「神職との会合」
「しかし何やこれ?めっちゃ甘く感じるねんけど何で?」
「うむ、全くじゃの、砂糖の甘さなどとは全く異なるというか、息を吐くと口の中が甘く感じられる」
「そうそう、そうやねんな、甘露水とはこのことを言うのやろうな」
「無粋なことを言えばミネラルバランス等に起因したりするのじゃが…今は楽しむのが良かろう」
等とわいわい言いながら、次郎に案内して貰った泉の水を次々と掬っては飲み、渇きを癒やしているのだった。
そんな中、祐二が水筒をリュックから引っ張り出したのだが、直ぐに頭を振ってしまってしまう。
「どうしたのじゃ祐二?」
祐二の所作に気がついた雨子様が問う。
聞かれた祐二は少し苦笑交じりに応えるのだった。
「折角の美味しい水、これを持ち帰って珈琲やお茶を淹れたらきっと美味しいのだろうなって思って、持ち帰ろうかなとは思ったんだよ。でも水筒を出してきたところで、これに入れて持ち帰っても、多分中で雑菌が増えてしまうなって思って、止めたんだよ」
「うむ、それは正解じゃの。持ち帰るにしても些か時間が掛かりすぎるでな」
と、その会話を小耳に挟んだ和香様が言う。
「なんや祐二君、そないな話しやったら、自分がうちんとこ来て汗流すのに使っている井戸、あそこの水もお茶入れたら美味しいって評判やで?」
「え?そうだったんですか?」
「うん、結構深いところから取ってるらしくって、保健所からもそのままで飲用可ってお墨付きもろとるし、酒造りにも使える水やって言うことや。良かったらなんぼでも持って帰り」
「これは良いことをお聞きしました!」
嬉しそうににこにこしている祐二を見ながら雨子様もまた言う。
「道理で小和香の出す茶が美味い訳じゃの」
お茶には一家言有る雨子様、家で飲むお茶がまた美味しくなる可能性が有ると聞くと、目の色を変えて嬉しそうにするのだった。
「雨子さんの淹れる珈琲もまた楽しみだよね?」
元々吉村家で最も珈琲を淹れることに拘っていたのは父親の拓也だったのだが、雨子様はその技を伝授されてからこっち、めきめきと腕前を上げてきていた。
今やその技術は拓也も舌を巻くほどで、免許皆伝どころか、逆に拓也から師匠などと呼ばれている。
雨子様曰く、珈琲を淹れるコツは的確なパラメーター管理なんだそうだ。そしてそのパラメーターが珈琲の場合とんでもなく多い。だからこそ適正に行うことが難しく、ある意味雨子様にとって本領を発揮出来る領域なんだそうだ。
さて余談はさておき、しっかりと喉を潤した面々は、足取りも軽く復路を辿り、出発点の神社へと辿り着いた。
和香様が勝手知ったる所とばかりに、ずんずんと社の奥の方に向かう。
明らかに禁足地と思われるところにさしかかり、それでも尚乗り込んでいこうとしていると、社務所の方から人が駆けてくるのだった。
未だ年若い神職と思われるその者は、そこから先は神域で有るので入っては成らぬと言う。
そこで和香様が、自分は和香という神で、卯華姫を起こしに来たのだと話すのでは有るが、彼はその話を全く信じようとはせず、頭を縦に振ろうとはしないのだった。
それどころか自ら神を名乗る不届き者と言うことで、あろう事か警察に電話を掛けようとすらするのだった。
さすがにそんな態度を見て業を煮やしたのか、横から雨子様が言う。
「埒があかぬ、宮司を呼べ!」
雨子様がそう言った途端、神職はまるで操られたかのようにふらふらと歩き出し、社務所の方へ戻って行くのだった。
「あ~ああ、雨子ちゃん、呪をつこうたんや。なるべく穏便にしようと思うとったんやけどなあ。でもまあしゃあないか」
暫くしたところで、年配の宮司らしき男が、先程の神職を引き連れてやって来た。
和香様の目前まで来たところで彼は静かに頭を下げ、和香様が如何なる存在で、何をしに来られたのかと丁寧に聞くのだった。
大変大変お待たせしてしまいました、
しかも超が付くほどの短さ……
今日は眠りの質が悪かったせいか、とんと頭が働かず、書いては消しを一体何度繰り返したことか……
そんな訳で、物凄く短いですが、今日はここまで
また次頑張ります(^^ゞ




