表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天露の神  作者: ライトさん
34/678

テスト勉強

当事者としてのテスト勉強というのは本当に嫌なものです。

その立場から離れてもうだいぶ経ちますが、今でもたまにテストの夢を見ます。

やだなあ~~~

 順調に?テスト週間に突入した。昔からのことも有り、当たり前のように七瀬も我が家へテスト勉強をしに来る。

ガキンチョの頃からそうだったと言う事も有るし、家に来ると母の手厚いサポートが有ると言うのも大きな要因だった。


 今回からはそこへ雨子様が混じるのだが、雨子様は一緒にテスト勉強をすると言うより、どちらかと言うと教師の側に立っていた。


急遽テスト勉強のために入れられたテーブルでせっせと教科書に向かう七瀬。


「え~~、もうやだ分かんないぃ~~~」


と言うなり後ろにひっくり返る。


「七瀬よ、そこは先ほど教えたばかりじゃぞ?あれから僅かな時間しか経っておらぬのに何を音を上げておる?」


柳眉を上げた雨子様の叱責が飛ぶ。


「だって分からないものは分からないんだもの」


 流石の七瀬も駄々をこねることはしない。もっともそれは雨子様がいる手前だった。

昔僕たちだけで勉強していた頃は良くだぁだぁ言って居たものだった。


「まったくどうしようも無い童よの…」


そう言いながら雨子様はふっとため息を吐くのだが、一度は叱責しながらも、その直ぐ後には根気よく丁寧に教えてくれる。


 多分なんだけれども、そこいらの教師では歯が立たない位に理解の度合いが深いし、とんでもなく根気があるので、なんだかんだ言いつつ無理くりでも理解させられる。


「なるほどぉ、目から鱗よね」


 七瀬は先ほどからそんな言葉を何度も繰り返している。いやちょっともう少し普段からまともに勉強しようよな?


 ちなみに雨子様は七瀬にも神への願いというのを持ちかけていた。

七瀬は速効で雨子様に祈り始めたのだが、その頭をポカリと雨子様が叩く。点数だけ高くても何の意味が有ると、七瀬はその後暫くお説教を喰らう羽目となった。


 僕たちが一生懸命に勉強している間、使い魔のユウはと言うと一人で階下に降りて行って居た。


 トイレに行くついでに何をしているのかと覗いてみると、リビングで母にしっかりと餌付けされていた。

母よ、そんなものを餌付けしてどうするつもりなんだ?


 時折母からの差し入れをもらったりしながら、順調にテスト勉強は進んだ。

この期間は七瀬も葉子ねえの部屋を借りて泊まり込む。


 テスト勉強を終えて風呂に入り、眠りにつくまでの一時。

我が家のリビングは女の園となる。流石に寝る前とあって甘いお菓子の類は出ないものの、ノンカフェのお茶を囲んでワイワイ賑やかなこと。


 女性達がそうやって和気藹々としている間、僕と父とユウはダイニングでもっさり同様のお茶を飲んでいる。


「なあ、祐二」


とは父


「母さんのあんなに楽しそうな表情はちょっと見ないな」


「まったくだよね」


「気のせいか女子高生が三人居るように見えてしまうよ」


年甲斐も無く…おっと、そんな台詞母に聞こえたら大変な事になる。だが、箸が転んでもおかしいとばかりコロコロと笑う様はまさにそんな感じだった。


 それにしても母は未だともかく、雨子様までまったく同じようなのには何だか笑えてしまう。本当に楽しそう。


「ユウはあの中に混じらなくて良いのか?」


相変わらずもそもそと何かを食べているユウにそう話しかけると、何を冗談言っているんだとばかりに首を横に振られた。


「あの中に入るのは無理ですよ、僕にはついて行けません」


父がその言葉に納得したかのように頷いている。


「なるほど、そうか、そうだよな」


 僕たちは適当にお茶を飲み、少しばかり時間を潰すと、さっさと寝床につくこととした。

僕も良いですかと、ユウがついてくる。


「使い魔のお前も眠るのか?」


と聞くと


「得意です」


と返された。そんなことを自慢する奴がいるのかと、思わず感心させられてしまった。


 そんな調子で本来は大変な思いばかりするはずのテスト週間だったが、今回ばかりは何だか楽しいと思える、そんな時を過ごすことが出来た。


 なんでもそうだが、楽しみながらやると身につきやすい。結果として今回のテストは信じられない程良くて来た、様に思う。


この感覚は七瀬も同じみたいだった。


 テストが終わって家に帰ると七瀬は雨子様に向かって


「神様仏様雨子様」


と伏し拝んでいる。それを聞いている雨子様は何とも言えない顔をしている。


「神様雨子様は分かる、じゃがなんで仏様なんじゃ?」


それを聞いて僕と七瀬は腹を抱えて笑ってしまった。一人笑いの渦から取り残されてしまった雨子様はふくれっ面をしている。

そのふくれっ面が更にご機嫌斜めになる前に慌てて七瀬が言った。


「ごめんなさいな雨子さん、神様仏様○○様って言うのは慣用句みたいなものなのよ。だからその中の仏様という件もそれ自体何の意味も無いの」


「なるほどそう言うことかや」


 あっさりと雨子様は納得している。もしこの世に仏様も居られるなら謝らなくてはならない。


 テストが終われば一週間のお休み。そしてテストの結果を知り、成績表をもらえば夏休みだ。

来年辺りは受験の下準備と言う事でのんびりは出来無いだろうけれども、せめも今年の夏休み位は、しっかりと羽を伸ばしたいと思った。



時間の経過の仕方はその時々になります。

皆さんはどんな場合に時が立つのが早いと感じ、はたまた遅いと感じますか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ