「節子と雨子様二」
少し遅くなりました。今日のは短めです。
それこそ笑い転げると表現するのが、一番合っているのかもしれない。
溢れた涙を拭いながら節子は雨子様に言うのだった。
「はぁ~~、笑い過ぎちゃった。お腹が痛くなっちゃったわ」
その傍らで、かなりぐてっとしている雨子様も口を開く。
「笑うというのは、本当に思いの外エネルギーを使うのじゃな?」
「確かにね、でも雨子ちゃんも、今や極々普通の女の子って言う感じよね?」
節子のその話を聞いた雨子様はほんの僅か不安そうにしながら言う。
「果たして一体それはどう言う意味として捉えたら良いのじゃ?」
「私としては好ましい変化なのじゃ無いかなって思っているわよ?」
「そうなのかえ?」
「だってね…」
そう言うと節子は雨子様の目を覗き込んだ。
「雨子ちゃんが我が家に来たばかりのこと、覚えている?」
問われた雨子様は、なんだか気まずそうな表情をしながらそっと目を逸らす。
「本当にかちんこちんの石部金吉さんで、あの頃の雨子ちゃんのままだったら、祐二と一緒になりたいと言われたとしても、首を縦に振れたかどうか…」
「むぅ」
照れ臭そうに一言そう言う雨子様。
「でも雨子ちゃん、そうやってどんどん人間に馴染んだ部分はあるけれども、あの頃の雨子ちゃんの部分も、ちゃんと持って居るのよね?」
「それは…まあの」
「今は雨子ちゃんが、私達人間のことを色々学んで、どんどん人間らしい?ううん、普通に人間になってくれているのだけれど、一方祐二は祐二で、これからは少しずつ神様のことを学んで行くのでしょうね?」
「そうじゃの、さすがにこればかりはこの先神化したからと言って、そうそう一朝一夕にて出来るものでは無いが、いずれゆくゆくはそう成って欲しいとは思うて居るの」
「楽しみ?」
節子にそう聞かれた雨子様は、心底嬉しそうに笑みを浮かべながら「うむ」の一言を言うのだった。
それを見た節子が、少し切なさそうな顔をしながら言う。
「祐ちゃんがちゃんと神様出来るように成ったのって、多分私には見ることは出来ないのでしょうねぇ」
「節子…」
「なあに雨子ちゃん、そんな泣きそうな顔して…。今までだって沢山の人間を見送ってきたのでしょう?」
「それはそうなのじゃが、確かにそれはそうなのじゃが、そう言った者達と、其方とは関わり合って居る深さが全く違うのじゃ…」
そう言いながら口をへの字に曲げる雨子様のことを見ながら、節子は嬉しそうに言う。
「うふふ、きっとね雨子ちゃん。それだけ雨子ちゃんが本当に私達の家族になってくれている、そう言うことなんだと思うわ」
「ううっ…」
思わず声を漏らし、肩を微かに振るわせる雨子様。
「馬鹿ね、今からそんな先のことを悲しんでどうするのよ?」
「そうは言うがな、我の時間感覚では本当に、本当にあっと言う間なのじゃぞ?」
唇を僅かに震わせながらそう言う雨子様。
「あ、そうか。神様の時間感覚だとそう成るのね」
黙りこくったまま頷く雨子様の頭を、そっと抱き寄せ、包み込みながら、あやすようにしながら言う節子。
「なら雨子ちゃん、私達と暮らす日々を思いっきりしっかりと楽しんで頂戴。その胸の奥に刻み込んで頂戴。そうしたら多分、私達は貴女と共に永遠を生きていけるのだと思うから…」
そう言いながら節子は、ぎゅうっとしがみ付いてくる雨子様の頭を撫でつつ、何事か彼女だけに聞こえる言葉を、優しくずっとかけ続けるのだった。
それからどれほどの時間が経ったのだろう、抱きしめていた雨子様の身体から、微かな震えがなくなったのを知った節子は、優しい声で雨子様に問うのだった。
「それで雨子ちゃん、本当のところ、他に聞きたかったことが有ったのでしょう?」
すると雨子様は、しがみ付いていた節子の胸から顔を離すと、赤くなった目をぱちくりとさせながら言うのだった。
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