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天露の神  作者: ライトさん
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「海水浴中編」


 歩くうちに、二本分のビーチパラソルを張るのに、丁度良さそうな場所を見つける。

と言うことで二本を並べて砂地に突き立て、その下にシートを引くのだが、問題はその後なのだった。


「えっと、僕と母さんはこっちにするけど、後は誰が来るのかな?」


 拓也がそう言って人数配分をどうするのかと皆に尋ねる。

すると誰も手を上げようとしないものだから、ならば僕がと祐二が動こうとすると、当然雨子様も付いてくることになる。


 結果、四対三と成ってこんなものかなとも思うのだが、そうなるとなんだか令子が心細げな表情をしながら見つめてくる。家族という括りで考えるなら確かに令子だけ向こうで神様達に混じれというのもなんだか気の毒そう。


 それを見た節子が、仕方無いわねと言った感じてふうっと息を吐くと言う。


「良いわ、令子ちゃん、こちらにお出でなさいな?」


 そう言うと手招きをして令子を迎え入れ、更に言葉を継ぐ。


「じゃあそう言うことで、あなた、私は向こうに行くわね?」


 等と言いながらにこにこしつつ和香様達と混ざる節子。

拓也はと言うと、はいともうんとも何も言う暇あらばこそ。だが落とし所と心得たのか何も反論することは無い。


 ただほんの僅かに眉尻が下げられたのを、目敏く見つけた和香様が言う。


「節子さん、自分こっちでほんまにええんか?」


 そうやって気を使ってくれる和香様に笑いながら節子は言う。


「何言っているの和香様。海から上がって日陰を頼る僅かな時間だけのことじゃないの?」


「それはそうなんやけどな?」


「それにね和香様」


 そう言うと節子は声を落として囁くように言う。


「いくら何でも神様方の間に、私の代わりに拓也さんが交じるって言うのはねぇ…」


 それを聞いた和香様は、一瞬きょとんとした表情をした後吹き出していた。


「それはまあそうやな?でもその、うちらは全然かまへんで?」


 そう言う和香様に珍しく節子がほんの少し膨れてみせる。


「和香様達が良くても、私が嫌なんですよ?」


 恐らく和香様はそう言う返事が返って来るのを見越して、先程の言葉を投げかけたのだろう。


「節子さんも人の子やったと言う訳やなあ?」


 そう言う和香様に暫し視線を留める節子、そして何やら考える風だったが、やがてに口を開く。


「まあ、そう言うことですよねえ。ところで和香様?」


 改まって何か聞こうとしてくる節子の言葉に、はてと言った表情で小首を傾げる和香様。


「そう言う和香様はどなたか意中の方はいらっしゃいませんの?」


「げふんげふん…」


 いきなりなんだか妙な咳き込み具合を見せる和香様。そんな和香様を見るのは初めてだとばかりに、不思議そうに見つめる小和香様。


「な、何でいきなりそんな質問になるん?」


「いえ、なんとなくなんです」


 目を大きく見開きながら節子のことを見る和香様。


「うちなんか節子さんのこと怖いわ。まあ通り一遍な話し言うとくと、うちはこないな立場やから何か有ったとしても簡単には言われへんのね」


「まあそれはそうでしょうね」


「それとうちら神は、まあ今の雨子ちゃんは別として、子作りの必要性とかが有って番う訳やあらへんから、その辺人の場合とは割と違っているやろうね」


「成る程、そう言う意味から言うと、神様方の恋愛って、割と長期的な流れの中で生まれるものとかに成りそうね」


 そう言う節子のことを暫し凝視した後和香様は言う。


「まあそうやな、それにな、人間のような感じの恋愛感情は、この肉体を消して神体に戻ったら、多分ほとんどがリセットされてしまうやろな。それでも好きというか、好むという思いは有るんやろけど」


「ああ、だから雨子ちゃんは神体?に戻るのを嫌がっているのね?」


「まあ、早い話、そう言うことやなあ」


 そう言いつつ和香様は、もう一つのパラソルの元で、祐二との会話の中で何かおかしな事でもあったのだろうか?ころころと笑い転げている雨子様のことを、眩しそうに見つめているのだった。





 今日も短くて申し訳無いです

でもま、きりが良いのであしからず

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