「海水浴前編(圧倒的じゃ無いか?)」
さて順調に天橋立に到着し、海水浴場近郊の旅館に行き着くことが出来た。
本日宿泊することになるこの旅館のお陰で、浜まで間近という好条件で駐車場を使用することが出来るのだった。
生憎とチェックインには未だ早い時間だったので、フロントで駐車場を借りる旨のみを伝え、まずは皆で海水浴場目掛けて歩くことになるのだった。
てくてく歩くこと約五分くらいか?長々と続く砂浜と松林の美しい、天橋立海水浴場に到着したのだった。
早速男女に分かれて更衣室に向かい、そこで水着に着替えることにする。
当然のことながら男性の身支度は、女性のそれよりもかなり早い。
お陰でその時間を使って、拓也と祐二はレンタルパラソルなどを借り、後は少し離れたところでぶらぶらとしながら、のんびりと時間を潰すのだった。
待つこと十余分。まずは令子を先頭に次が小和香様、雨子様、和香様、節子の順に女性達が姿を現したのだった。
しかし…、当然予想されたことなのだが、彼女らの目立つこと目立つこと!
女神様達の美しさはどこか一線を画すところがあるし、令子も既にその一端を見せつつあって目が離せない。
一方、節子は神様の内には入らないとは言うものの、人間側の女性としてはそのトップを飾るのでは無いかと言うくらいに溌剌として美しい。
ただこれには爺様から常日頃頂いているネクタルが、絶大なる効力を発しているという裏設定があるので、ある意味チートなのだった。
だが神様だろうが、チートだろうが、とんでも無く美しいことには違いなく、そんな女性達が作り出す集団は、周りに居る沢山の人々の目を、大いに引きつけて止まないのだった。
「おい見ろよあそこ」
「すげー、撮影か何かか?」
「うわ凄い、あそこだけ雰囲気が違うわね?」
とかとか、遠巻きにしながら我らが女性陣を眺めつつ、口々に好きなことを言い合っている者達多数。
それを横で見ていた拓也と祐二、互いに目を見合わせるとぼそぼそと言い合う。
「ねえ父さん、どうにもうちの女性達と合流するの、怖いんだけど?」
すると拓也も頷きながら言う。
「何だ祐二もか?実を言うと私も何だ…どうしたものかなあ?」
そう言って二人揃って溜息をつくのだが、どうしたもこうしたも無いので有る。
周囲を見回していた令子が、素早く祐二達の存在を目にとめると、嬉しそうに声を上げながら駆け寄ってくるのだった。
「あ、居た居た、こんな離れた所に居たんだ!」
それを皮切りに、次から次へと女性達が彼らの元へと歩み寄ってくる。
「なんじゃ祐二、こんな所に居ったのかや?」
そう言うと雨子様は祐二の手にしがみつく。それを見ていた令子がふざけて反対側の手に同じようにしがみ付く。
何とも楽しそうな彼らの様子を見ていた和香様は、ふといたずら心を燃やしてにやりと笑う。そして後ろからすっと纏わり付いたかと思うと揶揄う様に言う。
「祐二君もてもてやなあ?」
こうなると祐二ももう、どきどきわくわくどころの騒ぎでは無い。
青くなったり赤くなったりを繰り返しながら、それこそもう棒でも飲んだかと思う様に立ち尽くしている。
「和香様、和香様、その様に意地悪をなさってはいけません」
心配した小和香様が、一生懸命に和香様を引き離そうとしているのだが、なかなかに離れそうに無いのだった。
一方それを眺めつつ、これは祐二も大変だなと、蚊帳の外にいるつもりの拓也だったが、節子がすっとその傍らに立ち、腕を取った時点でもう仲間入り決定なのだった。
そんな彼女らの様子を見ていた男達は、ギラギラとした眼差しを向けつつ、悔しがるやら羨ましがるやら。
その一方、彼らと共に来て居た女性達は、さぞや嫉妬の炎を燃やしているのだろうと思ってみれば、なんだか妙に冷めている。
その心中をほんの少し覗き見してみるに、「あれはもう仕方無いわね」「いやもう競おうなんて思える次元じゃ無いわ」とかとか。
だが彼女達がそう思い諦観することと、傍らに居る男達を放置出来るかということは、丸っきり別問題の様で、各所で「いたたたた!」と言うような悲鳴の声が上がるのだった。
見ると、悲鳴を上げた者達は皆、身体の何処かに何かで抓られたかのような?真っ赤な跡が残されているのだった。
「あ~~ああ…」
そう言った惨状を密かに目にした拓也は小さな声でそう言うと、祐二の方を見ながら言う。
「祐二、そろそろ行こうか?」
拓也のその言葉に、祐二は表情を無くしながら言う。
「うん、行こう父さん」
かくして騒ぎの中心は、丸で台風の眼の如く、周りに多大なる被害をまき散らしながら、細長い浜辺をゆっくりと移動していくのだった。
大変遅くなりました。
ばてばて、ボケボケの頭での更新です、
短い上にとっちらかっていますがご容赦の程を……




