理由
今日のは超短いです
翌日の朝、学校に出掛ける支度をしながら洗面所で身支度をしていると、雨子様がやって来た。
少し照れ臭そうな顔をしながら「おはよう」と言う言葉を交わし合う。
「それで昨日は聞く事が出来なかったのだけれど、どうしてあんなに遅くなったの?」
そう僕が聞くと、途端に雨子様の表情が仏頂面になった。
「それがどうしたもこうしたも無いのじゃ。名だたる神達は、それなりに皆責任感を持って居るが故、眠りにつく事があったとしても、その間代理として諸事を為す分霊か、小者を配しておくものなのじゃが、どうやらその配慮を無さなんだものが多く居た様なのじゃ」
そう言い終えると雨子様は、視線を下に落としながら苦しそうに言う。
「恥ずかしい話しじゃが、我もそうであったと言わねば成らん。幸いな事に我は其方と出会い、それから爺様と出会うようなことがあったお陰で、今のようなことになって居るが、本当のところあやつらと何ら代わらぬ…」
そう言い終えた雨子様の肩は小さく震えてる。
「でも雨子さん、雨子さんの場合は元々小さな神社だったのでしょう?おまけに周りの環境も変わって、農業をやっている方達が居なくなってしまったというか…」
そう言う僕の事を、雨子様は切なそうに見つめながら言う。
「本当に祐二は優しいのじゃな…。じゃがの祐二、で有れば有ったで、和香に権能を返上し、あやつの配下に落ちるというのが本来の有り様じゃったのじゃ」
そう言う雨子様に僕は静かに言った。
「でもそのコースを辿っていたら、多分僕は…」
「うむ、儚のうなっておったかも知れぬの…」
そう言いながら雨子様は、目を合わせるのが辛いのか、僕の方に背を向けてしまう。
僕はそんな雨子様の後ろから、両肩にそっと手を置いて引き寄せると、肩越しに話をした。
「そう言う事を考えたら…僕としては、他の事はどう有れ、今の形で雨子様が居てくれた事、有りがたく思ってしまうよ?」
「むぅ…」
雨子様はそう呟く様に言うと、肩に掛けられた僕の手に、そっと自らの手を重ねた。
「成るほどの、そう考えていくと、我ら神もかつてただ自身の生存本能を満たすべき生きていた状態から、其方らと共に生きる内に、人間達から自身の存在理由を得る様になって来つつ有るのかも知れぬのう…」
「僕達から存在理由?」
「そうじゃ、じゃがこの話をして居ったら長うなる。それでは節子の機嫌を損なう事にも成り兼ねん。続きは食事の後じゃ。早う行こうぞ」
そう言うとほんの少しだけ元気を取り戻した雨子様は、僕を引き連れてダイニングへと向かうのだった、
この世界でもIFが有るとしたら、どんなIFが有ったら面白いのかなあ?
明日は所用があるので更新大幅に遅れる予定です
申し訳ありません




