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天露の神  作者: ライトさん
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「準備」

子どもの頃から読むことが好きで、そして時折手慰み程度に書くこともやっておりました。けれどもそれだけでは飽き足らず、もし読んで下さる方が少しでも見つかるなら、読んで頂き楽しんで欲しい。

そう思ってここに載せるようになりました。


既に拙作品を読んで下さっている方ならお分かりだと思いますが、山は有るには有りますが、有る意味とても冗長かなと思います。

ただ、その辺りは少しばかり大目に見て頂くとして、より力を入れているのはごく当たり前の人間と、神様という特別な存在が一緒に生活したらどんなことになるのか?そう言ったところをより身近な目で捉えて書くようにしています

なので適うならそう言った人と神様のやることなすことw

そしてそこから派生する様々な感情、そう言った物を見て味わって楽しんで頂けたら、嬉しいかなと思います

あんまり肩に力を入れずに気軽に読んで下さい


 さて翌日のお昼頃、宅配便にて宇気田神社より残りの部品が届いた。中ぐらいの段ボール箱二つでやって来て、少しばかり持ち重りがする。


 その箱を受け取った祐二は、早速雨子様の部屋へと二往復する。


「済まぬの祐二」


 何も言わずともそうやって自分の為に動いてくれる、そんな祐二の思いに、雨子様は素直に感謝の念を表した。


「良いよ、これくらい」


 そう言って祐二は笑顔で返す。祐二にしてみればこうやって何かすることで、雨子様がすっと笑顔を呉れる、そのことだけでも十分に嬉しいのだった。


 と、不意に傍らから手が伸びて、祐二の頭をよしよしと撫で付ける。

その手は卯華姫様のものだった。


「ほんまに素直でええ子やね」


 そう言いながら尚も撫でる。その様を見て雨子様が、ほんの少しだけ唇の隅を噛むのだが、何も言わないようだった。


 多分祐二はその所作に気がついたのだろう。


「卯華姫様、ありがとう御座います。もうそれ位で…」


 と言うとその手の下から離れ、段ボール箱の開梱を始める。

中には部品を梱包した箱が幾つも入れられていたのだが、それらを取り出して部屋の隅に小山を作った。


「雨子さん、この後どうする?」


 すると雨子様はどこからか布を取り出してきて床の上に敷き、部品だけを取り出してその上に置いてくれと言うのだった。


「うん、分かった」


 祐二はそう言うと手早く一つ一つの箱を開き、更に中の梱包物より部品を取り出していく。そして最初の一個は雨子様に手渡す。


「うむ」


 雨子様がそう言いながら目を細め、その部品を検分している間に、更にどんどん中味を取り出し、布の上に山を作っていった。


 途中からは「うちも手伝います」と言われた卯華姫様も手を動かし始める。


 全て開梱してやれやれとしながら、出たゴミを段ボールへと詰め込んでいると、雨子様がそっと部屋の隅にあるカートの方を指差した。


「済まぬがあれもの…」


 それは昨日、小和香様と卯華姫様が手づから持ってきた物だった。

これくらい自分で先に出しておけば良いのにと、思わないでも無かったが、言わぬが花と黙々と作業を熟す祐二なのだった。


「終わったよ」


 そう言う祐二の言葉に、意識を戻した雨子様が見ると、敷かれた布の上にこんもりと部品が山になっている。


 そしてその一つ一つを卯華姫様が、興味深そうに見回しているのだった。


「なあなあ雨子ちゃん、これ使って分霊を作るん?」


 雨子様はゆっくりと頷きながら言う。


「うむ、その通りじゃ。一度その詳細構造を見てみると良いかもしれぬの?」


「手に取ってみても構へん?」


「構わぬ、但し静電気には気をつけるのじゃぞ?今の季節湿度があるから良いが、冬期など要注意じゃ。中の微細構造が破壊されて使い物になら無くなり居る」


「あらまぁ」


 何とも間延びした言葉でそう応える卯華姫様。

早速に手にとってしげしげと見つめるのだが、徐々にその口元が開いていく。


「なあなあ雨子ちゃん。これほんまに人間が作ったものなん?」


 そう言う卯華姫様に苦笑しながら雨子様が答える。


「うむ、間違い無いぞ」


「ふわ~~、人間もよう頑張ったもんやね?ほとんど命の構造に近い細かさやんか?」


「うむ、正にそうじゃの。これの特色は規則正しく配列されており、錯誤が非常に少ない事じゃ」


「ああ、なるほどやねえ。生命体の構造は冗長度が高いけど、その分色々な変異も多いとこあるものね。一長一短あるけど、これはこれで使いやすいかも知れへんねえ」


 感心すること頻りの卯華姫様を横に、雨子様が祐二の方を向いて言う。


「済まぬが出たゴミを片付けてくれぬか?片付けた後もう一度この部屋に来るが良い」


 そう命じてくる雨子様の言葉に、僅かに首を傾げながら祐二が問う。


「え?何か有るの?」


 祐二のその言葉に雨子様は、


「何か有るから来いと言うて居るのじゃ」


 と言いつつもちょっと嬉しそう?


「今まで余り詳しく説明したことが無かったのじゃが、其方も陞神する為の修行を熱心に熟していることも有り、ならばと此度のことについても、一度きちんと説明しておこうと思うのじゃ」


 言われてみて成るほどと思いつつも、神様達の持つ秘密について教えて貰えるとあって、少しわくわくとしてしまう祐二なのだった。


「分かった、じゃあこれ直ぐに始末してくるね?」


 そう言うと祐二はゴミの詰まった段ボールを二つ積み上げて抱え、勢いよく部屋から出て行くのだった。


 それを見送りながら卯華姫様がぽつり。


「ほんまにええ子やな~~~」


 そう言う卯華姫様のことをぎろりと睨んだ雨子様が言う。


「やらぬぞ?」


 ちょっと悔しそうに唇を咥えながら卯華姫様。


「いけずまんたこりん!」


 その言葉に色を変える雨子様。


「卯華姫よ、その言葉どこから?」


 と、にへっと笑いながら卯華姫様は言う。


「何や宇気田神社で、和香ちゃんが偶に言うとりましたよ?」


「やはり本はあやつか?」


 そう言うと苦笑する雨子様。


「でもこれってどう言う意味なんでしょうねえ?」


「何?そなたも意味が分からずに使うて居るのかや?」


 呆れたようにそう言う雨子様に、卯華姫様はうんうんと頷きながら言う。


「そやかて和香ちゃんが、この言葉は感覚で使うもんやって言うから…」


「全く以てあやつは…」


 そう言うと頭を抱える雨子様。

そんな雨子様に卯華姫様が問う。


「もしかして雨子ちゃんも意味分からへんの?」


「むう」


 渋々そう言わざるを得ない雨子様。

その雨子様の答えに心底驚く卯華姫様。


「えええ?智恵の神たる雨子ちゃんにも分からへん言葉?そないなもんが有るんやろか?」


「その言葉の前の部分、『いけず』というのは関西の言葉で意地悪という意味に当たるのじゃが、その後の『まんたこりん』が分からぬのじゃ。おそらくは適当に当てられた言葉だと思いはするのじゃが…。どうにもすっきりせん」


 そう言いながら眉間に皺を寄せる雨子様の様子に、卯華姫様は声を立てて笑う。


「うふふふ、やっぱりそうなるんやねえ。和香ちゃんが雨子ちゃんがきっとまた悩み出すて言うてはりましたよ」


「むぐぐぐ、何時か謎を解明して鼻を明かしてやるのじゃ」


 妙なことに気炎を上げている雨子様に、ついつい失笑してしまう卯華姫様なのだった。






またもまたまた、いいねをありがとうございます。

頂いたいいねを糧にまた精進していきます^^


さてさて、またも出て来た謎の言葉「いけずまんたこりん」

筆者自身も調査しているのですが未だ意味は分からずじまい

お分かりになる方が居られましたなら、どうか御教授を


しかしこのお話、時折ファンタジーなのかSFなのか

悩んじゃう時が有ります・・・



いいね大歓迎!


この下にある☆による評価も一杯下さいませ

ブックマークもどうかよろしくお願いします

そしてそれらをきっかけに少しでも多くの方に物語りの存在を知って頂き

楽しんでもらえたらなと思っております


そう願っています^^

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