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天露の神  作者: ライトさん
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苦しい時の神頼み

何時も拙作を読んで下さってる皆様、ありがとうございます。

皆様は神様にお願いする時、まず一番にどんなことをお願いします?


 休み中色々な事は有ったが、なんとか無事月曜日を迎えることが出来た。

普段なら月曜日の呼び声を聞くと大抵げんなりするのだけれど、今回に限って言うとちょっとほっとしている。


 帰宅した七瀬から来た連絡によると、あれから後ユウはがっつりと食事を摂っているらしい。ただ身体が小さいのでがっつりと言っても量が知れているのが救いだ。

そうでなかったら七瀬家のエンゲル係数は恐ろしいことになっていたに違いない。


 雨子様に聞くと、食べなくとも一向に差し支えないはずなのだが、泣いて頼んでくるものだから七瀬には断り切れなかったようだ。

何だかとんでもない使い魔が生まれてしまったと思うのだが、雨子様はこれに関しては自身の責任はないと突っぱねている。

雨子様をして食いしん坊の付喪神、元へ、使い魔なんて想像の埒外なんだそうだ。


 七瀬に寄るとユウのイレギュラな能力はそれだけに留まらなかった。

夕食時、母子二人で食事を摂っていると、その食卓に堂々とユウがよじ登ってきたんだそうな。

 驚き慌てる七瀬、それこそ真っ青になったんだそうだ。

だが結果を言うと彼女の母親にユウを見とがめられることはなかった。

ユウ曰く穏身が出来るとのこと。

 

 雨子様の説明によると、存在している次元をほんの少しだけずらすと言うか、ぼやかすというか、凡そそんなことらしい。

そうすることで既に認識しているもの以外に、その姿が見えなくなるらしい。


 雨子様が再び首をひねることになっていたのだが、いずれにせよ先に与えた軛のこともあるのでさして心配は要らないらしい。

しかしなんともとんでもない奴だ。


 なんだかんだと騒ぎの中心になっているが、これからそんなことには余り構っていられなくなる。

なぜならもうまもなく訪れる夏休みを前にして、期末考査というものが有るからだ。

今週中に試験範囲が張り出されるはずだ。


 蒸し暑さにげんなりしながら通学路を歩いていると、向こうの方から七瀬がやってきた。

見ると肩にユウが乗っている。


「あいつ、手を振ってやがる」


 いくら穏身で回りに見られることはないとは言っても、これはないだろう?

よくよく見かねた雨子様が叱責する。


「これユウ!いくら余人の目には留まらぬとは言え、この世界にはカメラなるものが有る。調子に乗るではない。公に身を晒す時はもちっと大人しゅうしておれ!」


 流石に自身の創造主に怒られると堪えるらしい、たちまち尾羽打ち枯らしたかのようにシュンとした。


そのユウを肩に載せた七瀬は、自分も一緒に怒られた気にでもなったのだろう、思わず首をすくめている。


 そんなこんなでワイワイしている内にいつの間にか学校に着いた。

流石に校内に入ってからのユウは大人しい、自らそそくさと七瀬の鞄へと潜り込んでいった。


「おはよう」


「おはよっす」


教室に入ると口々に挨拶が飛び交う。主に七瀬の周囲を中心としてなのだが…。


当たり前の時間がまたゆっくりと流れていく。

 朝のユウの一悶着は有ったものの、おしなべて過ぎゆく時間は穏やかだ。

もっともそれも掲示板にテストの範囲が張り出されるまで。


「うげぇ」


「嘘だろう?」


「神様ぁ」


と皆の騒々しいこと。信じては居ないのに神様と唱える者達のお陰で、雨子様が時折ヒクヒクしていたのは内緒の話。


「のう、祐二。それでこのテストとやら言うものは何なのじゃ?」


要領を得ない顔で雨子様が尋ねてくる。


「テストと言うのはですね、今日に至るまで雨子様も学校で色々学ばれましたよね?」


「うむ、既に知っておることもあれば、知らぬことも有った。なかなかに面白かったように思う」


「それら学んできたことがどれ位身についているのか、その習熟度を調べるのがテストという訳なんです」


「なるほどの、して皆はどうしてあのように騒いでおるのじゃ?」


「それはですね、大抵の者が皆、本来身につけて居て然るべきものをきちんと身につけていなかったってことなんです」


「それはいかんの」


僕は苦笑しながら言った。


「でも雨子様、それはどうしても仕方が無いのですよ。僕たちは雨子様のように一度聞いただけでものを覚えることが出来るわけでは無いし、物事を理解するにもその能力の度合いがそれぞれ異なるものですから…」


「なるほどそう言うことなのか、それならば仕方が無いところがあるの。ところで祐二よ、時折神に祈っておる者達がおったが、我は彼らの願いを聞いてやるべきなのかえ?」


雨子様のその言葉に僕は吹き出してしまった。


「あいつらの言っている神様は、有る意味口癖みたいなもので、本当に神様を信じて祈りを唱えているわけではないですから、無視しちゃって良いですよ」


「ゆうて見れば、えいやと言うようなかけ声みたいなものなのかえ?」


「まさにそれです、それ」


そう言うと雨子様はなんともいたずらっ子そうな目をした。


「のう、祐二よ」


「なんです?雨子様」


「我は其方の守り神よな?」


「それはその…確かにそうですね」


「で有れば我が其方の願いを叶えてやったとしても、何らおかしいところはないわけじゃ」


「む?」


「一言言うてみ?神様お願いと。さすればテストとやらから救うてやるぞ?」


テスト勉強の大変さを思い浮かべた僕は、暫し心を揺らしてしまった。けれどもいくら何でもそれはいけないだろう?


「駄目ですよ雨子様、そんな風に誘惑したら神様ではなくて魔になってしまう」


「くっくっくっく、確かにの。もっとも祐二はこんな誘いには乗らんじゃろうがの」


 僕はここに来て雨子様にからかわれたことに気がついた。雨子様は茶目っ気たっぷりな顔を両手の平で覆いながら、声を殺して笑っている。


これが十万年生きてきた神様なんだよ、信じられる?





筆者は行く神社が大きく強力なところで有れば有るほど、何となくではありますが世界平和とか願ってしまいます。

今は、地震の被害者の皆さんが少しでも早く平穏な日々を迎えられることでしょうか・・・

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