の時間を聞かれて居ってな、七時半と言うて置いたのじゃが…」


「って、今何時?」


「六時五十分というところじゃな」


「なら起きなくっちゃ」


「もしかして今一度風呂に行くのかや?」


「うん、折角素敵な温泉のある宿に泊まらせて貰っているのだしね。因みに雨子さんは?」


 すると雨子様はにっと歯を見せて笑いがなら言う。


「もうとっくに入って居るのじゃ。じゃが祐二が請うなら今一度入っても…」


「いやいやいやいや…」


 するとその返事が気に入らなかったのか、雨子様の頬がぷくっと膨れる。


「祐二は我と湯に入るのがその様に嫌か?」


 だが祐二は、雨子様の顔をじっと見つめたかと思うと低い声で言うのだった。


「ねえ雨子さん、それわざと言っているんでしょう?」


 それを聞いた雨子様、頬を僅かにひくつかせると明後日の方向を向いてしまう。


「やっぱり…。言って置くけど雨子さん、僕はあなたと入るのちっとも嫌じゃ無いよ?でも昨夜と違って、今は明るいじゃ無い?うっかりすると、見えてはいけないところまで見えちゃうかもよ?」


 顔が背けられて今は見えない雨子様、だがその耳が忽ち真っ赤に染め上げられていく。


「ええいもう、早う行ってくるが良い」


 祐二はちょっぴり勝った様な気分を味わいながら、昨夜と同じく外風呂へと向かうのだった。


 さすがにこの時刻だけあって、お日様は彼方の山の稜線を高く超え、強い日射しが届いて居る。それを見た祐二は、雨子様と一緒に入ることにならなくて良かったと、心底思うのだった。


 そうやって景色に目を向けた後身体をざっと洗い、少しばかりのんびり入っていると、大きな音共に建屋の扉が開かれたかと思うと、バタバタと瀬織姫様がやって来る。


「げ!」


 思わずそう小さく声を漏らす祐二。だが「おはよ~~!」などと無邪気に大きな声で挨拶してくる瀬織姫様に、仕方無く観念する。


 年下の妹くらいに思えば良い、そう考えたのだった。

お陰でなんとか無事入浴を済ませて、二人揃って部屋に戻る。


 そこでは既に布団が片付けられていて、間もなく料理が来るとのこと。


「のんびり出来たかや?」


 いたずらっぽそうにそう言う雨子様。


「雨子様が勧めたの?」


 だが返事を返す雨子様は、にこにこしながら首を左右に振る。


「いいや、その様なことはせぬよ。しはせなんだが、瀬織姫のことを起こしはしたの。そうしたら今一度大きな風呂に入ると言って、突進して行き居った」


 そう言う雨子様のことを祐二はじっと見つめながら言う。


「それって、僕が未だ入っていることを見越してだよね?」


 すると雨子様、何事か言おうとしつつもぐっと詰まった様に成り、やがてしょんぼりとした表情で言うのだった。


「むう、その通りじゃ。すまぬ」


 対して祐二は、何やら考え事をするかの様に言う。


「まあいいや、思えば僕だって昨日は雨子さんの入浴姿、穴の開くほど見ちゃったしね?」


 そう言うと小さくぺろりと舌を出す祐二。

忽ち目の前で真っ赤になる雨子様。そしてその真っ赤になっている最中に、料理が運び込まれてくるのだった。


「おはよう御座います」


 祐二に向かって女将がそう挨拶をしてくる。


「おはよう御座います。」


 即座にそう返す祐二。


「良くお眠りに成られました?」


 そう挨拶を交わしている間にも、女将以外の者達によって次々と料理が運び込まれる。


「お陰様で、夢も見ないくらいにぐっすりと…」


 祐二の返した言葉を耳にしつつ、女将は客達三人がとっても仲よさそうに、並んで座っている様を見てにこにこしていた。


 いつの間に入ってきたのか、瀬織姫様が雨子様と祐二の間で、丸で二人の間に出来た子で有るかの様に振る舞っている。


「何だかお三人、家族の様に見えますね」


 その言葉を聞いた瀬織姫様、彼女はきょとんとした感じで居る、そして祐二も。

だが雨子様だけはほんのり顔を桜色に染めているのだった。


 そうやって、朝の時別な時間が一瞬の内に流れ、共に朝食の用意が調うのだった。


「ご飯を装いますね、皆さんどれくらいお召し上がりになりますか?」


 言われた途端に各自自分のお腹具合をチェックし、そしてお願いする、全員一致!


「「「山盛りで」」」


 危うく女将は吹き出しそうになっていたのだけれども、そこはプロ意識なのか、きっちり押さえ込んで素知らぬ顔でご飯を装ってくれた。


「後は皆さんでごゆっくり」


 そう言うと引き上げていく女将。それに向かって目顔でお辞儀するのは祐二。

雨子様はと言うと瀬織姫様の世話を焼いて、魚の骨など取って上げている。


 そうそう、それと今朝は、瀬織姫様が大好きだったお漬け物が、山盛り供されていたことを必ず記すべきだろう。


 そうやって朝からたっぷりとご飯を頂き、自分達で淹れたお茶を飲んで一頻りのんびりした後、女性達は自らの身支度に取り掛かるのだった。


 自身の化粧ポーチから出したブラシで、瀬織姫様の髪を梳って上げている雨子様。

丁寧に丁寧に何度も何度も。


 瀬織姫様の髪はとても艶やかで、腰の少し上くらいまでの長さがあるのだけれども、その手入れをしていた雨子様、ふと何やら考え事をしている。


 そしてやがてうんうんと頷くという。


「良い、今日は瀬織姫は神事に係わることは無い故、髪をまとめてしまうかの」


 言い終えると雨子様は、美事な手つきでひっつめ三つ編みを作り、それを使って丸でどこかの国の御姫様の如く綺麗にまとめ上げるのだった


「如何かの、この様な髪は?」


 そう言いながら手元の鏡を使って、瀬織姫様に髪型を見せて上げる雨子様。


「!」


 息を飲み驚いてみせる瀬織姫様。そして顔をくしゃっとさせると、雨子様の首っ玉に飛びついて嬉しそうに言う。


「私!髪をこんな風にしたの初めて!ありがとう御座います雨子様!」


 だが雨子様の頑張りは、それだけでは終わらないのだった。

小和香様から預かったバッグの中から、瀬織姫様にと渡されたいくつかの衣類を引っ張り出し、正にその髪に似合う様にコーディネートして見せたのだった。


「…!」


 初めて見る服に瀬織姫様、嬉しさの余りなのか言葉にならない。

だだだっと凄い勢いで脱衣所の方に行くと、そこに在る大きな鏡に映して見たようだ。


「きゃあ~~~!」


 と言う声が聞こえたかと思うと、また凄い速さでとって返してくるのだった。

そして雨子様の胸に飛びつくと、その胸に顔を埋めながらぎゅうっとしがみつくのだった。


 そして幾分か経った頃だろうか、顔を上げると目を真っ赤にしながら雨子様に言うのだった。


「雨子様雨子様、嬉しくっても涙って出るのですね?」


 そんな瀬織姫様のことを優しく抱きしめながら雨子様は言う。


「そうじゃの、そう言った一つ一つのことを大切にするのじゃぞ?」


 雨子様のその言葉に、瀬織姫様はうんうんと何度も頷きながら、笑みを深めるのだった。


 さてそうやって瀬織姫様の身支度を調え終えた後、雨子様もまた自らの支度を調える。

丁寧に髪を梳り、少し考えた後、後ろでまとめてポニーテールにする。


 おおっ!という感じで祐二が見ていると、頬をほんのり染めながらはにかみつつ言う。


「あんまり見るでない、その…そのままにしておくと暑いのでの…」


 でもだからと言って祐二が余所を見ようとすると、目で祐二の視線を追うのだ、一体どうしろと?


 その後、脱衣所に移った雨子様は、白いトップスに、薄いベージュの楊柳のギャザスカート、と言う出で立ちで戻ってくる。


 瀬織姫様がそんな雨子様を見ながら溜息をつきつつ言う。


「雨子様綺麗!」


 掛け値無しの瀬織姫様の賛辞に、照れ臭そうに笑う雨子様。

そしてちらりと祐二のことを見てくる。


「うんとっても綺麗だし、それになんていうかフェミニン?」


 余り女性を褒める言葉のボキャブラリーが無い祐二、言葉の後半が何となく疑問系になるのはご愛敬か?


 だがそれでも十分に嬉しいと思う雨子様なのだった。


 そこで祐二は二人を濡れ縁の方へと誘うと、光りの方向を考えながら並び立たせて、携帯で写真を撮って上げる。


「ほら、どう?」


 そう言って二柱に写真を見せて上げる。

二柱ともどちらも可愛く美しく綺麗に取れている。


「祐二さん祐二さん、これは写真?」


「そう写真だね」


「どうやったら頂けるのですか?」


 何が何でも欲しいと、縋る様な目つきの瀬織姫様に、祐二は笑いかけながら言う。


「家に戻ったらプリントしてお送りしますよ。村長さん宅宛てで良いのかな?」


「そうですそうです、必ずですよ?そうだ、指切りげんまん」


 こうして祐二は瀬織姫様と、二度目の指切りをさせられることになるのだった。



いいね大歓迎!


この下にある☆による評価も一杯下さいませ

ブックマークもどうかよろしくお願いします

そしてそれらをきっかけに少しでも多くの方に物語りの存在を知って頂き

楽しんでもらえたらなと思っております


そう願っています^^

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